![エアロエース外観](https://www.bus-trip.jp/magazine/wp-content/uploads/2016/05/aeroace_fusobus.jpg)
プロドライバーを魅了する「三菱ふそうバス」、人気のヒミツ(1)デザイン編
こんにちは!編集部Iです。
仕事柄、いろんなバス会社さんを訪問し、取材をさせていただく機会が多いのですが、
バスの運転手さんから「三菱ふそうのバス」が好き、という声をたびたび耳にします。
どんなところが好きなのか伺うと
「デザインがいい」
「細かいところに気配りされた内装」
「運転したときの感触が気にいってる」
などなど・・・。
![三菱ふそうバス・エアロクイーン](/magazine/wp-content/uploads/2016/05/exterior_01.jpg)
いろんな声があがってきました。
うーん、気になる!
ということで、今回はその人気のヒミツを探るべく、
三菱ふそうトラック・バス株式会社さんに取材をお願いしたところ、
「ぜひに!」
というお返事。
しかも、三菱ふそうトラック・バスの栃木県にある「喜連川(きつれがわ)研究所」に
ご招待いただきました!
見た目だけではなく、
乗り心地、安全性、機能性など、
三菱ふそうバスの魅力を存分に探ってきましたよ!
世界でもトップクラスの規模を誇るテストコース施設
三菱ふそう「喜連川研究所」は、栃木県さくら市にあります。
東京からは新幹線で宇都宮経由で約1時間40分程度。
![三菱ふそう・喜連川研究所](/magazine/wp-content/uploads/2016/05/Kitsuregawa.jpg)
トラック・バス開発・試験のためのテストコースを有する施設として、
1980年(昭和55年)に開所。
特に高速周回路はトラック・バス用としては世界最大級の規模を誇ります。
三菱ふそうバスは、この研究所で耐久走行試験や躯体の強度、
エンジンなどのコンポーネント試験などを繰り返し、
より安全で快適なモノづくりへとフィードバックしています。
貸切バスでよく使われる観光タイプの大型バスや中型バス、
路線バスの製造は、富山にある工場で、
年間約2,000台ぐらい造られているそう。
ここ最近のインバウンド(海外からの観光客)増加やプレミアムバスツアー人気で、
バスの受注が次々と舞い込み、製造が追いついていない状況。
大型バスの製造は2015年度、前年対比18%も増加したそうです。
路線バスのようにある程度仕様が決まっている場合は
(国交省が行っている“標準仕様ノンステップバスの認定制度があるため
『盛り上がりを見せる「バスのシートが青色」問題』の記事参照)
まだいいのですが、
観光バスはまさに1台1台がオーダーメイド。
すべてが受注生産で、
注文住宅を建てるのと同じぐらいの手間や時間がかかっているそうです。
このため、どんなに頑張っても1日に製造できる観光バスはわずか8台程度!!
う~ん。知らなかった・・・。
「現在、大型観光バスの需要は増加していますが、
前述のとおり1台あたりの製作日数は長期間を要し、直ぐに増産出来ないのが現状で、
製作部門共々増産に向けた方策を講じ、
少しでも早くお届けしたいと日々努力している所です。」
と、バス販売部・近藤さん。
「バスのシート幅も●cmで!」と細かいオーダーが入るときもあるそう。
バッテリーはこれ、冷蔵庫は●●メーカーの▲▲で・・・
バス1台の仕様書の分厚さは半端じゃない!とか。
普通自動車以上に「こだわり」や
オーナーさんの並々ならぬ「意気込み」がこめられていることを初めて知りました。
確かにバス1台の金額って高い・・・。
しょっちゅう買い替えるものではありませんから、
まさに家を建てるのと同じぐらいの大きな買い物。
オーナーさんが世界でただ一つ、自分だけの特別なバスをつくりたい!
と思うのも無理はないのかもしれませんね。
![エアロクイーン・座席](/magazine/wp-content/uploads/2016/05/mitsubishi_bus_seat-1024x683.jpg)
![3列シートのバス座席](/magazine/wp-content/uploads/2016/05/3seat_bus-1024x683.jpg)
ちなみにバスのシートはどのタイミングで
車内にセットされると思います?
(昔、地下鉄の電車はどこから入れたのかっていう
春日三球・照代師匠の有名なネタがありましたが・・・)
バスのボデーを装着した後、窓から入れるらしいです。
しかも座席ひとつ、ひとつ手作業で・・・。
結構重いので重労働。
1台組み立てるのに大変な時間と労力がかかるのも無理ありませんね。
三菱ふそうバス、デザインへのこだわり
いま日本でバスを製造しているメーカーは、
三菱ふそうバス、日野自動車、いすゞ自動車の3社。
このうち、日野自動車といすゞ自動車は共同で「ジェイ・バス」を設立。
2社で同じ外観のバス車体を製造しているため、
バスのカタチでいうと、日野自動車といすゞ自動車は同じということになります。
いま、見かける観光バスのすべてが新車というわけではないので、
古いバスを含めていろいろな外観のものが走っていますが・・・。
ひとことで「三菱ふそうバス」の観光バス”らしいデザイン”とは
どんなところでしょうか?
「Vラインですかねー」と、バス開発担当の宍戸さん。
![三菱ふそうバスのフロントデザイン](/magazine/wp-content/uploads/2016/05/fusobus_front2.png)
バス正面から見たとき、
Vのカタチにみえるようにデザインされているのがわかりますか?
![三菱ふそうバス・後ろ](/magazine/wp-content/uploads/2016/05/fusobus_back-1024x682.jpg)
後ろからみたときもほら!
ゆるやかですがVの字を描いているのがわかりますね。
先日読んだ「働く!バス娘」という本でも
「たくましい」と表現されていた三菱ふそうバス「エアロスター」ですが、
日野自動車のセレガ・いすゞ自動車のガーラに比べて
確かに「硬派」なイメージがします。
男性のドライバーさんから見たら、
そういうクールで男らしい印象が「いい!」ということなのかもしれません。
また、観光バスならではの「こだわり」といえば“眺望の良さ”も大切。
路線バス「エアロスター」の場合は、フロントガラスが2枚になっていますが
![エアロスター](/magazine/wp-content/uploads/2016/05/concept_pict_c.png)
観光用の「エアロクイーン」は、フロントガラスが1枚!
![三菱ふそうバス・エアロクィーン](/magazine/wp-content/uploads/2016/05/aeroqueen-1024x683.jpg)
値段は高くなりますが、
視界を遮るものがない1枚ガラスなら眺望は抜群!
四季折々の景色を楽しみながら旅ができる、
観光バスならではのだいご味ですね。
こちらの夜行高速バスなどで使われるタイプの「エアロエース」は、
横の窓もワイドビュー!
![エアロエース](/magazine/wp-content/uploads/2016/05/aearoace-1024x683.jpg)
後ろの席であっても視界がよく開け、眺めの良さを体感できます。
このようにバスの窓を大きくとるなど
車体デザインの自由度アップに貢献したのは
角チューブ構造になったためといわれています。
抜群の乗り心地、そして、運転の快適さ
長時間バス(あるいは車)に揺られてお尻が痛くなった!
という経験はありませんか?
この「バスの乗り心地」に大きな影響を与えるのが「サスペンション」。
いわゆる車の「足回り」ってやつです。
路面の凸凹を吸収し、車体に伝えにくくし、
乗り心地の快適性、操縦安定性には欠かせない存在。
三菱ふそうバスの場合は、
前輪にはダブルウイッシュボーン式の独立懸架(どくりつけんか)サスを
後輪にはワイドサス(ラテラルロッド付の4リンク式サス)を採用しています。
![フロントサスペンション・三菱ふそうバス](/magazine/wp-content/uploads/2016/05/cruis_02-1.jpg)
![リアサスペンション・三菱ふそうバス](/magazine/wp-content/uploads/2016/05/cruis_02-2.jpg)
ダブルウイッシュボーン式は、
サスペンションアーム(車輪の動きをコントロール)を
横方向に2段に配置して車輪を支える構造のこと。
また、独立懸架サスというのは、
左右の車輪を別々に上下させることができるのが特徴。
路面の凸凹の変化に機敏に反応し、
自然でやさしい乗り心地を実現してくれます。
後輪は固定車軸方式。
4本のリンク(車軸と車台をつなぐ棒)で車軸を支えます。
ラテラルロッド付きにすることで、
操縦安定性が増し、
悪路で車体が上下したときでもハンドルがとられにくいなど
さまざまなメリットがあります。
これらに加えてECS(電子制御サスペンション)を採用。
サスペンションの特性を路面状況によって変化させることで、
快適な乗り心地と確かな操縦安定性を高次元で両立させています。
今回は喜連川研究所の高速周回路、
上から2番目にキツイバンク(道路の横傾斜角度)、
1周3.6㎞を約130㎞/hでその乗り心地を実体験させていただきましたっ!!!
(※ご参考:1番レーンの最高横傾斜角度は46.5度です)
乗用車でも120㎞/h出すと、かなりのスピードですが
バスで130km/hって・・・しかも傾いてる・・・。
![傾斜46.5のバンクコースを疾走](/magazine/wp-content/uploads/2016/05/bank_image-1024x682.jpg)
ハンドルを握るのは地上を走る乗り物で、
持っていない免許はない(?)という車両実験部主任の松尾さん!
取材班を乗せたバスはテストコースへと向かい、
ぐんぐんとスピードを上げていきます。
130㎞/hという高速走行でもまったく不安を感じない安定した乗り心地。
バンク46.5度に迫る角度ですから当然、座席も私も傾きますが、
それも気にならなりません。
すごい!!
少々コストは高くなりますが、
安全で快適な乗り心地には代えられませんね。
ドライバーさんの立場としては
サスは「硬め」が好き、「やわらかめ」が好きなど
好みがわかれるところかもしれませんが、
バスに乗るお客さんにとっては「疲れにくい」、
「安心して身を預けられる」が一番です。
さて、次回はプロドライバーさんの“運転しやすさ”やかゆいところに手が届く心遣いなど、メーカーとして取り組んでいることに焦点を当ててご紹介しましょう!
■取材・撮影協力
三菱ふそうトラック・バス株式会社
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