貸切バスの行き先を前もって決めておくルール

貸切バスで急な行き先変更はできる?前もって、旅行プランを決めておく理由

自分たちの行きたいところに、好きな時間に連れて行ってくれる貸切バスは、とっても便利!団体旅行の強い味方です。

大勢で移動する場合、他の人と一緒に利用する公共機関では、時間を気にしたり、周りへの配慮が必要になったり・・・何かと神経を使います。

かといって、旅行会社が主催するバスツアーに申し込むと、行きたくもないところに連れて行かれたり、時間の制約があったりと思ったように旅行を楽しめなかったりします。

そう考えると、やっぱり利用したくなるのが貸切バス。一見高そうに見える料金も、みんなで割り勘にすれば意外とリーズナブルな価格でいけます。

ところが、貸切バスを初めて借りようと思ったとき、つまずいてしまうポイントがあります。それは、「行き先」や「立ち寄り先」を細かく決めていないこと。

バス旅行にせよ、送迎にせよ、「行き先や走らせるルート、予定の到着・出発時間は、あらかじめ決めておかなければならない」ことに戸惑う人続出!なんです。

今回は、なぜ貸切バスを借りる場合、行き先やスケジュールが決まっていないといけないのか。貸切タクシーみたいに当日、行き先を変更してはダメなのかについて解説します。

■もくじ
1. 貸切バスは、貸切タクシーと同じじゃないの?
2. 貸切バスをどのように走らせるか、を決めるのは運転手さんではない!?
3. 安全な貸切バス旅行、実はお客様の協力も必要なんです
4. そうはいっても予定は未定、スケジュール変更の可能性があるときは?
5. 貸切バスの行き先変更についてのまとめ

貸切バスは、貸切タクシーと同じじゃないの?

バスを走らせるルートを決めておく理由

貸切バスを利用する時、必要となるのが、バスの具体的な行き先や到着時間を決めたスケジュール(プラン)。

まず、バス会社が貸切バスの料金を計算するのに必要です。というのも、貸切バス料金は、利用する時間と走らせる距離によって計算しているからです。

貸切タクシーも料金の計算は基本的に同じ。ただ、貸切タクシーは当日、走らせた分(時間・距離)をその場で精算できますよね。

そこでふと思うのが、貸切バス旅行中、窓から見えたレストランがおいしそうだから急遽そこに変更!あるいは、お土産が買えなかったので、バス旅行プランになかったお店に立ち寄ってほしい・・・は、できるかということ。

貸切タクシーなら急な変更にも対応してくれますが、大勢の人が同時に移動する貸切バスの場合はどうなのでしょうか?

結論から言うと、貸切バスの場合はやむを得ない事情を除き、事前に決めたプランをその場で変更することはできません。貸切バスは大型タクシーと同じような感覚で使うことはできないんですね。

タクシーみたいに急な行き先変更できない貸切バス

貸切利用しているのだから、当日お客さんの要望に応じて柔軟に運転して何の問題があるの?どこに立ち寄りたいかって聞かれても、まだ決めてないよ、当日決めちゃだめなの??と、思うかもしれませんが・・・。

ではなぜ、当日行き先を変更してはいけないのか、その理由をこれから詳しく解説します。

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貸切バスをどのように走らせるか、を決めるのは運転手さんではない!?

バスの行き先・運行ルートは運行管理者が決定

まず、バス旅行のプランや貸切送迎のスケジュールは、お客様が自由に決めることができます。行き先も、立ち寄り先も、走行ルートも、バス会社はお客様の望むスケジュール通りに可能な限り対応します。

ただ、事前に決めたプランを当日になって急に変更するというのはダメ。雨が降ってるからとか、気分がノらないからとか・・・それはできない相談です。

これはなぜかというと、安全対策のためなんですね。大勢のお客様を同時に、事故のないよう、現地まで送り届けるためには、事前に準備が必要です。

そもそも貸切バスの運転手には、行き先やルートを変更する権限がありません。これは法律によって定められていることで(旅客自動車運送事業運輸規則)、当日「あそこに寄って」と言われても、運転手がその場で判断することはできません。

では誰が貸切バスを走らせるルートの指示を出すか(管理をするか)というと、それは運行管理者と呼ばれる国家資格を持っている人によって行なわれています。

前日の大雨で道路が通行止めになってたとか、急病人がでたので急遽観光を取りやめて帰るなど、やむを得ない事情が発生した場合、運転手はバス会社に連絡し、運行管理者に指示をあおぎます。それは、法律でそのようにせよ、と決められているからです。

貸切バスの行き先変更は運行管理者に相談

運行管理者はバスの安全運行を担うエキスパート。

バスが安全に走行できる道路かどうか、高速道路を使った方がよいか・・・などを事前に確認。お客様を乗せた貸切バスが、目的地まで時間通りに安全に走行できるようスケジュールを組立てる仕事を担っています。

運行管理者がバスの運行管理をしてくれるからこそ、運転手は運転に集中でき、皆さんに安全なバス旅行を楽しんでもらうことができるんですよ!

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なぜ運行管理が必要?行き先決めてないとなにが起こる?

バスの運行管理は安全に欠かせない

貸切バスを使った旅行や送迎、事前に走行ルートを決めておくことが、なぜそんなに大切なのか?その理由をさらに詳しく解説します。

ダメな理由(1)貸切バスは大勢の人を乗せて走る

ここで思い出して欲しいのが、走るのがバスだということ。多くても4人~5人ぐらいまでのタクシーと違って、貸切バスが乗せるのは何十人単位です(最低でも11名以上同時に乗せて走らせる場合は、タクシーではなく、バス事業の免許が必要になります)。

バスの運転手は、たくさんの人の命を預かってハンドルを握ります。そのため、厳密な安全運行を求められます(タクシー以上に厳しいんです)!時間や目的地に安全で確実に到着できるよう、常に細心の注意が払われます。

最近では、多くのバス会社でIP無線を導入したり、ドライブレコーダーやデジタルタコグラフを購入。クラウド管理を活用してオンタイムで、道路事情や運転手の運転技術をチェックするなど、ハイテク技術を使った安全対策が進められています。

また、運転手や他のバス会社からの情報を常に収集し、どこそこの道路は事故が多い、この道は渋滞しやすいなど、最新の道路事情に詳しくなるよう努めています。運行管理者はこれらのデータをもとに走るルートを変更したり、運転手に注意を促したり、事故を未然に防ぐ努力しているんですね!

ちなみに他の乗り物、例えば船や飛行機を思い出してください!バス以上に大勢の人を運ぶため、さらに厳しく管理されていますよね?

もっとも飛行機で、行き先変更してください!なんて言ったらハイジャック!?

ダメな理由(2)車体が大きいバスでは通れない道もある

バスは乗用車と違って大型です。特に大型バスは長さが12m(小さいマイクロバスでも7m)もありますから、小回りが利きにくく、通行できない道も多々あります。

狭い道路はバスが通行不可

そのため通る予定の道路幅など、大型車であるバスが走行できるかどうか、駐停車できるかどうかなど、前もって確認しなくてはいけません。最近では、Googleマップの航空写真を使って調べられるので便利になりましたよね!

もし事前に走行ルートを決めていなかったら、当日、バスが通れずに立ち往生してしまう、なんてことが起こってしまうかもしれません(たまに路線バスが走っているから大丈夫、とおっしゃるお客様もいらっしゃいますが、法律で一般の大型車や貸切バスは走行NGという道もあるので注意です)。

あらかじめ走るルートを調べていても、工事中で渋滞ということもよくあること。万が一、大渋滞があった時には、運転手は運行管理者に相談し、迂回ルートなどを指示してもらうこともあります。運転しながら、運転手自身が調べるよりも安全ですよね!

ダメな理由(3)安全のため、連続して運転してもよい時間を管理

「急いでいるから、休憩しないで目的地まで走って!」とおっしゃるお客様もまれにいらっしゃいますが・・・。

いくら運転のプロ、といっても人間ですから、長時間運転すれば疲れますし、集中力も下がります。そこで貸切バスの運転手は、2時間おきに最低でも10分以上(4時間で30分以上)休憩を取ることが法律で決められています。

最近のカーナビは、2時間以上走り続けた場合、休憩をうながすアナウンスをするものもありますよね!

バス運転手はプロですがロボットではありません

高速道路などを利用する際は、走っている途中で急には止まれません。事前のプランをもとに休憩ポイントやタイミングを決めておければ安心。道路が混んでいたらここのサービスエリア、すいていたらこのパーキングエリアなど、いろんなパターンを想定しておけば、運転手も疲れず運転に集中できます。

万が一、貸切バス旅行が楽しくって、ついつい飲みすぎちゃった!トイレ我慢できない!!という緊急事態の場合は、なるべく早めに幹事さんを通じて運転手に相談を。

トイレ休憩はあらかじめ余裕をもって

車内でお酒を飲むことが決まっているなら、トイレ休憩の回数を事前に多くとっておくのがおススメですよ。

ダメな理由(4)働き方って大切!運転手の勤務時間を適切に管理

バス業界では、運転手不足に悩まされています。バスは空いてるけど、運転手がいない。そんなこともよくあります。

バスは空いていても運転手がいないこともよくある

合宿旅行やレジャー旅行で、貸切バスの需要が増える夏休み。法令で定められた勤務時間を超えて、無理して運転を続けたら?万が一、運転中に体調不良で倒れてしまったら?それはそのままバス事故に直結します。

健康起因によるバス事故が近年増加していることを受け、国でも運転手の健康管理を重視する対策が打ち出されました。

年に一度の定期健診に加え、睡眠時無呼吸症候群(SAS)や脳・心臓などに問題ないかのチェックなど、必要に応じて検査を受けさせ、改善指導することを義務付けています。

貸切バスを1人の運転手で運転してもよいのは、1日9時間、走行距離は500km(夜間・早朝は400km)まで。また1泊2日のバス旅行の場合なら、2日間の平均運転時間が9時間で、次の運転まで11時間以上の休憩を挟むという、細かい指定があります。

勤務超過の運転手さんは危険

もっと厳密にいえば、1週間の勤務時間、1か月間の勤務時間で、平均して何時間以内というように定められており、これを超えて乗務することはできません。

バスの運転手も、普通の会社の労務管理(残業時間や休日日数の取り決めなど)とまったく同じ。こうした取り決めによって、「働きすぎ」、「過労死」を防ぐだけでなく、「お客様の安全」が守られているんです。

そして運転手の労務管理は、運行管理者の仕事。バスの予約状況に合わせて、各運転手の勤務日程を組み立てています。もちろん、運転手の数は限られていますから、それこそ緻密に計画しなくてはいけません。

そんな時に急なプランの変更が起こったら・・・?

運転手の勤務時間がオーバーして、交替する運転手を旅行先に派遣しなくてはいけなくなったりするかもしれません。

たまたま大渋滞に巻き込まれて、運転時間が予定を大幅に超えてしまった!なんてこともよくあること。勤務状況によっては、翌日運転する予定だったバスに乗務することができなくなることもあります

よくお客様から「なぜ、運転手さんは前日にならないと決まらないの?もっと早く教えて欲しい」という質問をいただきますが、それには、こういう事情があるからなんですね。

ダメな理由(5)プロとして安全に送り届ける責任がある!

お客様を安全に送り届ける義務

貸切バスの運転手は、経験を積んだドライバーが適任といわれています。

決まった時間やルートで走行する路線バスと違って、貸切バスは毎回違った行き先で、走るルートもその時、その時で違います。

路線バスであれば「この辺で渋滞するな」とか、「この道路は自転車や人の飛び出しが多いから注意だな」など、ある程度予測が可能。

でも、オリジナルのプランでバスを走らせる貸切バス旅行は、初めて通る道やそれに伴う混雑、予想外のできごとなどに毎回直面することになります。

そうした初めての出来事にも冷静に対応し、お客様を安全に送り届けるためには、やはりそれなりの経験やスキルが必要となるのです。

「お客様の安全が1番」と考えるバス会社が、路線バスや高速バスの運転経験を積んでから、貸切バスの運転手を任せる、というところが多いのもうなずけます。

バスの運転手は、採用された後も絶えず勉強しています。それは何も道の把握に限ったことではありません。ブレーキの踏み方やカーブの曲がり方のテクニック1つで、お客様への乗り心地は大きく違ってきます。

いかに安全に、そして快適に、バス旅行を楽しんでもらえるか。貸切バスの運転手は「送迎のプロ」として、誇りを持って働いているんですね。

「この運転手さんにまたお願いしたい!」、「安全運転で乗り心地がよかった」など、お客様に思ってもらえるよう、どのバス会社も、頑張っていますよ!

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バスを運転するという仕事
安全にバスを走らせる!京王電鉄バスの場合

安全な貸切バス旅行、実はお客様の協力も必要なんです

お客様の協力あってこその安全運転

安全で快適なバスの旅は、運転手がどんなに有能でもお客様の協力なしには叶いません。事故や災害、自然渋滞など、どうにもならない時だってあります。

そこでお客様には、ぜひお願いしたいのです。

急な行き先変更やスケジュール変更はしない
遅刻厳禁、集合時間を守る
走行中はシートベルトを着用し、運転手の指示にしたがうこと

運転手は、時間通りで安全な走行に、できる限り努力します。でも、予想外の事態などで運行が遅れてしまうこともあるでしょう。

事前に決めたプランを当日変更しない。できれば、休憩時間などに余裕を持たせたスケジュールをあらかじめ組んでおくこと。ぜひ、幹事さん、お願いいたします。

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そうはいっても予定は未定、スケジュール変更の可能性があるときは?

子ども会や幼稚園の遠足で、動物園に行く予定だけど、雨だったら行き先を水族館に変更したい・・・。当日の天気次第で予定を変更したい場合はどうすればよいのでしょうか?

あるいは、部活やサークルの試合送迎の場合。終わりの時間がはっきりしないことがほとんどです。こういったケースの場合について、具体的な解決策をご紹介していきましょう。

(1)晴れの時・雨の時で行き先を変えたい

晴れの時・雨の時で行き先を変えたい

野外での催しは、当日の天候に左右されることが多いですよね。そんな場合は、雨の時と晴れの時、2つのバス旅行プランを準備し、バス会社に対応してもらえるか相談します。

それぞれ具体的な運行スケジュールをもとに見積り、予約する場合は、どちらかのプランで支払いをします。金額が違う場合、当日実際に運行したプランで差額分を精算してもらいましょう。

詳しくは、「子供会バス旅行は貸切バスが便利!モデルコース・料金目安」のページも参考にしてみてください。

(2)  試合の勝敗によってスケジュールを変更したい

学校から試合会場までの送迎バスとして、貸切バスを使いたい。試合の進行状況や勝ち負けで、終わりの時間が変わる場合があることを、バス会社に相談します。

試合進行によりバスの運行時間を変更したい

最後まで勝ち残った場合と、1回戦で負けて帰る場合、2つの運行プランを考え、見積りを取ります。予約する場合は、最も長くバスを利用するケースで支払いをします。また、最終の出発時刻は延長できないのでご注意を!

送迎する時間や距離によっては、バスをいったん返した方が安くなることもあるので、バス会社には安くなるパターンで見積りをお願いするといいでしょう。

詳しくは「部活送迎は「貸切バス」が便利!部活別バスの選び方とレンタル方法」を参考にしてみてください。

(3)急な悪天候や急病人が出て、スケジュールを変更したい

急病人がでてスケジュール変更したい

台風や災害などで道路が通行止めになり、予定していた観光地に行けなくなった。あるいは、バス旅行の途中で急病人が発生し、予定通りの運行ができなくなるようなケースもあります。

旅行が始まる前の変更なら、バス会社にすぐ連絡し、プランの変更が可能かどうか問い合わせてください。旅行が始まってからの変更は、まずは運転手に相談をし、運行管理者の指示を仰ぐようにしてください。

貸切バスの料金は、走行距離や時間によって変わります。

2つのプラン(パターン)で運行を予定する場合、プランごとに料金の見積もりを取るようにしてください。プラン1なら○○円、プラン2なら○○円と、料金に違いが出るのでご注意を。

お客様都合による急な予定変更の場合は、原則として払い戻しはありません。

災害等、やむ負えない事情の場合は、バス会社によって対応や払い戻し条件が異なります。スケジュール変更の際に相談してみてください。

貸切バスの行き先(スケジュール)変更についてのまとめ

行き先やスケジュールを変更する場合についてまとめ

旅行プランを事前に決めておくのは、お客様を安全にスケジュール通りに目的地まで送迎するため。
貸切バスの運転手は決められたスケジュール通り走行するだけ。行き先を自由に変更することはできません。
バス旅行のスケジュールを管理するのは、国家資格を持った運行管理者。急な変更は、運行管理者の確認が必要となります。

その場で行き先が決められて、臨機応変に変更できる貸切タクシーと違って、いろいろ面倒に感じるかもしれません。でも、大勢の命を預かる貸切バスの旅は、安心の上に安心を重ねることが何よりも大切なんです。

事前に予定を決めておいてもらうのも、お客様の安全を第一に思うからこそ。やむ負えない時以外は旅行プランを変更しない。あらかじめ変更が予定されている場合は、準備しておく。

皆様、ぜひご協力をお願いいたします。

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