伊豆の踊子号がレストアしてお目見え

東海バスの所有するボンネットバス「伊豆の踊子号」をレストア!これまでの歴史や整備のポイントをご紹介

東海自動車株式会社が2022年に105周年を迎えたのを機に、動態保存してきたボンネットバス「伊豆の踊子号」をレストア。7月25日(月)にお披露目式を開催しました。

前回はこのきれいになったボンネットバス「伊豆の踊子号」で、旧天城トンネルや浄蓮の滝を訪れる「お披露目ツアー」の様子をご紹介しました。

今回は、東海バスの歴史と共により詳しくレストアの様子を紹介したいと思います。

ボンネットバス「伊豆の踊子号」は1964年式、いすゞ自動車製

いすゞ自動車のボンネットバス

ボンネットバス「伊豆の踊子号」はいすゞ自動車のもので、1964年式のBXD30(長さ829㎝、幅244㎝、高さ300㎝)です。なんと私と同級生・・・。

東海バスがボンネットバスを導入したのが1976年。もともとは路線バスとして運行されていたものを、天城路を走る観光用のバスとして採用されます。

東海バスが発行した100周年資料を拝見すると以下のような記述がありました。

伊豆の踊子号登場

運転士の教習車として使用していたボンネットバスは、昭和51年6月12日、天城路に「伊豆の踊子号」として復活した。伊豆の踊子号は、黄八丈を着た車掌が乗車し観光地では前例のない「フリー乗降制度」を採用し、ボンネットバスブームの先駆けとなった。

引用元:東海バス100周年記念資料より

この「伊豆の踊子号」はレトロ人気を巻き起こし、大注目を浴びます。その後ボンネットバスブームの火付け役&けん引役として歴史を重ねきました。

最近では老朽化も進み、動態保存としてイベント等で年に数回走行する程度。さすがにいたるところが痛み、不具合が生じてきたということで、今回の105周年に合わせてレストアしたというわけです。

半年かけて外装や内装、ブレーキ周りなどをレストア

伊豆の踊子号レストアのポイント

今回レストアしたのは以下の通り。

  • 外装:腐食修理、全塗装等、クロムメッキ部のメッキ再施工
  • 内装:部分塗装、ウェザーストリップ・カーテン・客室内蔵カーテン交換等
  • エンジン関係:ラジエーターコア交換等
  • ブレーキ関係:ブレーキブースター強化、ブレーキホース交換等

レストアを担当したのは、愛知県豊田市にある新明工業株式会社です。

当初はエンジンを変える大掛かりな整備を考えていたそうですが、いすゞ自動車に確認したところエンジンは問題ないとの回答。内装や外装のお色直しという方向で整備することになったそうです。

この際、いすゞ自動車から旧車のリニューアルを数多く手がけている新明工業を紹介されました。

レストアで苦労したポイントは?一点ものの部品があった、そして予期せぬ腐食も!

一点ものの部品は手作り

「伊豆の踊子号」が新明工業に到着。使用感など当時の雰囲気をできるだけ残して修復するという方向性でレストアがスタートしました。

まずはボンネットバスを分解しながら悪くなっているところを順次チェック。錆びているところやひび割れを丁寧に処理し、きれいにしていきます。

しかし、一点ものの部品もあり、もう手に入れることができません。「ないものは作ろう」という新明工業ならではの技術で作ったものも。

ドア下の隙間にはほうきが付いています
ドア下の隙間にはほうきが付いています

入口のドア、中の階段ステップカバーの金属も錆びており、オリジナルで作成したものの一つ。

この他、錆びがひどすぎてボルトが取れない、ねじ頭がつぶれて取れないなど、さまざまな難関が待ち受けていました。まさに根気勝負。

ミラーは錆びた部分を切り取りきれいに

バスに付いているミラーなどは錆びがひどく、1/3ぐらい切り取り、付け足してきれいに仕上げています。どこがつなぎ目なのかまったくわかりませんでした。

実はバスの側面に描かれている東海バスのロゴ。なんと手書きだったそうです(現在ではステッカーやラッピング)。昔はこういったロゴをバスに直接描く「看板屋さん」がいました。

東海バスのロゴは手書きだった

現在では昔のように手書きで描ける職人さんが大変少なくなっており、依頼することができなかったそうです。もったいないですが、手書きロゴをベースにステッカーを作成し、きれいに塗装した上から張り付けて完成させています。

バス本体だけではなく、内装の窓枠やカーテンなども一つひとつきれいにしていきます。普通の乗用車と違い、車体が大きなバス。時間がかかるのも無理ありません。

車窓からの景色にこだわりレストア

今回の「伊豆の踊子号」はお客様を乗せて観光を楽しむためのもの。車窓からの風景に一番こだわり、ていねいにレストアしたそうですよ。

レストアの様子は新明工業のホームページで公開されています。興味のある方はぜひ、ご覧ください。

新明工業ブログはこちら≫

生まれ変わったようにきれいになったボンネットバス、今後は観光ツアーも実施

伊豆の踊子号を使った観光バスツアーも実施
「伊豆の踊子号」お披露目ツアーより(旧天城トンネル)

前回、お色直しをした「伊豆の踊子号」でお披露目ツアーに参加した時の様子をレポートしました。今後は、修善寺を起点とした観光バスツアーを企画し、実施する予定とのこと。

バスガイドさんと記念撮影
バスガイドさんと記念撮影

ツアーには黄八丈の着物を身に付けたガイドさんが同行してくれます。この黄八丈の着物は、川端康成さんの書いた小説「伊豆の踊子」に出てくる踊子が身に付けていたもの。

八丈島で織られた鮮やかな黄色に格子模様の入った特徴的な柄で、江戸時代後期に大流行したものだそうです。

伊豆にお越しの際はぜひ、懐かしいボンネットバスに揺られて名所・観光巡りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

ボンネットバス「伊豆の踊子号」での観光バスツアーはこちらをチェック≫

「伊豆の踊子号」は貸切運行も可!20名まで乗車可能です

ボンネットバスは定員20名

そして「伊豆の踊子号」は貸切バスとして利用することができます。古いバスなので走らせる距離や、場所に制約はあるものの、ある程度は自由に走行可能。

社員旅行やバス好きのサークル旅行、町内会・自治会旅行、子ども会旅行など、ぜひ企画してみてはいかがでしょうか。

残念ながらエアコンはついていません。今回のレストアで新たに導入したのが扇風機!

レトロな雰囲気に合わせた扇風機を設置

レトロなバスの雰囲気を壊さないデザインになっています。8月6日(土)、ツアーに参加した際は、窓全開で走りました。

比較的標高が高いところを走ったので自然な風が気持ちよかったです。

ガイドさんを依頼する場合は、貸切バス料金とは別になりますのでご注意を。

貸切バスとして利用したい場合は東海バスまで≫

■取材協力
東海自動車株式会社
東海バストラベル

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貸切バスは、窓を開けなくても「外気導入固定運転」をすることで、約5分程度(マイクロバスで約6~7分)で車内の空気が換気できます。これは、窓が開かない新幹線と同等の換気能力を持つ移動手段

各バス会社とも、新型コロナウイルス感染症対策に一生懸命取り組んでいますので、どうぞ安心してご利用ください。

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