衝突防止補助システム・モービルアイを装備した海部観光バス

貸切バスのヒヤリハット事故を防げ!後付け衝突防止補助装置「モービルアイ」の実力

つい先日、大阪で行われた「2016バステクフォーラム」を取材してきた編集部Iです。

その際、イベントで行われた「バスの衝突被害軽減ブレーキ実演」で、
ジャパン・トゥエンティワン株式会社(以下、J21)が販売する補助装置「モービルアイ」を装備した海部観光バスのデモを見ました。

この「モービルアイ」は、日々おきている運転中の「ヒヤリハット」を防止し、事故を軽減していくための装置。
障害物(車両)をとらえると警報機がアラームを鳴らして警告。
その音を聞いた直後にブレーキ操作を行うと、障害物に衝突することなく完全停止できます。

衝突被害を予防する画期的なシステム「モービルアイ」

「モービルアイ」は現在使用中のバスに「後付け」できるので、車間距離や車線逸脱警報などの先進安全技術を搭載した新しいバスに買い替えることなく、安心を付加できるのが大きな特徴です。

モービルアイ530
(写真提供:J21)

今回はこの「モービルアイ」を販売しているJ21さんを取材。
製品の特長と働く仕組み、導入のメリットなどを伺ってきました!

実は貸切バスの事故、低速直進中の追突が最も多い!

2016年3月に国交省が発表した「事業用自動車の交通事故統計(平成26年版)」によると、自動車事故全体の518,264件のうち、バスやタクシー、トラックなどの事業用自動車が占める割合は約7.7%(39,649件)です。

平成26年度の交通事故割合

ちなみに平成17年度の交通事故と比較してみましょう。

交通事故全体の件数は755,573件。
そのうち、バスやタクシー、トラックなどの事業用自動車が占める割合は約8.3%です。

内訳(割合)そのものはまったく変化なし。
ただし交通事故全体の件数は4割弱削減。
そのうち事業用自動車による事故発生件数の割合は0.6%ほど減少しています。

さらにバスを乗合、貸切、その他と細かく比較すると・・・

平成17年度のバスの交通事故内訳
平成26年度のバスの交通事故内訳

平成17年から26年への変化は、
貸切バスの場合「480→374」件でマイナス106件(約2%減)です。
乗合バスは「3,148→1,578」件でマイナス1,570件(約50%減)。
タクシーは「27,801→16,113」件でマイナス11,688件(約40%減)。
トラックは「36,794→21,564」件でマイナス15,230件(約40%減)。

貸切バスに限って言えば、若干減っただけ、というところでしょうか。

貸切バスの事故原因についてですが、最も多いのが、同じぐらいのスピードで直進していたときが374件中、123件(32.9%)と最も多く、次いで多いのが発進時の66件(17.6%)です。

事故の原因として最も多いのが、安全不確認124件(33.2%)、動静不注視59件(15.8%)、運転操作41件(11.0%)という法令違反によって起こされているのが特徴です。

さらに、事故を起こす直前に出していたスピードを見ると、10km/h以下が170件!
ついで、20km/h以下が65件、30km/h以下で44件発生しています。

つまり、車間距離をきちんととって走っていれば、防げたはずの事故が多いと推測されます。
また、前方不注意や漫然とした運転が引き起こす「ヒヤリハット」が、原因となっているのはおわかりいただけるのではないでしょうか?

交通事故全体をみると、貸切バスが起こす事故の割合そのものは少ないものの、毎年ほとんど変化がないというのが実情。

「ここを減らすために、『モービルアイ』導入は大変有効です」と、ビジネス開発担当の鈴木さんはおっしゃいます。

それでは、モービルアイとはどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう!

日々起きている「ヒヤリハット」を防ごう!

さて、よく耳にすることば「ヒヤリハット」とはどういう意味なんでしょう?

調べてみると「突発的な事象やミスにヒヤリとしたり、ハッとしたりするもの」とあります。

「ヒヤリハット」は、大事故にはならなくても、起こしてもおかしくない、その一歩手前のこと。
結果として事故にならなかったので、その場では「ヒヤリ」としても、すぐに忘れて同じようなことを繰り返してしまうのは、プロドライバーに限らず誰もが経験していることでしょう。

重大事故の背後には29の軽微な事故があり、さらにその背景には300件の「ヒヤリハット」が存在する。
アメリカ人であるハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが提唱した「ハインリッヒの法則」です。

J21の鈴木さんは

「この日々起きているたくさんの「ヒヤリハット」を防ぐことで、大惨事につながるような重大事故へのリスクはさらに軽減されます。

モービルアイは、運転中に起きているヒヤリハットをその場、その場で警報することで、ドライバーの安全運転意識を高め、運転の質向上につなげていくシステムです」。

モービルアイは2.7秒先の危険を予測。
以下、(1)~(5)までの危険が迫るとモニターと音で警告を発します。

前方車両衝突警報

(1)車間距離が近すぎる

前方を走る車に衝突せずに停まれる(減速できる)時間を確保します。

車線逸脱警報

(2)高速走行の際、車線を逸脱(蛇行するなど)する

わき見運転や居眠り運転などによる、ガードレールや路肩への接触、横転事故を防ぎます。

前方車間距離警報

(3)急に停まった前方の車に衝突しそうになる

ぼんやりしていて前方の車が減速したことに気付かず、突っ込みそうになるのを防いでくれます。

低速時前方車両追突警報

(4)ブレーキが甘くて、前方の車に衝突しそうになる

渋滞や信号待ちなどでよくあるパターン。
とくにAT車などでずるずると前に動き出すことってありますよね・・・。
あらかじめ設定した仮想バンパー(1.0m~2.0m)の範囲内に入ると警告を発します。

歩行者衝突警報

(5)歩行者に衝突しそうになる

商店街や車の往来が多い道路で、突然歩行者や自転車が飛び出してきてヒヤリ!
モービルアイ独自のテクノロジーで2秒以内に衝突する危険があると判断した場合、警告を発します。

前方の車両、バイク、自転車、歩行者、車線を検知するカメラをバスのフロントガラスに設置。

衝突までの時間を計算し、危険が迫ると丸いモニターにアイコン表示と同時に、それぞれ異なるブザー音(警告音)を発します。

カメラもモニターも、見た目はとってもコンパクト。
実際にバスに取り付けられたものを見ても、特に気になりません。

ジョイフル観光・マイクロバス
(取材協力:ジョイフル観光)

「きちんと法令を遵守し、安全運転を心がけていれば警報はなりません。

裏を返せば、警報音を出さない運転をすれば、運転中の「ヒヤリハット」は低減し、運転技術もマナーも向上。

貸切バスで平成26年度に起きた事故を、大幅に減らすことができると自負しています」と鈴木さんはおっしゃっていました。

「モービルアイ」導入が有効である理由

「今後、購入する新しいバスについては衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報、ふらつき注意喚起などの先進安全技術(ASV)を搭載したものになります」

しかし、ニュースでも話題になっているとおり、バスの生産台数(日野・いすゞ・三菱ふそう・ヒュンダイの4社)は年間約2,700台程度。

先日、三菱ふそうさんに取材した際も、観光バスの場合は1台1台が受注生産でなかなか増産が難しい状況にあることをうかがっています。

貸切バスのうち、先進安全技術を装着していないバスは21,737台で、全体の約65%を占めます。

この21,737台がすべて新車に入れ替わるまで、最長で17.7年もかかることを考えると、「モービルアイ」のような後付け衝突防止補助装置を導入する方が現実的。
日々起こっている“ヒヤリハット”を低減すれば、貸切バスの主な事故原因「10km/h以下での直進時」を、いまよりも確実に減らすことはできそうですね!

「ドライブレコーダーは確かに、事故が起きた後にその状況を確認するのに有効です。でも、十何時間も録画された映像をチェックして、危険運転をしていないか毎回確認するのは現実的ではありません」と鈴木さん。

「あとからチェック指導よりも、“ヒヤリハット”の瞬間をその都度、警報することは、事故防止に大変有効だと考えています」。

さて、次回はこの「モービルアイ」を実際に導入した場合のメリットやコスト、おススメの活用法などもご紹介しましょう!

--(続く)--

(C)ジャパン・トゥエンティワン株式会社

■写真提供・取材協力
ジャパン・トゥエンティワン株式会社
東京都渋谷区恵比寿西1-26-7
Tel:03-5456-8520

ジョイフル観光
東京都三鷹市井口1-5-14

■参考資料(出典)
●国土交通省自動車局・自動車運送事業に係る交通事故対策検討会「事業用自動車の交通事故統計(平成26年版)」
●(公社)日本バス協会・日本のバス事業(平成27年度版)
(株)エコノミックニュース2015年度の車両装備品納入メーカーによるヒヤリング台数
●国交省第1回委員会資料

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