大型観光バス「エアロクイーン」

新型コロナウイルス感染予防で注目を集める三菱ふそう・観光バス「換気性能」を徹底解説!

「貸切バスの達人」ではご利用者アンケートを実施。バス会社の対応やサイト利用の感想・ご意見などをうかがっています。

ここ最近、お客様から寄せられている回答を見ていると「研修や視察を予定していたが新型コロナウイルス感染予防の観点から延期した」という声をたくさん頂戴しています。

県をまたぐ移動規制がついに解除され、延期していた送迎バスの利用や旅行を再検討しようと思っていらっしゃる方も多いのでは?

前回は貸切バス会社が取り組んでいる「新型コロナウイルス感染予防対策」についてご紹介しました。今回はハード面で感染症対策をバックアップする、三菱ふそうの換気性能について詳しくご紹介したいと思います。

ところで観光バスの窓って開くの?

三菱ふそう・エアロエース(2019バステク首都圏より)
三菱ふそう・エアロエース(2019バステク首都圏より)

貸切バスを利用する立場として気になるのは「観光バスの窓は開くのか?」というところ。高速バスなどでは開かない「固定窓」が増えているような・・・。

路線バスも最近では固定窓を採用しているところが多く、開かないケースが増えています。しかし、路線バスは停留所ごとに頻繁にドアの開閉があり、車内の換気は確保している印象です。

「固定窓(開かない)」が増えた背景としては、車内の冷房効率を上げるためといわれています。また、窓を開けることで物を車外へ落としたり、誤って人が落下する、木の枝などが当たってケガをするのを防ぐなどなど、さまざまな理由もあるようです。

観光バスの主流となっている大型バスについては、窓が開くタイプと開かない固定窓の2種類あります。その違いは「補助席」があるかどうか。

補助席を利用している場合、万が一の際に前方のドアから脱出しにくいため、開閉式の窓(引き違い窓)を設置するよう定められています国土交通者の「道路運送車両の保安基準」より)。

高速バスには補助席がないため、開閉できない固定窓。観光バスで補助席がある大型バス(中型バスは補助席なしがほとんど)には、開閉できる窓がついているというわけです。

窓が開かない観光バスの室内換気事情は?

バス車内の換気

今回の新型コロナウイルス感染症予防で言われているのは「密」を避けて、換気をよくすること。「バスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン(第1版)」の中でも、エアコンによる外気導入や窓開け等の車内換気に努めるとあります。

観光バスには車内を快適に保つために、車両後方についている強制排気(強制的換気)と自然換気の2つのモードが設定されています。以前は室内の空気循環と外から空気を取り入れるモードを、自動切換えに設定しているバス会社さんがほとんどだったかもしれません。

しかし、今回の新型コロナウイルス感染予防対策の一貫として、自動切換えから「外気導入固定運転(常時、外気を強制的に取り入れるモード)」が推奨されています。

実はこの「外気導入固定運転」を使用すると、なんと約5分でバス車内の空気入れ替えが可能。換気扇がないマイクロバスでも6~7分程度で入れ替えることができるんですよ!

三菱ふそう・観光バスの空気入れ替えのメカニズム

三菱ふそうでは、室内の空気が入れ替わる様子について性能テストを実施。実験に使用したのは一般的な大型観光バス「エアロエース(大型観光バス・ハイデッカー)」で、停車状態のものと低速走行(40㎞/h)の2つの動画を公開しています。

大型観光バス停車時の換気機能テスト

大型観光バス低速走行時の換気機能テスト

バス車内でスモークをたき、外気導入モードオン!みるみるうちに視界がクリアになっていくのがわかります。

観光バス車内に外気を取り入れるしくみは、天井から取り入れる構造の「天井A/Cタイプ」と床下から取り入れる構造の「床下A/Cタイプ」の2種類があります。

「天井A/Cタイプ」の空気の流れは以下の通り。

大型観光バス・天井A/Cタイプ
大型観光バス・天井A/Cタイプ

以下のようにバスの天井にエアコンが搭載されているのがこのタイプです。

三菱ふそう・エアロエース
三菱ふそう・エアロエース「2017バステクフォーラム」より

「床下A/Cタイプ」の空気の流れは以下の通り。

大型観光バス・「床下A/Cタイプ」
大型観光バス・「床下A/Cタイプ」

以下のように天井がすっきりしたフォルムのバス。床下から外気を取り入れる構造になっています。

三菱ふそう・エアロクイーン「床下A/Cタイプ」
三菱ふそう・エアロクイーン「床下A/Cタイプ」

ちなみに大型路線バスタイプは以下のように外気を取り入れる構造はオプション設定になっています。

大型路線バスタイプ

≫大型観光バスについて詳しくはこちら
≫三菱ふそう・大型観光バスについてもっと詳しく
≫2017年発表の三菱ふそう・観光バスの新型モデルはこちら

三菱ふそう・マイクロバス「ローザ」の場合

三菱ふそう・ローザ(2019バステクフォーラムより)
三菱ふそう・ローザ(2019バステクフォーラムより)

マイクロバスは少人数の送迎やバス旅行で人気の車種!「貸切バスの達人」でも大型観光バスについで利用者が多い貸切バスです。

三菱ふそうでは、マイクロバス「ローザ」についても停車時・低速走行時(40㎞/h)の2パターンで換気機能テストを行っています。

マイクロバス停車時の換気機能テスト

マイクロバス低速走行時の換気機能テスト

三菱ふそうのマイクロバス「ローザ」で換気扇なし(ホイールベースE・GとホイールベースJ)では6分~7分。換気扇付き(ホイールベースE・G・J)タイプならなんと約3分で室内換気が完了!

マイクロバスでのお出かけに関しても安心できるレベルですね。以下が外気導入のメカニズムを説明した図です。

マイクロバスの外気導入メカニズム
三菱ふそう・ローザの換気性能

≫貸切マイクロバスについてもっと詳しく
≫三菱ふそう・マイクロバス「ローザ」についてもっと詳しく

新型コロナウイルス感染予防対策に有効!三菱ふそう・観光バス「換気性能」まとめ

三菱ふそう・エアロクイーン車内

貸切バス会社それぞれが独自に取り組む新型コロナウイルス感染予防策。今回は、三菱ふそうの観光バス・マイクロバスに備わっている換気性能について詳しくご紹介してきました。

同様にJバスの「日野セレガ」「いすゞガーラ」でも「外気導入モード」が備わっており、約5~7分で空気入れ替えが可能(現代自動車の現行モデルも同様)です(出典:国土交通省「観光バス及び路線バスの車内換気能力」より)。

アフターコロナの貸切バス利用を検討中という団体・グループの方、ぜひ参考になさってくださいね。

■画像提供
三菱ふそう・トラックバス

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バス観光マガジン編集部 編集ライター

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