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バスを運転するという仕事、「日立自動車交通株式会社」にインタビュー

大きな車体を自在に操り、日本のいろんな観光地を旅する。
そんなバスの運転手に憧れ、その職業に就いた、という人は少なくありません。
トラックなどの大型の乗り物を運転するためには
まず「大型免許」取得が必須条件。

大型二種免許

さらに、お客様を乗せて走る路線バスや観光バスを運転するためには
「大型二種免許」を取得する必要があります。

一度にたくさんの人を乗せて走るためには、
安全な運行はいうまでもありませんが、
快適な旅をサポートするための知識や気配りも必要です。

このため、観光バスや路線バスの運転には、トラックとは違う
「顧客満足」、「顧客サービス」という視点を持った運転が求められます。

今回は「バスを運転する仕事」にスポットを当てて、
現役のドライバーさんへお話をうかがいました。

取材に協力してくださったのは、
足立区綾瀬にあるバス会社「日立自動車交通株式会社」さん。

綾瀬にある日立自動車交通本社
綾瀬駅から徒歩約12分程度
セーフティバスマーク二つ星認定

貸切バス事業者安全性認定制度において、2つ星を取得しています。

お話を聞かせていただいたのは、貸切バスの運行を担当する班長の仲内さん、
芝入さん、松井さんの3名です。

日立自動車交通
日立自動車交通株式会社・貸切バス担当のドライバーさん

プロドライバー免許の頂点を目指して!

皆さんはバスの運転手を目指したきっかけはなんだったのでしょう?

まずは班長の仲内さん。

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班長の仲内さんは平成5年頃に大型二種免許取得

「やはり、運転免許で最も上位の資格だったので。」

仲内さんは、大型免許取得後、トラックの運転手として活躍していたそうです。
その後、二種免許を取得。

「試験場で合格を目指して何度も通いました。
私が免許を取ろうと思った21年前はまだ、
教習所で二種免許を取れるコースがなかったので・・・」

トラックの運転には慣れていたものの、
初めて乗るバスの感覚をつかむのにとても苦労したそうです。

ちなみに、教習所や免許取得の時に乗るのはすべて路線バスタイプの大きさ。
10.5m~8mが主流のサイズです。

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路線バスタイプの教習車 【写真提供: 飛鳥ドライビングカレッジ川崎】

高速バス・観光バスの主流は12mの大型バス。

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観光バスタイプの教習車 【写真提供:飛鳥ドライビングカレッジ川崎】

仲内さんは現在の会社に就職後、
最初は路線バスを担当して腕を磨いた後、
現在の観光バス担当へと移動したそうです。

「路線バスから観光バスに変わった当初、車体の長さに戸惑いました。
動きに慣れるまではずいぶん苦労しました。」

先日取材させていただいた「飛鳥ドライビングカレッジ川崎」の原田指導員も
『トラックは運転席のすぐ下にタイヤがあるけど、
バスは後ろにある。この違いが最初はなかなかつかめずに苦労します』
と、おっしゃっていたのを思い出しました。

同教習所では、取り回しの大変な観光バスタイプ(12mの長さ)にも
慣れてもらうため、
路線バスタイプ(試験用)と2台、練習できるようにしているそうです。

→詳しくは「バスの運転免許って、どうやってとるの?~後編~」を参照

お次は芝入さん。

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芝入さんも仲内さんと同じぐらいの頃に免許取得

「私の父はトラックの運転手をしてまして、
体は決して大きくなかったのですが、大きな車体を自在に操る姿を見て
子ども心にカッコいいなぁと。
やはり、父を越えるには大型二種免許をとるしかないと(笑)

仲内さん同様、試験場に何度も通い、大型二種免許を取得したそうです。

3人目の松井さんは、お2人とは少し動機が違うようで・・・。

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松井さんは2010年に大型二種免許を取得

「もともと旅行好きだったんで、いろんなところに仕事で行ける
トラックの運転手になりました。
10~13年ぐらいやっていましたが、お客さまと話せるサービス業に就きたいなと。
旅行ができて、お客さまと話せるといえばやはりバス!
そこで、この仕事を選んだんです」

松井さんにとって、観光バスを運転することはまさに天職だったんですね!

バスを運転する醍醐味はお客様からのうれしい一言!

日立自動車交通さんの場合、
観光バスの運転を任される前は必ず路線バスやスクールバスの運転を経験してからと決まっています。

時間通りにきちんとバスを運行すること、
お客様対応を学ぶこと、交通事情をしっかり把握し、
臨機応変な対応ができるようになること・・・。

路線バスの運転を通じてまずは、プロのバスドライバーとしての基本的な技術やマナー、
質の高いサービスを学びます。

「最初の3か月ぐらいまではとてもキツかったですねー。」
「初めて観光バスを担当したときは、道がわからなくなって、
こっそり地図を見たこともありました。今みたいにETCがなかった時代です。」

みなさん、そこを乗り切るのがとても大変だったとうなずきます。

「会社に入って2~3か月研修を受け、
その後、現場で先輩ドライバーが同乗してトレーニング。
路線バスから観光バスに代わるときも、同じようにトレーニングを受けます。」

石の上にも3年、5年。
日立自動車交通さんではこの厳しい期間を乗り切った人だけが、
プロのバスドライバーとしてハンドルを握ります。

「路線バスを担当していた時、
いつも乗るお客さんが差し入れしてくれたことがありました(笑)」

地域密着ならではの、微笑ましいエピソード。

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路線バス車内でトラブルがあったとき、お客さんに助けられることも

「利用したお客様からお手紙や電話などで
『とてもよかった、また、お願いしたい!』と言っていただくのが
何よりもうれしい!」

次回もまたこのドライバーさんにお願いしたい、
と指名していただけること、
これが何よりもいちばんの励みになるそうです。

そして、プロドライバーとして「魅せる運転」ができたとき。

たとえば、難しい狭路やカーブの多い道など、
揺らさずにスムーズに通過したり、狭くてギリギリの車庫に一発で停めるなど

「お客さまに感動を与える運転がしたいですね。」

バスを運転していて忘れられない「特別な体験」

日々、さまざまなお客さまを乗せて運行しているドライバーさんたち。
皆さんが体験した思い出に乗るエピソードはどんなことでしょう。

班長の仲内さんは

「要人の方を乗せて、普段は入れないところにお連れしたこと」だそう。

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SP付きで大使館の方などを乗せたことも

「二重橋を渡ったり、皇居の中、お堀まで入ったり、
一般には公開していないところにバスで行けるのは忘れられない思い出になります。」

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特別にバスの運行を許されるのは貴重な体験

芝入さんも、普段は入れない奥鬼怒川の秘湯に行ったときが思い出に残っているとのこと。
奥鬼怒川はいまも一般車は通行禁止で、
1988年に「奥鬼怒スーパー林道」が開通するまでは交通アクセスも徒歩に限られ、
容易に訪れることのできない秘湯でした。

松井さんは現在、福祉バスの運行を担当しているということもあり、
「一般の方では許されないところに入る機会は他の方より多いかもしれません。」

いちばん印象に残っているのは『大谷観音』の中に入ったときのこと。

『大谷観音』は、栃木県宇都宮市大谷町にあり、
もともとは大谷石を採掘した跡に、掘られたもので、
地下30mにある地下採石場跡を利用して造られた「大谷資料館」もあります。

トンネルの横幅は約4m、バスの幅は約3.6m。
もちろん、まっすぐではなく、曲がりくねっています。

「ここを通り抜ける時は、まさに手に汗握る運転になりました(笑)。」

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ひやりとする体験!お客さまにも協力いただきたいことがあります

長く貸切バスの運転に携わっていると、
ヒヤリとする体験は少なくありません。

「人やバイクの突然の飛び出しは路線バスでもしょっちゅう。
貸切バスの場合はやはり、シートベルトを外して車内を歩き回られることが
いちばんハラハラしますね。」

つい先日も大きなバスの事故がありました。
せめてシートベルトを締めていれば・・・と思うことがあるそうです。

「いちばんギョッとしたのは、バスを離れ、戻ってきたときに
お客さまが運転席に座っていたことでしょうか。」
と芝入さん。

鍵は抜いていましたが、
万が一、サイドブレーキを外してバスが動いてしまったらと肝を冷やしたそうです。

そういえば、インドで猿がバスを運転したという事件がありましたっけ・・・。

お客さまとしては何気ない気持ちでやっていることでも、
バスの運行の安全にかかわること。
皆さんは、決してやらないでくださいね。

後は、個人のお客さまで貸切バスの運行について
あまり知識がないためにおこるトラブル。

「実際に現地にいったら、バスが入れない!ということが多々あります。」

「バス会社なんだからそちらでわかるでしょう?」と、
よくいわれますが、どのバス会社もいつもそこを走っているわけではありません。
たいていの場合、初めていくことがほとんど。

「路線バスは走ってるよ!」

これも、路線バスは許可されていても、観光バスは入れないことがよくあります。

「できれば下見をしていただくか、先方に問い合わせて確認していただけると助かります。」

旅行会社にお願いするのであれば、こういった確認は旅行会社がしてくれます。
でも、バス会社は旅行会社ではないので、バスを行程通りに走らせるだけ。
自分たちでバスを手配し、でかける場合は、幹事さんの仕事になります。

「また、なぜそこに行くのか、なぜその順番でバスを走らせるのか
よくわからないことがある。」

たとえば、地図上で見ると、
無駄にいったりきたりすることがあると、効率が悪いなーと思うことがあります。

こんな時は「こういう理由(目的・意図)があるので、
この順番でまわてほしい」と伝えてくれると、安心できるそう。

もう一つ困るのが

「絶対、下道を使って!」

と、高速道路や有料道路の利用を拒まれること。

「高速は使わないで、でも、時間通りに運行して!」

というのは、かなり無理があります。
バスは一般の乗用車とは違い、同じルートを走行しても時間がかかります。
(こまめに車線変更とかできませんし、
お客さまの乗り心地を無視した運転はできませんよね?)

時間に余裕を見たスケジュール、行程を心掛けたいものです。

こういった「無理な要望」が、大きな事故につながることを
私たちは肝に銘じなくてはなりませんね。

それから1泊2日でバス旅行を楽しむ時にありがちなトラブル。
運転手さんも宿泊する場合、その手配は原則的に幹事さんになります。

「現地についたとき、宿がとっていなかったり、
食事が付いていなかったりしたことがあります。」

近くに食事ができる場所があるならまだいいですが、
コンビニすらなかったりすることもあったそうです・・・。

どうしても自分たちで手配できない場合は、
旅行会社さんを通じて、バスの手配等をお願いする、もしくは、
「貸切バスの達人」で手配し、事務局に相談してくださいね。

安全にバスを走らせるために日々心掛けていること

最後に皆さんがバスの安全運行のために心掛けていることをうかがいました。

「人の命を預かる仕事。何よりも、健康管理が重要。それから、技術の向上ですね。」

具体的にどのようなことをされているのでしょうか。

「自分が普段運転するバス以外のバスに乗ってみることですね。」

日立自動車交通さんでは、自分が運転するバスが決まっている「担当制」を
採用しています。

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芝入さんの担当しているバス

「バスにはそれぞれ癖がありますし、走りも違います。
実際に運転してみて、その違いを感じるのは大切です。」

また、他の人の運転を観察するのもよくやっているそうで、
「通勤時に路線バスで別の人がどのように運転しているかを見るようにしています。」

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会社で運行しているのは観光バスから路線バス、スクールバスなどさまざま

非番のときなど、
ドライバー仲間で一緒にバスの運転練習にでかけることも。

「それぞれの技術や運転の仕方など、お互いに情報交換し、
切磋琢磨することを大事にしています。」

皆さん、自分たちが乗るバスは自分たちで掃除し、点検し、
愛着を持って手入れしています。

松井さんの担当するバス
松井さんの担当しているバスは現在メンテ中

「お客さまから『これ新車?』といわれるくらい、きれいにしていますよ!(笑)」

お休みの日のリフレッシュ方法はいかがでしょうか?

仲内さんは「休みはのんびり、しっかり休み、車も運転しない」そう。
芝入さんも同じだそうです。

松井さんは少し違うようで
「自分で車を運転し、旅行に行くことが多いです。」

本当に、運転&旅行が好きなんですね!
いってみてよかったところは必ずチェックしているそう。
松井さんの企画したバス旅行、楽しそうです。

日立自動車交通さんでは、
他のバス会社でキャリアを積んだ運転手さんよりも、
初めてバスの運転をするという方を積極的に採用しているそうです。

都内の教習所や那須にある合宿所と提携。
30代~40代の若手を中心に、ゼロからバスの運転を学べるよう体制を整えています。

女性で活躍しているドライバーさんもいらっしゃるとのこと。
自分もバスの運転手を目指したい!
という意欲のある方、ぜひ、応募してみてくださいね。

最後に皆さんの個人的に好きな「バスメーカー」さんをコッソリ、
聞いてみました。

「やっぱり、三菱ふそうのバスですかね。」

理由はやはり、高いだけあって、高級感があり、つくりがいいところ。
メンテやお手入れに面倒なところもありますが、
細かところに気配りがあり、収納力もあります。

皆さん、同意見でした!

お忙しい中、快く取材に応じてくださった、
日立自動車交通さん、ありがとうございました。

これからも安全運転で楽しい旅をお手伝いください!

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プロドライバーとしての誇りを胸に!

■取材・協力
日立自動車交通株式会社
東京都足立区綾瀬6-11-22

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