
路線バスは定員がない?路線・夜行・貸切バスの定員を比較
バス通勤をしている社会人の皆さん、朝は出勤ラッシュに見舞われ、会社に向かうだけでも疲れてしまいますよね。
「こんなに混んでるんだから、もう乗せなきゃいいのに…」
満員すし詰め状態でもまだ乗せる朝の光景に、そう思ったこともあるのでは?
ではそもそも「路線バス」に定員はないのでしょうか?
皆さんの路線バスへの疑問、高速バスの定員、子ども料金などについて調べてみました。
路線バスに定員はない?定員の考え方

路線バスに定員はないのでしょうか?
その答えは「定員数は一応ある」になります。
一応と含んだ答えになったのには、理由があるのです。
路線バスにおける乗客の定員数は「座席数」「立って乗車できる定員はバスの床面積」から算出され、その数が定員となります。
もちろん立っている人が走行中ブレーキを掛けた時に転倒しないよう、天井握り棒、つり皮、縦握り棒、手すりなどが設けられていなければなりません。
バス内の座席数はバス車体の各製造メーカーによって、実にさまざまです。
あくまで目安とはなりますが、路線バスの種類別サイズと定員数は以下の通りです。
- 大型路線バス:全長10 ~11.5m、車幅2.5m、定員約70~80人
- 中型路線バス:全長8~9m、車幅2.3m、定員約60~70人
- 小型路線バス:全長7m、車幅2~2.3m、定員約25~30人

バスの大きさや幅は規定によって定められていますが、座席は車いす用のシートが補助席になっているタイプや一人掛け、二人掛けと各種あるので、バスによって座席数に幅が出てきます。
路線バスは定員オーバーでも警察に捕まらない!?
「えっ?いつも利用している路線バスは、座席とつり革の数をはるかにオーバーして乗客を乗せてるよ」
と思われた方もいるのでは?
そうなんです。ラッシュ時は定員をオーバーして乗せてますよね。
それでも警察から咎められたりせず、そのまま乗せていられるのはなぜでしょう?

実は路線バスにおける「定員数」はあくまで「目安」であって、守らなければ処罰対象となるわけではないのです。
路線バスにおける定員は「サービス定員」「旅客定員」と称され、限られた区間と時間に乗り降りする路線バスでは、定員数以上を乗せたとしても法律違反にはなりません。
実はこの考え方、電車などの「鉄道」にも共通します。
いくら定員をオーバーして乗せたとしても、もともと驚くような数は乗せられません。
そこも見越しているのです。
路線バスの運転手さんは定員をどう考えてる?
関東の路線バス会社の運転手さんに聞いてみると、こんな答えをもらえました。
「定数ももちろん大事ですが、乗客の安全を第一に考えて乗せるようにしています。例えば、乗降口の扉が開かなくなるほど満員になった場合は、おのずと次の停留所からは乗せない、という判断をします」
確かに、朝のラッシュ時は乗り口の扉ギリギリまで乗客がぎゅうぎゅうになってしまうこともありますね。

そんなとき、停留所に停車はしても
「バス内が非常に混雑しておりますので、安全上の配慮から次のバスをお待ちいただけますようお願いします」
と、外のスピーカー越しに運転手さんが待っている方々に呼びかけ、扉を開けずにそのまま発車するのを見かけたことがあります(筆者の体験による)。
バスの運転手は立場上、乗客が安全にバス車内で過ごせているか、乗り降りする際も車や自転車などとの接触の危険がないか、十分に確認してから扉を開閉しています。
乗客の安全を守ることも運転手としての務めなのですね!
シートベルト着用できない路線バスでも高速道路を走行してるバス会社がある!

つい先日、TBS系「がっちりマンデー」でも紹介されていましたが、西鉄バスが「立ち乗り&シートベルトなし」で福岡都市高速を走っていることは有名ですよね。
その理由は「国土交通省で定める道路運送車両法で正式に認められ、基準緩和認定を受けているため」。
- 都市高速を走行する距離もしくは時間が運行経路全体の2分の1以下
- 都市高速内は(80km/h規制区域であっても)60km/h以下で走る
- ABSがついている車両である
などの条件をクリアしており、基準緩和を受けたことを示すステッカーを車両前面・後面・運転席に貼る、60km/h以上の速度が出た場合に運転手へ警告する機能(ランプ、ブザー)が装着されているなども必要なのだそうです。
関東エリアでは埼玉県を走る東武バスウエスト「新高01」系統が有名。他にも名古屋や広島にもあるそうですよ。
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・路線バスは貸切できる?
高速バス&夜行バスの定員は?

では「高速バス」と「夜行バス」の定員はどうなのでしょうか?
「高速バス」とは、行程中に高速道路を経由する長距離バスのことです。
「夜行バス」は夜から朝にかけて高速道路などを通り移動する長距離バスで、座席がリクライニングシートになって眠りながら移動できるなど、車内にはさまざまな工夫がこらされています。
高速バス(夜行バス)の定員は、路線バスとは全く違った考え方に基づいて算出されていました。

高速バスも夜間バスも共通して高速道路を走りますので当然、「シートベルト着用」が義務づけられます。
この運行上の理由から、高速バスと夜間バスは座席数分しか、乗客を乗せません。
もちろんつり革もありませんから、座席数以上の乗客を乗せれば「処罰」の対象となってしまいます。
3人で2席はOK?バスの定員「子ども」の考え方

高速バスも、子連れでの乗車は可能です。
ただし、子どもの高速バスへの乗車には、いくつかの注意点があります。
高速道路を走る以上、座席に座ってシートベルトを着用することがマストとなります。
では乳幼児の場合はどうなるのでしょう?まずは子どもの年齢による運賃区分を見てみましょう。
【子ども料金の区分】(バス会社によって名称や年齢区分に多少の違いがある場合もあります)
●乳児…1歳未満
●幼児…1~6歳未満(小学校入学前は幼児扱いです)
●子ども…6~12歳未満
基本的に「子ども」扱いとなるのは6歳以上からのようです。乗車運賃に関しては各バス会社によって異なりますので、確認が必要となります。
※ただし、幼児でも1人で座席を使用する場合は子ども料金がかかってしまいます。また幼児が2人以上乗車する場合は2人目から、子ども運賃がかかります。
また、高速バスの2席に子3人で乗ることは安全上の理由からNGになることがあるそう。
「子ども」の年齢からひとりで一席設ける、ということになりますので、シートベルトの着用義務も原則的には発生してきます。
ですが、多くのバス会社では乳幼児を含む子どものシートベルト着用を免除しています。
これは道路交通法に基づくもので、ベルトを締めることで逆に身体への圧迫など物理的な問題が生じる場合は「免除する」ことが許されています。
また、ほとんどのバス会社で「チャイルドシート」や「ジュニアシート」の用意はありません。
たとえ手持ちのチャイルドシートを持参したとしても、高速バスの座席に装着できるとは限りませんのでご注意を!
子どもを高速バスに乗せるということは、こうしたリスクも発生してくるのです。
完全に横になって移動できる夜行バスもある!

夜行バスといえば座席が狭い、寝返りが打てないのでお尻が痛いなど、さまざまな理由で熟睡できませんよね。私もよく利用していますが、きちんと寝れたためしはありません…。
長距離になるほど苦行になる夜行バスですが、高知駅前観光が完全にフラットになるシート「Sommeil profond(ソメイユプロフォン)」を開発。2023年に開催された「バステクin首都圏」で初お目見えし、現在試験運行中です。

こちらも前述の「がっちりマンデー」でも取り上げられており、快適に熟睡して移動できたと紹介されていました。「バスにベッドを設置してはいけないが、シートの倒す角度に決まりがない」というところに目を付け、それなら180度リクライニングする「シート」をつくった、ということです。
当然、スペースを取ってしまうため、2段ベッドのように上下で設置することで座席数を増やしています。こんな夢のような夜行バス、もっと増えていったら嬉しいですね。
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・高速バスは貸切できる?
貸切バスに定員は一応あるものの、バス会社ごとに異なる

それでは貸切バスには定員があるのでしょうか?
「貸切バス」とは、運転手付きでバス会社からバスをチャーターし、自分たちで自由に行程・目的地・ルートを決めて移動できる交通手段です。
旅行会社が主催して催行する乗合バスツアーとは異なり、自分たちだけの貸切空間で楽しく、快適に過ごせるのが魅力になっています。
行き先もルートも自由なので、もちろん高速道路を使って走行することもあります。このため、必ず着席してシートベルトが締められるというのが原則。
もちろんつり革もありませんので、定員数以上の乗客を乗せて走らせることはできません。
一般的な貸切バスの種類・サイズ・目安となる定員数は以下の通りです。
- 大型観光バス:全長10~12m、車幅2.5m、高さ(車高)3.8m以内、定員53~60人(補助席込)
- 中型観光バス:全長8~9m、車幅2.5m、高さ(車高)3.8m以内、定員27人(補助席なし)
- 小型マイクロバス:全長7m未満、車幅2m、高さ(車高)2.7m、定員~26人(補助席込)
この他、台数は少ないですが定員21~25名程度の小型観光バス(製造終了のため)、定員11~13名程度のコミューター(ミニバス)も。いずれも所有するバス会社があまりないので、借りるのはかなり難しいといえます。
また、中型観光バスは定員(乗車可能人数)が27~28人で、補助席を付けないのには理由があります。それは、30人を超えると大型バスと同じ高速道路料金(高速料金はバスの大きさだけではなく、乗車可能人数でも異なるしくみ)となることです。
貸切バスは各バス会社によるオーダーメイドで製造されている

それではなぜ貸切バスはバス会社、バスごとに定員数が微妙に異なるのでしょうか。それは、基本のバスのサイズは同じでも、座席数や内装、バス装備などが自由にカスタマイズできるからです。
一般的によく行われているカスタマイズは以下のような例があります。
- サロンバス:後部座席をコの字型に回転させ、テーブルや冷蔵庫などを設置。左右の座席を2脚~4脚回転できるようにしているバス会社が多い
- 車いすごと乗車できるリフト付きバス:スロープや電動リフト付きで車いすを2台~4台程度固定できるバス会社が多い
- 座席数を減らして荷物室やVIPシートなどを導入
特に最近では小型観光バスがなくなってしまったため、送迎用で活用されている小型マイクロバスの内装を豪華にして、小グループでゆったり移動できる特別仕様にするケースが増えています。
また、小型マイクロバスは撮影などに利用する「ロケバス」として運行することも多いので、座席数を減らして多くの荷物を積んだり、メイクや着替えスペースを作るなどカスタマイズすることが多いようです。
貸切バスを借りる場合、補助席の有無やカスタマイズにより定員(乗車可能人数)が大幅に異なることがあります。原則、正座席に座れる人数でチャーターするバスの大きさを決め、具体的にバス会社に座席数を確認してから契約をしましょう。
バス会社にお願いすれば借りるバスの「座席表」を送ってくれますよ。
貸切バスもチャイルドシートを設置するのは難しい&レンタルもありません

高速バスのところでも解説しましたが、貸切バスでも乳幼児を含む子どものシートベルト着用が免除されています。
また、貸切バスは「子どもを乗せること」を原則としていません。
一般的な乳幼児向けのチャイルドシートは3点式シートベルトで着用するような構造になっています。貸切バスの場合、最新型は別として2列目以降は2点式シートベルトです。
つまり、構造的に装着できないんです。

レンタカー会社では主に普通自動車のレンタカーを扱っているので、チャイルドシートのレンタルもありますが、貸切バスにはありませんのでご注意ください。
赤ちゃんや小さなお子さん連れの場合は、しっかり抱きかかえるか(現実的ではない)、自分のチャイルドシートを持込み一番前の座席(3点式シートベールとになっている)に取り付ける(取り付けられない可能性もあります)。

もしくはバスとは別に乗用車を用意してチャイルドシートを装着して運行することになります。
路線バスは定員がない?路線・夜行・貸切バスの定員を比較まとめ
路線バス・高速バス(夜行バス)・貸切バスそれぞれの定員数と座席の考え方について詳しく見てきました。
路線バスは通勤・通学・通院などの便利な足であり、毎日走らせるルート、時間が決められています。大勢の人をリーズナブルにいっぺんに輸送できるよう、乗車可能な人数が多く、定員数も決まっているようで決まっていません。
高速バス(夜行バス)は離れた都市間を結ぶ電車・飛行機などの代替交通機関として人気で、こちらも走らせるルート・時間が決まっており、値段もリーズナブルに設定されています。ただし、高速道路を走行するため、定員数は決まっており、立ち席や補助席は原則ありません。
貸切バスは借りる人が自由に行き先・ルートを決められる便利な移動手段。1日〇キロ、〇時間まで走らせて良いというルールはありますが、原則どのように走らせるかは自由です。高速道路を走る可能性があるので、定員数は決まっており、立ち席はありません。
バスの用途や目的により、いろいろなバスがあり、ルールがあるのがお分かりいただけたでしょうか。それぞれメリット・デメリットがありますので、それを理解の上、賢く利用しましょうね。
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路線バスの定員まとめ
- およその定員数は決まっている(バスのサイズ、仕様により異なる)
- つり革や手すりを設置することで立ち席もあり
- 原則、高速道路を走らないためシートベルト着用義務はない
- 定員オーバーして乗客を乗せても問題ない
高速バス(夜行バス)の定員まとめ
- 定員数は決まっている(大型バスを利用するが、仕様により異なる)
- 高速道路を走る、長距離走るのが前提なので立ち席や補助席はない
- シートベルト着用義務がある
- 定員オーバーして乗せることはできない
貸切バスの定員まとめ
- 定員数は決まっている(バスのサイズ、仕様により異なる)
- 走らせ方は自由なため、立ち席はない(補助席はある)
- シートベルト着用義務がある
- 定員オーバーして乗せることはできない
▼ 貸切バスで知っておきたい豆知識
≫貸切バスで急な行き先変更はできる?前もって、旅行プランを決めておく理由
≫貸切バスの交代運転手(ツーマン運行)とは?バス料金のヒミツ
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バス会社の比較がポイント!