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貸切観光バスにトイレ付きがほとんどない理由
- 2016/5/31
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- Q&A, 観光バスの装備

高速バスにあって、観光バスにないものそれはトイレ!?
こんにちは!編集部Iです。
「貸切バスの達人」コールセンターによくある問い合わせのひとつ。それは
「トイレ付きバスを借りたい!」

・バスの中で宴会をするので、トイレが近くなる
・長距離走るのでトイレがあると安心
いろいろな理由はあると思いますが、だいたい上記のような2つの理由に集約される気がします。
中には「撮影や視察で周りに建物、施設が一切ないところで長時間過ごすので、トイレがついてるバスじゃないと困る」という相談もありました。

ところが、貸切バスの場合、トイレ付きバスというのがほとんどありません。
バブルの頃、たくさんつくられたという話を聞きますが、少なくても現在は「ない」に等しい状況です。
「貸切バスの達人」に参加していただいている全国のバス会社さんが持っているバスのタイプ(約4千台弱)を調査してみたところ・・・。
トイレ付きバスはわずか51台!!!
全体の1%程度ということが分かりました。
うち、50台は大型バスで、1台は中型バス。
小型、マイクロはもちろんありません。
これじゃあ手配は無理だよね・・・。
では、なぜ、観光バスにはトイレがついていないのでしょうか?理由を調査してみました!
トイレを付けるとバス料金が高くなる、利用後の掃除が大変!!
高速バス・夜行バスの仕様を見ると、主にバスの後部、もしくは、地下にトイレを付けているケースが多いようです。
いずれにせよ、トイレを付けると座席数が減ってしまいます。
以下の写真は大阪で5月27日(金)に開催されたぽると出版主催のイベント、「2016バステクフォーラム」で展示された東京バスの三菱ふそう「エアロエース(ルーフスポイラー付き)」の車内の例です。

後部座席4席分をつぶしてトイレにしています。

トイレの中はこんな感じ。
また、地下にトイレを付けている例は同じく「2016バステクフォーラム」で展示されていた西日本JRバス(都市間高速車)のものがこちら。


こちらもやはり、座席を2~3席はつぶしている感じになります。
誰がいちばん観光バスを借りているのかを考えると、やはり、旅行会社。
自分たちの企画したバスツアーでバスを貸切って参加者を募り、催行しています。

この場合、できるだけたくさんの人がバスに乗車できる方がコストを下げることができるので、座席数が少なくなるトイレ付きバスは敬遠されます。
バス会社としては、あまり借りてくれないトイレ付きバスを持つよりもトイレ無しバスを多く持ち、どんどん借りてくれた方がうれしいですよね?
また、トイレ付きにすると、当然、使用後は掃除をしなければなりません。
その分の処理に手間や費用、時間がかかるため、トイレ付きバスは通常の値段よりも高くなるのは当然です。
しかし、高い貸切バス料金を払う意味が本当にあるのでしょうか?
トイレ付バスを借りても、1人1回しか使えない!?
いすゞ自動車さんの大型観光バス「ガーラ」につけられるトイレの仕様(一例)を見てみると・・・汚物タンク容量は約47リットル。
だいたい約50回使用できる計算になるそうです。
この汚物タンクはバス用トイレメーカーによってまちまちで30リットル~50リットルぐらいのものが主流といいます。


つい先日、某旅行会社のトイレ付きバスツアーに参加してきましたが、添乗員さんから
「トイレは30回ぐらいしか使用できないので、緊急時以外は使わないでください!その分、トイレ休憩を多めにとります」
というアナウンスがありました。
実際、ツアーの間、トイレを利用したのはお1人でしかも1回のみ。
(緊急とはいいがたいタイミングでしたが・・・)
果たして、このツアー、トイレ付きバスで行く意味はあったのか・・・??
大型バスの定員は約45名。30回しか使えないなら、1人1回も使えない計算になります。
47リットルの大きめタンクでもかろうじて1回のみ。
「宴会したいからトイレ付きがいい!」といっても1人1回もいけないトイレなのについている必要があるのか疑問です・・・。
おそらく、目的地に着く前にトイレは使用禁止になってしまいますよね??
中には約95回使用できるものもあるようですが、観光バス路線には装備されていることはまずないでしょう。
なんとなく、高速バスや夜行バスのイメージで
「トイレ付きなら渋滞しても安心!」
「お腹の調子が悪くなっても大丈夫!!」
そんな思いでトイレ付きを希望しているのだと思いますが、回数制限を考えるとあまり意味がないようです。
トイレ付バスを借りるより、休憩を多めにとる方がコスパ良し!
バスの運行は2時間に1回、必ず休憩を入れる決まりになっています。
これは、国土交通省が発表した「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」にも明記されており、連続運転時間はおおむね2時間まで、運転時間4時間ごとに合計30分以上とることとなっています。
心配であれば、もちろん1時間に1回とることも可能で、一般的なバスツアーでは、だいたい1時間30分に1回はトイレ休憩をとってくれているようです。
高速バスや夜行バスなどでは、時間通りにバス停や目的地まで運行しなければならないため、お客さんの要望でトイレ休憩を増やしたり、減らしたりできないという事情があります。
その点、貸切バスならお客さんの希望通りに行程を組めるので「行きは宴会でお酒を飲むのでトイレ休憩を多く」とか「帰りは少な目でOK」という具合で、融通が利くのがポイント。
幹事さん、トイレ付きバスを無理して借りるより、トイレ休憩の回数を増やしてお出かけくださいね!
※ちなみに「どうしてもトイレ付バスを借りたい」「トイレ付バスの仕組みについてもっと詳しく知りたい」という方は京王電鉄バスさんの取材記事を参照してください。
≫どうしてもトイレ付きバスが借りたい!さあ、どうする?
トイレ付バスまとめ
- トイレ付バスは座席数が少ない+清掃の手間でコストがかかるため、所有するバス会社が少ない
- トイレ付バスは、通常タイプよりも貸切料金が高い
- バスのトイレは回数制限があり、何度も使えない!
- 料金の高いトイレ付車両を借りるより、通常タイプを借りて休憩を多めにとるほうがお得!
■写真提供
いすゞ自動車株式会社
http://www.isuzu.co.jp/index.html
「2016バステクフォーラム」
主催:株式会社ぽると出版(バスラマインターナショナル)
※車両展示より
・東京バスグループ/MBMサービス(共同展示)
三菱ふそうエアロエース ルーフスポイラー車
・西日本JRバス(都市間高速車)