京成バス新習志野高速営業所

洗車機のないバス会社さんは、どうやってバスを洗うの?

毎年秋になると各地で行われるバスイベント。最近人気の企画は「バスの洗車機体験」。

バスに乗車したまま、洗車機の中をくぐるというこの企画。たくさんの水が勢いよくバスにかけられ、大きなブラシがぐるぐると回転!乗車した子どもたちから大きな歓声が上がります。

こんな体験、めったにできないので子どもじゃなくても楽しいですよね~。

バス洗車機体験は人気の企画
(2016年なるほど京王バス調布より)

京王バス調布営業所で使用されていた洗車機は、大型バスを1台洗うのに200~300リットルの水(だいたいお風呂1回分の水量)を使うそうです。

停車したバスの周りを洗車機が往復して洗浄。行きは再生水・帰りは水道水で仕上げ洗いしているとか。

大きなバスをあっという間にピカピカにしてしまうこの洗車機。ガソリンスタンドでも見かけることがあります。路線バスや高速バスなどをたくさん所有しているバス会社さんの車庫にもありました。

でも観光バスの貸切運行を専門にしているバス会社さんへ取材ででかけたとき、あまり見かけなかったように思います。

ということで、今回はバス会社さんそれぞれの洗車事情について取材してみました!

実は手洗いしてる?貸切バス会社の洗車事情

今回お話をうかがったのは東京都に本社がある「えびす交通」埼玉営業所にいらっしゃる大窪さん。埼玉営業所では大型の観光バスを10台前後所有していらっしゃいます。

えびす交通さんでは「基本、バスは手洗いしてる」そう。

洗車には大型バスやトラックを洗浄するために開発された伸び縮みする柄のついたブラシ、スポンジを使用。バスの下側(シャーシーや足回り)は、高圧洗浄機を使って洗うそうです。

高圧洗浄機は便利
(写真は高圧洗浄機を使って車を洗車している様子)

高圧洗浄機は最近家庭用も出回っているので皆さんもよくご存じかと思います。お風呂やキッチン、家の外壁など、こすらずにあっという間にピカピカにしてしまうので便利ですよね。

バスの足回りは汚れやすい部分。特に雪道を走ると、道路にまかれた凍結防止剤や融雪剤が付着し、錆の原因になるため、注意が必要だそうです。このため、どのバス会社さんも雪道を走行した後は、足回りの丁寧な掃除が欠かせません。

雪道はバスにとってやっかい

ではなぜ、凍結防止剤や融雪剤が付着すると錆やすくなるんでしょうか?

それは原料に塩化カルシウムや塩化ナトリウム(塩)が含まれているため。どちらも水分を吸収しやすいので、空気に触れると錆を発生しやすい状態をつくってしまうのです。海水浴のあと、しっかり真水で洗い流さないと肌がべたべたするのは、海水に含まれる塩分が空気中の水分を吸収してしまうからだったんですね!

では、大型バス1台を洗うのにどのぐらい時間がかかるものなのでしょう?

「雪道走行のあとなどは念入りに掃除するので、バス内部の清掃も含めて3時間ぐらいかけて洗っています。通常なら1時間ぐらい。外回りには30分~40分はかかりますね」

う~ん。すごく大変。どのバス会社さんも1運行後に必ずバスを洗っているとのこと。たくさんバスを所有しているところだと、重労働だということがわかります。

そこで、えびす交通さんでは、ガソリンスタンドでの洗車もよく利用するとのこと。1回1,000円程度なので、時間と手間を考えればとてもリーズナブルですね。

最近では超ハイテクな洗車機も登場!

いくらガソリンスタンドの洗車がリーズナブルとはいえ、路線バスや高速バスを多数保有するバス会社さんの場合、積み重なると馬鹿にできないコストになります。でも手洗いは大変!ということで、洗車機を購入するところがほとんど。

大型トラックやバスを洗車する機械で最もシンプルなものは、左右縦に1本ずつブラシのついたもの。さらに、車の前・後面も洗える3本タイプ、4本タイプもあるようです。

どのタイプもバス1台、洗車にかかる時間はおよそ2~3分程度。その後、バスに残った水分は手で拭き上げるのが通常の流れです。

この洗車事情に新しい革命を起こしたと注目されているのがジェイアール東日本コンサルタンツさんが発売した超節水型バス専用洗車機「BIG WASHERⅢ」。発売は2013年で、特許出願中の“アラッシュ”という機能が画期的だと注目を集めています。

実は、2016年11月、幕張メッセで開催された「第2回バステクin首都圏(ぽると出版主催)」で、その実力を間近で取材しました!見学した場所は千葉県習志野市にある京成バス新習志野高速営業所です。

京成バス新習志野高速営業所
(第2回バステクin首都圏より)

この“アラッシュ”という機能、ただ高圧で水をかけるだけではなく、同時に風を吹き付ける(ブロー)のがポイント。水を微細なミスト状にするとともに、激しい気流を起こし、汚れを浮き上がらせ吹き飛ばす仕組みだそう。

最近、ちょくちょく話題になる黄砂もムラなく落とせ、バスの車体(ボディ)を傷つけることはありません。ブラシでは落としきれないミラー回りや窓の凹凸部分など細かいところもすっきり!丁寧な手洗い以上に満足できる洗い上がりとのこと。

トップブラシはオプションで搭載可能
(第2回バステクin首都圏より)

京成バスさんでは、オプションでトップブラシを搭載。ルーフ面の洗浄も行えるようになっていました。

さらに注目ポイントは、国内初のブロー機能(洗車機移動型のみ)!車窓などの水滴を吹き飛ばし、拭き上げ作業を大幅に軽減してくれるそうです。

窓ガラスやお風呂の鏡などに水滴がついてそのままにしておくとうろこ状(鱗条痕といいます)の汚れになり、なかなか取れないですよね。バスの窓ガラスも同じ。洗車後の拭き上げは、手洗いも洗車機も人手が必要だったので、手間のかかる作業の一つになっていました。

「BIG WASHERⅢ」を導入した京成バスさんに聞いてみた!

実際にこのハイテクな洗車機を導入した京成バス本社車両課・佐久間さんにその実力を取材しました。

編集部I「以前使用していた洗車機と比べて、どんなところが一番のメリットですか?」

佐久間さん「なんといっても足回り、シャーシーなどが簡単に洗浄できる機能です!」

京成バス新習志野高速営業所は高速バス主体。冬、長距離路線で雪道を走ることが多く、凍結防止剤の洗浄に頭を悩ませていたそうです。また、営業所のある場所は埋め立て地で海に近いため、塩害の影響も受けやすい立地。

足回りを洗浄する機能付き
(第2回バステクin首都圏より)

そこで「BIG WASHERⅢ」を導入する際、オプションで固定式下部洗浄システムも導入。高圧ジェットでバスの真下から水を吹き付け、パワフルに洗浄してくれるというものです。

京成バスさんで以前使用してた洗浄機は、コスト削減のため、仕上げ洗いに使用した水道水を再利用し、下洗いに使用していたそう。これだと凍結防止剤に含まれる塩化カルシウムが完全に除去できないという心配がありました。

今回切り替えた「BIG WASHERⅢ」は“アラッシュ”機能により、使用水量が1/3に抑えられるということだったので、水道水だけの洗浄に変更。

貯水タンク・地上置きに変更

以前は地下に貯水タンクと水の再生装置を置いていたものを廃止し、上の写真のように地上に置く水槽タンクに切り替え。タンクには使った分だけ水道水が補充される仕組みになっています。

また、地下にあった時よりもメンテナンスがしやすくなったので、いつもきれいな水で洗浄できるのもメリットだそう。

佐久間さん「以前は2ブラシを1往復させて洗っていましたが、現在では0.5往復でキレイになります。足回りの洗浄は、雪道を走った場合は必ず必要ですが、それ以外は必要な場合のみの使用に抑えられます。このため、水道料だけに切り替えてもコスト的には節約になっていると思います。」

京成バスさんでも以前の洗車機は、バスが洗いあがるまで約4分、300リットルの水道水を使用(「BIG WASHERⅢ」は100リットルで1/3に削減)していたそうです。

所有するバスの台数は現在49台、一日に洗浄する台数は平均して18台。洗い上がりにかかる時間はあまり変わらないそうですが、節水に関してはすべて水道水に切り替えても十分メリットがあるといいます。

「高速バス路線を持つ営業所では、順次、この「BIG WASHERⅢ」に切り替えていく予定」と佐久間さん。お客様にいつも気持ちよくバスを利用していただきたいので、屋根から足回りまでピカピカに保てる洗車機導入はとてもよかったとおっしゃっていました。

ちなみに18mある連節バスも洗えるの?

ところで京成バスさんでは、連節バスも運行していらっしゃいます。

京成バスの連節バス

この超大型バスはメルセデス・ベンツ・シターロG。長さはなんと18m(通常の大型バスは12m)あります。

編集部I「連節バスも洗車機で洗えるものなのですか?」

佐久間さん「洗えます。ただし、洗車機を移動させるレールの長さが18mないといけません。現在、連節バスは新習志野高速営業所ではなく、新都心営業所芝園倉庫に車庫があります。こちらには18mのレールがありますので、ちゃんと洗えますよ」

とのこと。疑問がすっきり解決できてよかった!

「BIG WASHERⅢ」の洗車コースを選べるタッチパネル

ジェイアール東日本コンサルタンツさんの「BIG WASHERⅢ」は、タッチパネルを順番に操作するだけなので使用はとても簡単。洗車コース(1往復か2往復かなど)を選んだあと、大型バス・中型バス・小型バスとバスの大きさを選択。洗車する部分が選べるほか、カメラなどを取り付けている場合、その場所を避けて洗えるように装備品も選択できる画面があります。

どうです?欲しくなっちゃいますよね。

今の洗車機が老朽化して買い替えを考えているというバス事業者さん、検討してみてはいかがですか?特に雪がたくさん降るエリアに営業所があるなら、検討の余地ありですね。

■取材協力
えびす交通 埼玉営業所
埼玉県三郷市ピアラシティ1-3-1

京成バス株式会社
千葉県市川市八幡三丁目3番1号

■資料提供
株式会社ぽると出版「バスラマインターナショナル」

ジェイアール東日本コンサルタンツ株式会社
東京都豊島区西池袋1-11-1

超節水型バス専用洗車機「BIG WASHERⅢ」春のキャンペーン実施中

ジェイアール東日本コンサルタンツさんでは、2017年6月30日(金)まで、「BIG WASHERⅢ」の見積もり依頼&成約したバス事業者さんに「洗車中ランプ」もしくは「社名ロゴシール(片面分)をプレゼント中。
この洗車機、気になる!という事業者さんは、お見積りを依頼してみては?

【問合せ先】Tel:03-6773-4445(担当:平山・飯島)
t-hirayamajrc.jregroup.ne.jp
※メールの「」マーク部分を半角の「@」に置き換えてお問合せください。
※問合せの際は「バス観光マガジン」を見たとお伝えいただくとスムーズです。

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