
一度は行ってみたい上高地へ。電車・貸切バスを駆使した都内から日帰りツアーを楽しんできた
日本を代表する山岳リゾートとして誰もが憧れる長野県・上高地。ずいぶん前から行きたいと思いつつ、なかなか行けなかった理由の1つはアクセスの悪さが上げられます。
マイカーでは入れないこと。松本駅から直通バスで約1時間40分かかる、最も美しい新緑・夏休み・紅葉時期は大勢の観光客でごった返すなどの理由で、なかなか足が向かなかったことも事実です。
宿泊できるホテルも客室の数が限られるため、予約は奪い合い…。松本駅周辺(もしくは奥飛騨温泉郷など)で宿泊して日帰りするというのが現実的な行き方でしょうか。

今回は阪急交通社主催の「往復JR特急あずさで行く!上高地 4時間滞在ゆったり散策 日帰り」コースに参加。グリーンシーズンには遅い、でも紅葉にはまだ早いという絶妙に観光客が少なめのタイミングで訪れてきました!
新宿駅に6時30分集合、眠い目をこすりながら「特急あずさ1号」で松本へ

今回のツアーの良い所は松本までは電車で移動し、松本から上高地バスターミナルまで入れる貸切バスで移動すること。一般的な貸切観光バスは上高地バスターミナルまで直接乗り入れできません。

特定条件下で許可を得た団体バスだけが乗り入れ可能で、それ以外は沢渡(さわんど)や平湯バスターミナルから上高地シャトルバス(路線バス)に乗り換える必要があります。

松本まで電車を使うことで渋滞などに巻き込まれる懸念はなく、現地滞在時間を4時間と通常のバスツアーに比べ、約1時間長く滞在が可能に。また、グリーンシーズンや紅葉シーズンの狭間ということもあり、観光客も比較的少ないのではないかという絶妙なタイミング(2025年10月18日催行)でした。

車窓からは秋晴れの景色が楽しめ、松本駅も晴れている様子。しかし、上高地は残念ながら曇りもしくは雨がぱらつくという予報でした…。
松本駅からは「フクトミ観光バス」に乗換えていざ上高地へ!

松本駅西口(アルプス口)を出て貸切バス乗降場所へ向かいます。上高地バスターミナルまでは貸切バスの達人にも参加されているフクトミ観光バスが運行してくれました。
黄色いラッピングが目に鮮やか。三菱ふそうバスです。
上高地バスターミナルにはたくさんの観光バスが停まっているので、間違えないようにバスの写真やナンバープレートなどを撮影しておくように添乗員さんからのアドバイスがありました。
今回同行してくださった添乗員さんは上高地のツアーガイドとしてベテランの方。現地の見どころや注意ポイントなどを的確に案内してくださいました。

実はこのツアー大人気で満席。ダメもとでキャンセル待ちをしていたのを運よく参加できたといういきさつがあります。
なのでバス車内は満席でした。
NHK「ブラタモリ」で予習!「山岳リゾート・上高地の絶景はどう生まれた?」
松本駅から直通バスで約1時間40分で移動します。バス車内では2025年10月4日(土)・11日(土)の2回に渡り紹介された上高地の「山岳リゾート・上高地の絶景はどう生まれた?」で話題に。

私もしっかり予習してきました。番組内で取り上げられていた古い釜トンネルを車窓から拝見。
今回のツアーバスは3カ所のバス停で停車してくれるということで「大正池」「帝国ホテル前」「上高地バスターミナル」のいずれかで下車可能に。

ただ、とても混雑していた場合「上高地バスターミナル」に到着してから、バスが駐車場に入れるまで約30分もかかることもあるそうで、どこで降りるか悩みます。
フクトミ観光バスの運転手さんから今日の道路状況を考えると「それほど混んでいないのでは」、とのこと。

かつて松本でバスの車掌をしていたという歴史作家・関裕二先生にも「上高地で行くなら大正池と明神池どっち?」と伺ったところ、おススメは「明神池」と推薦あり。せっかく4時間滞在できるのだからと思い切って明神池に行く(上高地バスターミナルで下車)ことにしました。
上高地バスターミナルにスムーズに到着、腹ごしらえして明神池へ

「それほど混んでいない」といいつつも、上高地バスターミナルは観光バスだらけ。新緑や紅葉の季節ならどうなるのでしょうか…。
上高地バスターミナルから明神池までは、片道約3.3㎞で所要時間約1時間と少し。休憩と穂高神社奥宮参拝を入れて往復3時間~3時間30分と予測し、行き梓川右岸コース・帰りは左岸コースを通ることにします。

お昼ごはんを食べられない可能性もあるので、簡単な軽食でお腹を満たします(散策しながら食べられるおにぎりや飲み物、チョコレートバーなどは持参)。

「上高地アルピコショップ」で購入したフランクフルトとそばおやきがめちゃめちゃおいしいです。帰りもまだ売店が開いていたらここでまたお焼きをお土産に買って帰ろうと心に誓い、トイレに立ち寄ってから出発!

ちなみに上高地のトイレの多くは有料(チップ制)ですので、小銭を用意されておくといいと思います。
行きは河童橋を渡り、梓川右岸ルートで明神池を目指す

河童橋は梓川にかかるつり橋で、上高地のシンボルでもあります。周辺にはホテルやレストラン、カフェなどがあるので、一般の観光客の方もたくさんいらっしゃいました。

晴れていたら河童橋から穂高連峰や穂高連峰中腹にある渓谷の岳沢などがくっきりと見える、雄大で美しい風景が楽しめます。

生憎の天気でしたが、それでも澄み切った梓川の流れや穂高連峰の美しさをたっぷり楽しめました。
河童橋の喧騒が嘘のように静かで、ゆったりとした散策路へ

明神自然探勝道に入ってきました。さっきまでの喧騒が嘘のように人気がなく、とても静かです。

やっぱり出ちゃう感じですか…。散策路の随所に熊除けのベルが設置されていました。

「効果がないのでは?(むしろマイナス?)」といわれている熊除けのベルを鳴らしながら歩く人も多かったようです。

たまに人とすれ違う程度でとてもゆったりと歩きやすい道。梓川とつかず離れず、森の中を散策する感じなので、飽きません。

紅葉にはもちろん早いのですが、少しずつ木々が色づいている様子も楽しめました。
山の天気は変わりやすいということもあり、念のためダウンジャケットを着用。リュックにはポンチョとレインパンツも装備してあります。
アップダウンもそれほどではなく、体力に自信がない方でも比較的楽しめるコースなのではないでしょうか。
明神池の穂高神社に到着!

ほぼ予定通り(約1時間で到着)に穂高神社の奥宮に到着。日本アルプスの総鎮守として、明神岳の直下にたたずむ明神池の畔に鎮座しているお宮です。

主祭神は穂高見神(ほたかみのかみ、神武天皇の御叔父神)で海神である綿津見神の御子神で、安曇氏の祖神。上高地は古くから「神降地(かみこうち)」と呼ばれるなど、神聖な場所としてあがめられてきました。

明神池はご神域で、一之池から明神岳を入れて撮影するのが人気の映えスポット。この日も大勢の方が撮影の順番待ちで行列を作っていました。

気乗りのしない小娘と記念撮影。明神池は、伏流水が湧いているので冬でも氷結しないことで知られており、パワースポットとしても人気です。小娘は御朱印をゲット。
まだ時間があるので二之池にも立ち寄ってみることにします。
一之池の奥にある二之池は庭園のような美しさ

一之池と繋がっている二之池は、木々や岩石がまるで庭園のような趣を見せています。実は遊歩道脇に三之池もあるそうで、そちらは気づかずにスルーしてしまいました…。
透明度抜群の池で、晴れていたら山々が鏡のように写り込みきれいな景色を楽しめるそうです。
カフェで一休みと思い「Cafe do Koisyo」に行くも時間切れ!?

明神池を40分後に出発すれば集合時間に間に合うというタイミング。せっかくなので明神池近くの「Cafe do Koisyo」に立ち寄ってみることにしました。
運よく、お店の中はお客様がほとんどいらっしゃらなく、これならコーヒー1杯は飲めそうと思ったのですが…。席に案内されて注文しようとしたら、大量のお客様がカフェに押し寄せる(団体ではなく2~4人組が次々来店)という仰天展開。
ホールを切り盛りしていた店員さんが1人ということもあり、注文がなかなかできず、後からきたお客様が次々オーダーするという事態に(意外と、私あるあるなんですよねー)。
結局時間切れで店員さんに「すみませんが帰ります」と告げて注文を諦めて退散しました。残念。
帰りは左岸ルートを「ビール!ビール!」よ心で叫びつつ、駆け抜けて帰ります

カフェでお茶しそこなった親娘は、早く上高知バスターミナルに着いてビールでも飲むべという気分に。明神橋を渡り、梓川左岸ルートを目指します。

明神橋の手前は絶好の撮影ポイントとして知られており、明神岳を見上げる景色は圧巻とのこと。薄いブルーに見える梓川と真っ白な川岸、美しい造形美の山並は忘れられない風景になりました。

途中、「上高地 朝焼けの宿 明神館」近くでトイレを拝借。

途中、岳沢湿原でツキノワグマ2頭の目撃情報の立て看板が…。

山きれいだね、川きれいだね、と言いつつも、熊情報におびえ、飛ぶように小走りで先を急ぎます。左岸コースは右岸コースに比べると林間コースなので、梓川の流れを身近に感じながら歩くなら、右岸コースをおススメします。
「ブラタモリ」でも紹介されていた清水川

左岸コースの河童橋手前辺りに梓川の支流の1つである清水川があります。小梨平南側にあり、長さは300mほどと短い小川ですが、ともかく水が透き通っていてめちゃめちゃきれいなんです。
上高地にある施設の飲料水にもなっており、イチョウバイカモ・クロカワゴケなど大型の水生植物が繁殖していて、水面にゆらゆらと揺れている様子も美しいです。
河童橋からもすぐなので、明神池までは無理だけど…という場合は、ぜひ訪れてみてください。
河童橋でお土産を買い、上高地バスターミナルで念願のビール

河童橋は相変わらず大勢の観光客でごった返しており、お土産購入の列も長く伸びてる…。しかし、上高地らしいお土産(上高地って書いてあるやつ)をなんとかゲットして、急ぎ上高地バスターミナルへ。

残念ながら行きに立ち寄ったお店も生ビールを提供していたお店も営業終了。「おみやげ処ピッケル」で安曇野浪漫ビール(缶ビール)を購入して乾杯しました。
熊に襲われなくて良かった。雨も降らなくて良かった。
最終便だというシャトルバスを待つ大行列を横目に、チャーターバスで座って帰れるのは幸せなことよ。皆さんもぜひ、上高地バスターミナルまで乗り入れできるバス会社でバスをチャーターして楽しんでみてはいかがでしょうか。
早めに松本駅に到着、電車の出発時間まで約1時間自由行動

渋滞に巻き込まれることもなくスムーズに松本駅に到着。帰りの特急あずさ54号の出発時刻は18時40分ということで、約1時間の待ち時間がありました。
いったん駅で解散し、自由行動に。のん兵衛の親娘は当然飲みに行きます。

駅からすぐのところにある「松本ハイボールバー」で飲むことにしました。

こちら、ニッカウヰスキーのハイボールをメインに取り扱うバーです。都内ではサントリーのハイボールはよくスーパーで見かけるのですが、ニッカウヰスキーのものはあまり見かけません。

体力にちょっと不安を抱えた小娘でしたが、無事に元気よく歩き通すことができて良かった、良かった。お店で飲む強炭酸のハイボールはとてもおいしかったです。

シューストリングのフライドポテトを使った「チーズミート」をおつまみに。

上高地で食べたフランクフルトを引きずってる!?「秘伝のハーブソーセージ」も注文。

ハイボールをおかわりして、御食事代わりに「台湾まぜスパ」をいただきました。とってもリーズナブルで居心地のいいバーです。

売店で追加のワインとおつまみを購入し、帰りのあずさでも長野・松本旅の余韻を楽しみます。

最近、お気に入りなのがコップもついたミニワイン。信州限定の七味唐辛子味の柿の種が前回、軽井沢旅行で食べておいしかったのでまた購入しちゃいました。
鹿肉ジャーキーをしゃぶりながら、思い切り上高地日帰りツアーを満喫できた1日でした。
10月中旬の上高地散策の服装は?
2025年10月中旬は比較的暖かい気候でしたので、冬仕様のダウンジャケットだと少し汗ばむような陽気でした。フリースもしくは薄手のダウンジャケットでも大丈夫な感じ。
海外の方だと総じて薄着なので、半そで、短パンという格好の方もたくさんお見掛けしました…。
ただ、明神橋周辺は風が強く、かなり体温を奪われる感じでしたので、フリースジャケットだけではなく、ウインドブレーカーなどを1枚用意しておくと安心かもしれません。私の服装は以下の通り。
- 長袖の速乾性シャツ(ワークマンで購入)
- 濡れても冷たくならない速乾性のパンツ(ワークマンで購入)
- 風を通さないダウンジャケット(ユニクロで奮発して購入)
足元は普通のスニーカーです。念のため、100円ショップで靴の上からかぶせて履けるすべり止め付き靴カバーも持っていきました。
これにリュックを背負ったままでも着れるレインポンチョ・レインパンツ(3コインズで購入)、折りたたみ傘、帽子を持参です。
水は多めに非常食になるようかん、チョコレートバー、柿の種(!?)、自作の防災ボトルを持っていきました。本格的な登山ではないですが、山の天候は変わりやすいのでしっかり対策して行かれるといいのではないかと思います。
上高地の食事事情は?
上高地にはレストランやカフェなどお店はありますが、ともかく観光客が多く、土日祝日や新緑・紅葉シーズンは絶望的に混雑しています。私たちのように空いてると入店したカフェでもあっという間にお客様が押し寄せて、時間切れでランチ難民という場合も。
特に明神池はバスターミナルまで片道約1時間はかかるので、ここで時間をロスするわけにはいきません。

散策はそこそこに、レストランやカフェでまったりするということなら、河童橋周辺がおススメ。比較的お店も多く、テイクアウトして景色のよいところで食べることができます。
今回、大正池の方へは行かなかったのですが、ツアー客の8割が大正池で下車していたので、おそらく食事するのは難しいという印象です。ツアーではオプションとして、お弁当を用意してくれていたので、事前に手配しておくといいと思います。
沢渡や平湯のバスターミナルからシャトルバスで行かれる場合

都内などから貸切バスをチャーターし、上高地に行く場合、釜トンネルから通行規制があるため、沢渡バスターミナルか平湯バスターミナルでバスを停め、そこからシャトルバスで上高地へ向かうことになります。
沢渡バスターミナル・平湯バスターミナルからは約30分程度でアクセスできます。シャトルバスは予約制ではないので、最盛期はかなり並ぶのも覚悟しなければなりません。
松本駅から直行バス「ナショナルパークライナー(約1時間40分)」、アルピコ交通上高地線・新島々駅から路線バス(約1時間)もあり、こちらは予約制なので確実に乗れるのがメリットかもしれません。東京からも直行バスが運行しています。
今回のように上高地バスターミナルへの乗り入れが許可されているバス会社を利用し、松本駅から送迎してもらうというのもスムーズ。1泊して松本観光や飛騨高山観光と合わせて楽しんでみてはいかがでしょうか。
都内から、松本駅から上高地へ貸切バスででかけよう

車の乗り入れ規制が行われている上高地では交通手段も限られます。都内から貸切バスをチャーターして訪れた場合と、松本駅からチャーターして訪れる場合の2パターンでご紹介します。
■都内から上高地までの貸切バス料金目安(570㎞・17時間利用)
1日目
新宿駅6時30分出発==沢渡バスターミナル11時頃着・シャトルバス乗換えて上高知へ==散策(14時~14時30分出発)==上高地バスターミナルからシャトルバスで移動==松本駅周辺で宿泊(16時30分頃終了)
2日目
ホテル10時出発==松本城・旧開智学校・四柱神社・繩手通商店街散策(観光・ランチ・お土産購入)==新宿駅17時着終了
大型バス:234,498円~
中型バス:200,013円~
小型マイクロバス:172,920円~
■松本駅から上高地までの貸切バス料金目安(100㎞・7時間利用)
松本駅10時出発==沢渡バスターミナル着/乗り入れ許可を得ているバス会社なら上高地バスターミナル11時~11時30分着==散策==上高地バスターミナル15時~15時30分出発==松本駅着17時頃着終了
大型バス:76,692円~
中型バス:65,087円~
小型マイクロバス:56,650円~
※上記金額には有料道路・高速道路代、バス駐車場代、ランチ代、駐車場代、シャトルバス代などは別途実費となります。
※バスの営業所から乗降場所までの回送代は含みません。
▼貸切できる観光バスの種類一覧
貸切送迎バスの種類|大型バス|中型バス|小型バス|マイクロバス|サロンバス
★記事内で紹介した貸切バス料金目安は、2025年9月26日に国土交通省から発表された「新公示運賃額」に基づき計算した最低基準額です。
バス会社ごとに料金を算出する単価が異なりますので、あくまでも目安としてお考えください。
貸切バスをご利用になる場合は必ず見積りを取り寄せて、正確な金額を確認しましょう。
バス会社の比較がポイント!










