貸切バスは1日何時間まで運転してもよい?

貸切バスは1日何時間まで運転してもよい?運転手1名の場合は?

初めて貸切バスを利用する場合、1日何時間まで利用できるのか、1名の運転手だった場合の利用時間に制限があるのか気になりますよね。

もちろんバスの運転手だって1人の人間ですから、1日の運転時間に限界があります。東京から大阪など長距離を走る高速バスなどの場合は、必ず交替運転手が同乗しているのを見かけていることでしょう。

今回は運転手1名だった場合、貸切バスは何時間まで利用できるのか。交替運転手がいる2名体制の場合はどうかについて解説していきましょう。

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貸切バスの運転手が1名(ワンマン)だった場合、1日の運転時間が9時間までが目安

貸切バスの運転手が1名(ワンマン)だった場合、1日の運転時間が9時間までが目安

お仕事をされている皆さんならご存じの通り、一般的には1日の労働時間は8時間。お昼休憩を1時間取るので、始業から就業まで会社に拘束される時間は9時間ですよね。

貸切バスの運転手も同じです。原則的に、お客様を乗せてバスを運行してもいい時間は「9時間」までとなっています。

1泊2日のバス旅行で利用する場合は、2日間の平均が「9時間」以内であればOKです。

貸切バスの運転手はバスを運転していない時間も働いている!

帝産観光バス 東京支店
(撮影協力:帝産観光バス 東京支店)

一般の企業の場合、定時で終わらなければ残業することもあります。バスの運転手ももう少し長く運転できるのでは?と思われるかもしれません。

しかし、バスの運転手はバスを運転する前後にも働いています。まずは安全管理のため、バスの営業所に出社すると、バスの整備点検。

バスの整備点検は運転手の仕事
(撮影協力:帝産観光バス 東京支店)

さらに運行管理者による「点呼」があります。これは運転手の体調(寝不足や具合が悪くないかなどをチェック)やアルコールが残っていないかを確認。

さらにバスを運行するルート上に何か危険な場所はないか、交通渋滞や事故が起きてないかなども確認することが含まれます。

バスが営業所に戻ってからも「点呼」やバスの掃除などいろいろやることがたくさん。実はバスの運転手って一般企業にお勤めするよりも長く働いていることが多いんです。

また、バスの営業所から皆さんが乗降する場所まで、バスは回送されます。この運転時間も当然、勤務時間に含まれるというわけです。

運転・点呼・バスの装備点検やお掃除などを含め、1日の拘束時間は原則13時間まで

運転・点呼・バスの装備点検やお掃除などを含め、1日の拘束時間は原則13時間まで

1人の運転手が勤務しても良い最大の時間は13時間以内。バスを運行している時間を9時間とするならば、安全点検に必要な時間は運行前・運行後、それぞれ1時間ずつです。

合計すると11時間。これにバスを回送する時間を含めれば12時間~13時間ということになります。

もちろん、毎日9時間運転しているわけではありませんが、バスの運転手が足りていない現状を踏まえると、意外に働きづめだなと思いませんか。

2024年4月に貸切バス運転手の勤務時間など、ルールが変更になります!

2024年4月に貸切バス運転手の勤務時間など、ルールが変更になります!

そして物流や運送会社、バス業界でささやかれているのが「2024年4月問題」。厚生労働省から自動車運転者の労働時間等の基準改正が図られ、2024年4月1日から適用されます。

改正のポイントは「拘束時間の限度」と「休息期間の確保」です。当然、流動的なバスの運転という性格上、渋滞に巻き込まれるなどして本来は9時間運行だったものが、11時間となり、上限の13時間を超えてしまうこともあります。

この場合、現在の法律では最大で16時間までは延長可能ですが、改正後は15時間以内になり、14時間を超える勤務は週3日までが目安となります。

このことにより、ただでさえも運転手不足なのに、運転手がいても働かせることができないという状況になるため、物流の停滞が問題視されている、というわけです。

バスは空いてるけど運転手がいない、運転手もいるけれどその時間帯からの運行はできない

バスは空いてるけど運転手がいない、運転手もいるけれどその時間帯からの運行はできない

よく起こりがちな事例としては、夕方出発で夜遅く戻るような送迎バスだと「断らざるを得ない」ということ。

運行から運行までの間を連続して11時間以上(最低でも9時間以上)休まなければならないというルールがあり、その日に確保できる運転手が翌朝早い時間から運行予定が入っていたら勤務させることはできないということになります。

運転手がたくさんいれば、問題にならないかもしれませんが、どこのバス会社も運転手不足が深刻。バスや運転手が空いていても「運行できない」ということが起こりえるというわけです。

交替運転手を含め2名体制(ツーマン)で運行する場合は、上限が19時間まで延長可

交替運転手を含め2名体制(ツーマン)で運行する場合は、上限が19時間まで延長可

先ほど、1人の運転手がハンドルを握ることができる時間は最大で15時間まで延長可能とお伝えしました。交替運転手を配置し、ツーマン運行にした場合、19時間まで延長可能となります。

例えば東京~大阪間のように長距離・長時間を運行する場合、当然1人の運転手では運転できません。その距離約500㎞で一般自動車なら7~8時間ですが、バスの場合は時間がかかりますので最低でも10時間は見ておかなければなりません。

たいていの場合、夜行運行を希望されるはずなので、夜間1人の運転手で運転してよい距離は400㎞まで。この場合、交替運転手が必ず必要となります。

たとえ交替運転手がいたとしても、1日に運転してよい時間は9時間まで、次の運行まで連続して11時間以上は休息が必要、ということには変わりはありません

夜行で東京から大阪に行き、その日の夜また東京に戻る、という運行はかなり厳しいといということになります。それでさなくても運転手不足なのに、2名の運転手が2日間拘束され、戻ってきてからもハンドルが握れないとなると、運行を断らざるを得ないというのが理解していただけたでしょうか。

また、交替運転手付きの運行は通常のバス料金に比べ1.5~2倍に跳ね上がるというのも覚えておきましょう。

なぜ高速バスは、夜行運行可能なのか?

高速バスはどうして長距離・長時間運行が可能なのか

貸切バスは夜行運行が難しいのに、高速バスが夜行運行できるのは何故でしょうか。それは高速バスの場合、時間やバスを走らせるルートが決まっているから。

到着した場所に営業所があり、運転手が点呼を受けたり、しっかり横になって休息できる場所が確保されています。2つのバス会社が協力して、お互いの営業所で点呼を受けるなど、融通を利かせているケースもあるようです。

2名の運転手が東京から大阪まで運転し、到着したら別の運転手2名に交替してまた大阪から東京に戻る、というのを繰り返せるのが大きなメリットといえるでしょう。

貸切バスの場合、運行ルートも時間も自由であり、必ずしも同じ場所を行き来しているわけではないので、高速バスのような体制は取れません。

なので、高速バスでは可能であっても、貸切バスでは難しいといえそうですね。

「貸切バス」は1日9時間まで、運転手1名で運行できる条件が最も経済的

「貸切バス」は1日9時間まで、運転手1名で運行できる条件が最も経済的

貸切バスを利用する場合、1人の運転手で運行してもよいのは最長で13時間までですが、バスを運転していない時間も業務についているため、途中の休憩を含めて最長でも9時間までと覚えておきましょう。

例えば、朝9時からバスを使うなら、18時までということになります。

また、バスを運転している時間も2時間おきに10分以上の休憩、4時間で30分以上の休憩が必要。この時間もバスの運行時間に含まれているので、休憩時間も含めた運行時間を計画する必要があります

運転手が次の運行まで継続して11時間以上(条件によっては9時間以上)の休息が必要。バスや運転手が空いていたとしても、翌朝に早朝から運行予定が入っていた場合、夕方から夜遅くまでのスケジュールで引き受けられない可能性がある、ということもぜひ覚えておいてくださいね。

貸切バスの達人」では、バス会社にまとめて見積りが取れる便利サービスを提供。バス会社と直接やりとりができるので、見積りを取った後の流れも大変スムーズと好評いただいています。

貸切バスのご用命はぜひお任せください。

この記事を書いた人
ちくわ

旅行メディア編集長兼ライター、総合旅行業務取扱管理者、旅行会社勤務経験あり、目黒区ボランティアガイド見習い中。プライベートでも古代史オタクとして年に数回フィールドワークに出かける旅好き。時々バス愛がさく裂!?

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