セーフティバス(貸切バス事業者安全性評価認定制度)とは?

セーフティバス(貸切バス事業者安全性評価認定制度)とは?【12/22更新】

こんにちは!編集部Iです。この度、貸切バスの安全性を大特集中!

前回は国交省の「軽井沢スキーバス事故対策委員会」において、貸切バスにドラレコ搭載を義務化する方向で動いていることについて解説しました。

その際、ドラレコ・デジタコを搭載する貸切バスがまだまだ少ない理由と、搭載するメリットについて、デンソー・セールスさんにお話をうかがいました。

今回は、安全なバス会社を選びたい!というユーザーさんが増えているということを受け、その指標のひとつとなる「貸切バス事業者安全性評価認定制度」について、わかりやすく解説します!

また、2023年に国土交通省・(公社)日本バス協会から「貸切バス事業者安全性評価認定制度」について、抜本的な見直しが図れることが発表されました。こちらも詳しく解説していきましょう。

■もくじ
1. 安いバス会社よりも、安全性の高いバス会社を紹介してほしい!という利用者の声
2. 貸切バス事業者安全性評価制度(セーフティバス)とは?
3.2024年4月から貸切バスの安全性向上に向けた制度改正とは?
4.2024年の取り組み内容から新しいセーフティバス認定制度に切り替え
5. セーフティバス認定のしくみができたきっかけとは?
6. 実行制のある法整備までは、長い長い道のりがあった
7. 新高速乗合バス制度が発足!旅行会社の「高速ツアーバス」が廃止に
8. それでもやっぱり、事故は起きた!「軽井沢スキーバス事故」
9. バスを利用する側が、安全なバス会社を選ぶためにやるべきことは?

安いバス会社よりも、安全性の高いバス会社を紹介してほしい!という利用者の声

安全性の高いバスを利用したいユーザーが増えてる
(バステクin首都圏で撮影)

「貸切バスの達人」を通じて貸切バスを予約したいというお客様に「どのバス会社を希望するか」おたずねしたところ、以前は多かった「安い金額順で!」という要望よりも、「安全対策をきちんとしているバス会社を」という要望が増えているのをヒシヒシと感じています。

「軽井沢スキーバス事故」以降、バスの事故がよく報道されており、安全運行への意識が高まっているように思います。

ところが、実際にそのバス会社さんがどのように安全対策に取り組んでいるのか、一般のお客さまからは見えません。

ホームページなどで積極的に発信しているバス会社さんもあれば、ホームページすらないというところも・・・。

そこで、一般のお客さまが安全対策に積極的に取り組み続けているバス会社を見つけやすくする一つの指標として「貸切バス事業者安全性評価制度」を平成23年(2011年)より運用を開始。2023年で12年目を迎えました。

貸切バス事業者安全性評価制度(セーフティバス)とは?

各バス会社からの申請に基づき、公益社団法人日本バス協会が安全への取り組み状況について評価認定を行っています。
認定を受けた貸切バス会社さんは、国土交通省や(公社)日本バス協会のホームページから随時確認することができます!

認定されたバス会社さんは取り組み状況が優良なバス会社であることが一目でわかるように「SAFETY BUS」マークを表示することができます。

一ツ星セーフティマーク
セーフティバスマークは一ツ星からスタート

初めての申請の場合は「一ッ星」からスタート。
有効期間は2年で、その期間内に更新手続きを行い、取り組みが引き続き優良と判断された場合は「二ッ星」にランクアップ。

二ツ星セーフティバスマーク

2年後の更新申請で二ツ星へランクアップ可能

さらに2年後の更新時に、優良と認められれば最高ランク(2023年まで)の「三ッ星」になります。

最高ランクは三ツ星
最高ランクは三ツ星(2023年まで)

認定を受けたからといって、それで終了ではなく、その後も安全対策に取り組み続けていると認められないと「ランクダウン」や「認定取り消し」もあります。

安全対策への取り組み姿勢を目に見えるカタチで評価しようという制度、それがセーフティバス(貸切バス事業者安全性評価制度)です。

2020年6月30日「貸切バス事業者安全性評価認定規定改正」が行われました。改正になったのは以下のつ。

  • 「更新」の場合、申請から認定までの時期を変更(12月に審議・決定だったものが、翌3月までに認定するとし、申請状況により時期を変更する場合がある)
  • 認定の有効期間変更
  • 再評価の対象を変更(死亡事故を起こした場合でも、条件を満たすことで再評価の対象とする)

新型コロナウイルス感染拡大など、さまざまな事由に対応できるよう、柔軟性をもたせた改正になっています。

そして、2023年には認定制度がスタートして初めての抜本的な見直しが図られました。評価認定も三ツ星から五ツ星へと認定種別も変更

運行管理や健康管理、2024年施行の規制等が強化されたことを受けて、さらに安全性の確保に向けた取り組みを厳しくするという変更内容になっています。

2024年4月から貸切バスの安全性向上に向けた制度改正とは?

2024年4月から貸切バスの安全性向上に向けた制度改正

国土交通省では貸切バスの安全性向上に向けた対策を制度化するため、旅客自動車運送事業運輸規則等の一部を改正する省令の改正などを2023年10月10日(火)に発表しました。

2022年10月に静岡県で発生した貸切バス横転事故(死傷者計29名)を踏まえて、安全性向上のための対策強化として打ち出されたものです。施行は2024年4月1日からとなります。

新制度の概要は以下の通りです。

輸送の安全に係る書面及び記録の保存期間の延長等

貸切バス事業者は利用者と交わした運送引受書、手数料等の額を記載した書類、点呼の記録、業務記録及び運行指示書を3年間保存する(これまでは1年間の保存義務だった)。

また、点呼(運行前後の安全確認など)の記録については電磁的記録として保存することを義務付ける。

録音及び録画による点呼記録の保存の義務付け

点呼のデジタル化
(撮影協力:シティアクセス

貸切バス事業者が点呼を行った際の状況を録音及び録画(電話点呼については、録音のみ)し、その電磁的記録を90日間保存することを義務付け。

アルコール検知器使用時の写真撮影の義務付け

遠隔点呼も可能なアルコールチェッカー
(撮影協力:シティアクセス

貸切バス事業者がアルコール検知器を用いて運転者の酒気帯びの有無について確認を行う際、録画をしている場合を除き、当該呼気の検査を行っている状況の写真を撮影して、その電磁的記録を90日間保存することを義務付け。

デジタル式運行記録計の使用の義務付け

貸切バス事業者は、バスの運行距離等を運行記録計により記録し、当該記録を保存しなければなりません。その記録をディジタル式運行記録計により行い、電磁的記録として3年間保存することが義務付け。

安全取組の公表内容の拡充

貸切バス事業者に、インターネット等で公表が義務付けられている安全取組の内容として、運転者に対して行う安全運転の実技指導が追加。

運輸規則等詳しくはこちら≫

2024年の取り組み内容から新しいセーフティバス認定制度に切り替え

前述したとおり、2024年度申請から一部先行実施。審査基準の厳格化がはじまります。2025年度申請から実施されるのは以下の4本柱です。

1.運行管理などについて審査基準の厳格化

  • 行政処分に対する減点の強化
  • 法令遵守に対する厳格化(法令遵守に対する配点を全面的見直し)

2.健康管理、先進安全自動車など安全に対する高度な取組への評価

安全性能が高い車両の導入推進のため、衝突被害軽減ブレーキに加え、ドライバー異常時対応システム等 国土交通省補助対象となっている先進安全自動車(ASV)の装置に評価対象を拡大

後付け先進安全自動車(ASV)の装置を装備
後付け先進安全自動車の装置を装備(バステクin首都圏で撮影)

運転者の健康管理を強化するため以下を評価対象に。

  • 睡眠時無呼吸症候群対策」
  • 脳血管疾患対策
  • 心臓疾患・ 大血管疾患対策(追加)
  • 視野障害対策(追加)

国土交通省のガイドライン等に基づき規程等を作成し、 計画的に検査を実施している事業者について高く評価

通常の走行訓練に加え、山岳道路、雪山等における走行に特化した研修や訓練を実施している事業者を高く評価

3.規則等改正への対応

  • 点呼の録画やデジタル式運行記録計等の義務化をはじめ、改正される運輸規則に基づき審査を実施し、遵守されていない場合は不認定
  • 検知データ保存が可能等の高性能アルコール検知器の導入について高く評価
  • 改正される改善基準告示よりも厳しい労務規程を設けている事業者を高く評価
  • 改正される改善基準告示に対応し、遵守されているか厳しく審査し、対応できていない場合は不認定

4.評価認定マークの変更及び最高評価を三ツ星から五ツ星にするなど認定種別の変更

  • 2025年以降、新基準の申請で認定された事業者については、新評価認定マークを交付
  • 三ツ星の3段階における評価から五ツ星の5段階における評価に変更

今後具体的な審査内容など、発表があり次第またご紹介します。

そもそも、セーフティバス認定のしくみができたきっかけとは?

セーフティバス認定のしくみができたきっかけ
※画像はイメージです。

そもそものきっかけは2007年(平成19年)2月に、大阪府吹田市で起きた貸切バス重大事故です。

旅行会社主催のスキーツアーで、長野の観光バス会社が運行。早朝、大阪中央環状線を走行中に、大阪モノレールの高架支柱に激突し、添乗員が死亡。運転手を含め25名が重軽傷を負いました。

事故原因は運転手の居眠り運転とされましたが、その後、法律で定められた労働時間を大幅に上回る過労状態であったことが判明。また、交代運転手を配置しなければならない距離にも関わらず、ワンマン運行していたことがわかりました。

そしてその背景には、旅行会社側の法外に安い運賃での運行や、「乗務員不足でバスの運行ができない」という回答を無視しての運行強要などが明らかになりました。

つい先日起きた「2016年1月の軽井沢スキーバス事故」のことを思い出しますよね・・・。

「大阪スキー事故」が起きたときは、貸切バス事業者に対して過酷な労働環境を改善する対策がとられただけで、根本的な改善とはいえない状況。

その後、「貸切バスに関する安全等対策検討会」が行われ、2008年(平成20年)に国土交通省や有識者による「貸切バス事業者の安全性等評価・認定制度検討委員会」を設置。

一般のお客さまが貸切バス事業者を「安全」という視点からも適切に選べるようにする取り組みとして「セーフティバス」の認定が2011年(平成23年)スタートしました。

実行制のある法整備までは、長い長い道のりがあった

実行制のある法整備までの長い長い道のり

しかしながら、その翌年、2012年(平成24年)に再び、「関越自動車道高速バス事故」が起きてしまいました。

このときも旅行会社が主催する都市間ツアーバスで、千葉県の貸切バス会社が運行。
金沢を早朝に出発し、東京ディズニーランドへ向かう途中、関越自動車道の防音壁に撃墜し、7人が死亡、2人が重体、12人が重傷、25人が軽傷を負うという重大事故になりました。

バス会社に国土交通省からの立ち入り検査が入った際、不適切な乗務記録、運行指示書の無作成・記載不備、日雇労働者に運転させた運転者の過労防止措置の不十分など、合わせて36件の法令違反が判明。

さらに、運転手1人でバスを運転してもよい距離の上限である670kmを超過して乗務していたことが分かっています。

この頃、大きな都市を結ぶ高速ツアーバスは値段の手頃さで、人気が年々上昇。
国の規制緩和を受け、新規参入バス事業者が増えたため、過当競争になっていたという背景があります。

「立場の強い旅行会社」から、無理な運行を強要されたり、不当な値下げを求められたりすることで、安全対策がおろそかになっているのでは?

という声が上がり、総務省でも2010年に国土交通省に指導を徹底するよう勧告がなされていた矢先に起きてしまった事故でした。

新高速乗合バス制度が発足!旅行会社の「高速ツアーバス」が廃止に

その後、「高速ツアーバス等の過労運転防止のための検討会」が開かれ、1人の運転手で運転してよい距離を1日・昼間運行は500㎞まで(夜間は400㎞まで)と制限することに。

さらに、いままで旅行会社が主催し、バス会社から貸切バスを借り上げて運行してきた「高速ツアーバス」は廃止。今後、旅行会社が高速ツアーバスを運営する場合には、乗合バス事業者としての認可取得が義務付けられ、安全管理体制や法令順守等のチェックが厳しく行われることになりました。

これが新たに発足した「新高速乗合バス制度」です。

国土交通省では「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」を2013年(平成25年)を発表。

国土交通省では「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」を2013年(平成25年)を発表

新高速乗合バス制度への移行、一本化と貸切バス事業者への「運輸安全マネジメント実施」の義務化、安全コストを反映した運賃・料金制度への移行などをすすめました。

それでもやっぱり、事故は起きた!「軽井沢スキーバス事故」

軽井沢スキーバス事故が起きてしまった
※写真はイメージです。

そして2016年1月。再びツアーバスで事故が起きました。いまでも記憶に刻まれている「軽井沢スキーバス事故」です。

旅行会社が主催し、東京の貸切バス会社が運行。規制緩和を受け、新規参入したばかりのバス会社が起こした事故ということでも注目されました。

国土交通省が定めた「安全コストを反映した運賃・料金制度」の下限を下回る安い料金で運行を請け負い、「激安のスキーバスツアー」であったことが判明。安全性を犠牲にし、コストを度外視したバスの運行は「なくなっていない」ことが浮き彫りになった事故でした。

この事故を受け、国土交通省では貸切バスに対する緊急の抜き打ち街頭監査を実施。
貸切バス事業者に対しても、抜き打ちで健康寝台受診状況や運行指示書作成の有無、点呼の実施、運賃の収受状況等のチェックを行いました。

「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」では、貸切バス事業者に対しだけではなく、旅行会社に対しても罰則を強化。運賃の下限割れを起こさないように「運送引受書」に金額を記載し、手数料の金額についても書面で取り交わすことになっています。

また、運賃・料金についての通報窓口を国土交通省に設置。悪質な違反があったバス会社には、行政処分等の強化も。

さらに、旅行会社とバス運行会社の間をとりもつ「ランドオペレーター」に対しても、「不当に安い金額」でバスを手配した場合、罰則を含む法規制をかけることが検討されています。

2024年からさらに厳しい取り組みが求められるようになったきっかけとしては、やはり2022年に起きた静岡県小山町「ふじあざみライン」で起きた観光バス横転事故(1人死亡、26人が重軽傷)があげられます。

事故を起こしたバス会社は「貸切バス安全性評価認定制度」で三ツ星を取得したバス事業者でした。軽井沢スキーバスとの共通点として「大型バスの運転に不慣れだった」ことが指摘されています。

バス業界では現在、深刻なドライバー不足が進んでいるため、貸切バス料金の実質的な値上げを実施したばかり。今後、ドライバー育成強化は急務な課題と言えそうです。

バスを利用する側が、安全なバス会社を選ぶためにやるべきことは?

安全なバス会社の選び方

1. バス会社の行政処分履歴をチェック!

まずは自分たちが手配しようと思っている貸切バス会社は、安全対策をきちんと行っているかを確認。行政処分を受けているかどうかは、国交省のホームページで公開しています。更新頻度を月1回から3回に増やし、スマホでも閲覧可能です。

また、先ほど紹介した「貸切バス事業者安全性評価制度」で、セイフティマークを取得しているかどうかも指標になりますね!

旅行会社が主催するバスツアーに関しては、今後、貸切バスの運行事業者名を掲載することになっています。

2. 見積りは複数社から取り寄せて、安すぎる会社に注意!

バスを借りようと思ったときは、いろんなバス会社の見積りを取り寄せ、比較してみることが大切。極端に安い金額の場合は注意が必要です。

「貸切バスの達人」では、国交省が定めた料金・運賃制度を遵守し、バス料金を算出しています。
お客様を安全に輸送するために必要な準備やコストを考えられた料金計算法なので(利用時間と距離で計算します)、国土交通省が公示している最低運賃基準額よりも下回る場合は(あってはならないですが)、きちんと理由を確かめる必要があります

複数社比較してみて、明らかに安すぎる!という会社があれば注意が必要です。
(出発場所から営業所が近いと安くなる、などの理由はありますが…)

「安全はお金で買える!」ということを覚えておいてください。

貸切バスの達人には、セーフティバス取得のバス会社が全国から多数参加しています!安全なバス会社を選ぶための、ひとつの指針となりますので、お気軽にお問合せくださいね!

≫全国1,100社が参加!バス会社一覧
≫貸切バスの無料料金見積もり

<貸切バスの運賃・料金についての通報窓口>
国土交通省
メールでの通知:kashikiri-unchin@ml.mlit.go.jp

●「貸切バスツアー適正取引推進委員会通報窓口」
安全運行パートナーシップ宣言(JATA)
電話番号:03-3597-3031(代表)
メール:bustaisaku@jata-net.or.jp

※メールの場合、専用の書式がありますので国土交通省HPよりダウンロードお願いします。

■参考資料
国土交通省

関越自動車道における高速ツアーバス事故を受けた安全性向上の取り組み
軽井沢スキーバス事故対策検討委員会
安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」の公表について
高速ツアーバスをご利用のみなさまへ

公益社団法人 日本バス協会
貸切バス事業者安全性評価認定制度

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