
カンボジアをバスが行く(5) ロリュオス遺跡群「ロレイ」を目指して
さて、カンボジア観光2日目。すっかりおなじみになったヒュンダイ製のバスに乗り込み、ホテルを8時半に出発。
今日はロリュオス遺跡群から東洋のモナリザのあるバンテアイ・スレイ、そして日没の夕陽鑑賞にプノンパケンを巡ります。

ここから約15キロ弱の距離にあるロリュオス遺跡群の「ロレイ」を最初に目指します。ロレイ遺跡は遺跡群の中では最後に建てられたものなのだそう。
888年にアンコールへ移る前、王都はロリュオスにありました。ロレイは、ヤショバルマン1世が祖先を祀るため893年に建てたもので、4本の塔が並ぶヒンドゥー教の寺院です。
つまり、ロリュオス遺跡群はアンコール・ワットよりも古い歴史を持つ、ということです。

この時間になると車の交通量も増え、市街地では対向車に注意しながらバスはゆっくり進みます。

しかし郊外にでればそこはのどかな田園地帯が広がります。

そして幹線道路から外れ、未舗装露に入り、しばらくするとバスは停車。赤土とバスのベージュのカラーリングがなじんでますなー

ロレイ遺跡に到着です。
バスを降り、しばらく歩くとお決まりの急な階段を越えてロレイ遺跡へ

ロリュオス遺跡群への入場には「アンコール・パス」が必要。なので、初日に3日分購入しておけば便利なのがわかりますね。

階段を登ると、敷地の四隅に配された赤い砂岩で作られた祠堂(しどう)が4つあります。

その壁には保存状態の良い金剛力士像のデバターが刻まれています。


遺跡に隣接して学校があり、ここでも屈託のない子どもの笑顔に癒されましたー。


そしてさすが南国!普通にバナナがなっていました。

そんな風景を見ながらバスに戻って次なる目的地へ向かいます。

アンコール遺跡最古のヒンドゥー教寺院「プリア・コー」へゴー!
しょうもないオヤぢギャグにおつきあいいただき、恐縮です。

ロリュオス遺跡群にはロレイの他に、「聖なる牛」という意味のプリア・コー、ピラミッド型の寺院である「バコン寺院」があります。
ロレイ遺跡からプリア・コー、バコン遺跡まではとても近く、バスを少し移動させる程度でプリア・コーに到着です。

プリア・コーにも先ほど見学したロレイと同じ材料で作られた祠堂が見られます。
祠堂はロレイが4基であるのに対し、プリア・コーは前に3基、後ろに3基の合計、6基建てられています。

ロレイ遺跡もプリア・コーも祠堂が赤いのですが、これは元々は漆喰が施されて白かったものが風化して下地の砂岩が出てきてしまったからだそうです。

プリア・コーは879年にインドラヴァルマン1世がアンコール王朝の創始者である両親のために建てたものだそう。
祠堂の前にはシヴァ神の乗り物である聖牛「ナンディ」の像が並び、祠堂の中から神が出て来るのを待っているのだそうです。

こちらの祠堂にも金剛力士像のデバターが刻まれています。またあちこちに細かい彫刻が施されていました。


祠堂の入口にある獅子像。きりりとしたお姿ですが、短足?

そして、バコン遺跡までは徒歩で移動します・・・。

巨大な蛇神「ナーガ」がお出迎え!バコン遺跡
緑の多い参道を進むと、その先に高い塔が見えてきました。

バコン遺跡はハリハラーラヤ王都の中心となる寺院で、アンコール王朝時代の初のピラミッド型をしています。その大きさは東西900m、南北700mと大きな面積を有する寺院です。

寺院に向かう参道には巨大な蛇ナーガが鎮座しています。

よっこら、よっこら、すっかりおなじみになった石段登り・・・。
登り切った先には素晴らしい風景があらわれ、疲れを癒してくれます。


寺院中心にある中央祠堂には、よく見ると細かい彫刻やデバターが施され、それが風化していることが分かります。
ガイドのビーさんよると、建設当初はレンガ造りだったそうですが、12世紀に砂岩で造り直されたとのこと。

このバコン遺跡は派手さはないものの、大きさが体感できるサイズなのか、アンコールワットよりも身近なスケール感です。

五階層の最頂部から下りながら遺跡を振り返ると、その大きさとダイナミックさが目に飛び込んできます。

名残惜しい気分ですが地上に降り立ち、バスへと向かいます。


次は本日のメイン、バンテアイ・スレイ(女の砦)で「東洋のモナリザ」鑑賞です。
お土産ショップ立ち寄りはツアーバスの宿命「Khmer Art Carving Skin(クメール・アート・カービング・スキン)」へ
バンテアイ・スレイに行く前に、ツアーバスの宿命というべき、お土産ショップへ立ち寄ります。

孤児たちがなめした牛革に神々や象、鳳凰などを丁寧に彫り込んだもの(スバエクコー)を販売し、収入を得ています。
また影絵で使われる人形や風景を作っていて、店内で実演して見せてくれます。

スバエクコーを買うと、それを作った子供と記念写真を撮らせてくれます。

ちなみにこれが我が家で購入したスバエクコーの1枚です。そして名前は忘れてしまいましたがこれを作った少年です。

クメール・アート・カービング・スキンを後にして、一路バスはバンテアイ・スレイに向かいます。
と、ところが・・・。
この後、旅の疲れですっかりうとうとして写真、残ってません(汗)。
バスの車窓からの風景は想像におまかせしますっ!
バンテアイ・スレイ「東洋のモナリザ」の微笑みに幻惑されて

さあ、バンテアイ・スレイに到着です。
観光客が多いこともあってか、広くきれいな待機スペースが整備され、またお土産やさんもあります。

周囲には水田や緑生い茂る森の中の参堂を歩くのは、暑いのですがとても気持ちがいいものです。


寺院の外周壁の手前にちょっと新しそうな石碑が建立されています。

これは1992年にユネスコから世界遺産に指定されたときに作られたモニュメントで、写真にはありませんが、裏に日本語で「アンコール遺跡群ユネスコ世界遺産1992」と刻まれているそうです。(帰国後そのことを知りました。)
バンテアイ・スレイの東門から内部へ

いよいよ外周壁に到着、東門から内部に入ります。
こちらの寺院も赤褐色の砂岩で出来ており、またそれが風化して砕けた砂が地面いっぱいを褐色く染めているので、全体的に赤の印象が強い寺院です。

バンテアイ・スレイは女官や踊り子たちが柔らかな曲線で彫られたデバターがあり、その穏やかで優しさを感じさせる微笑みが「東洋のモナリザ」として有名ですが、全体的にこじんまりとした寺院のそこかしこに施されている破風装飾が見事です。

「女の砦」を意味するバンテアイ・スレイは、ラージェンドラヴァルマン2世が967年に建設をスタート。ジャヤヴァルマン5世の時代に完成したヒンドゥー教寺院です。

東門には3頭の象の上に乗っている東を守る方位神、そして雨を降らす雷神のインドラ神が私たちを迎えてくれました。
バンテアイ・スレイの第二週壁門内へ

東門をくぐり、第二周壁門に向って参道を進みます。参道の両側にあるリンガ(男性器を模した崇拝物、シヴァ神の持つエネルギーの象徴)が壁門へと導いています。

第二周壁門を抜けると、明確に参道を示すように石造りの道が第三周壁門に向って延びています。

第二周壁門の中にはヨニ(女性器を模した崇拝物、豊穣多産の象徴)が鎮座しています。
本来はこのヨニの中心の穴にリンガが置かれて、一体として祭られていることが多いそうです。子孫繁栄の象徴を表すそう。
バンテアイ・スレイの第三週壁門に到着

第三周壁門(第三東塔門)です。もう少しすると雨季になり、参道両側が池になります。(次の年は洪水で参道も水没していました)

この門も繊細な破風装飾が施されており、ひとつひとつの絵に意味が込められています。

ヴィシュヌ神の神妃であるラクシュミーが、象に聖水をかけられている姿や、破壊を司るシヴァ神が踊っている姿などいろいろ刻まれています。


更に中へ。猿の守護神「ハヌマーン」たちが(これはレプリカで本物はアンコール博物館にあります)祠堂を守っている姿はとても愛くるしいものです。

いよいよ「東洋のモナリザ」と対面

女神のデバターのまわりには、彼女たちを守るべくドヴァラパーラ(門衛神)が配されています。

女神のデバターは2つの祠堂の各面に2対づつ、合計16体ありますが、現在は近づけなくなり
16体のうち2体は見ることができなくなっています。どうですか、魅き込まれそうな微笑ではないでしょうか(笑)。

規模こそ小さいですが、繊細で深くほられた美しい破風装飾が寺院の至る所に施された「アンコール美術の至宝」を堪能したのでした。

さて、お次はいよいよ本日のラスト観光地。「プノンバケンの丘」で夕日鑑賞です。
---(続く)---
(Photo by KOTA)
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・カンボジアをバスが行く(5) ロリュオス遺跡群「ロレイ」を目指して
・カンボジアをバスが行く(6)アンコールワットを眺望するプノンバケン山へ
・カンボジアをバスが行く(7)3日目午前中はプレ・ループ遺跡やニャック・ポアンへ
・カンボジアをバスが行く(8)プリア・カーン遺跡と圧巻のアプサラダンスショー見学
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