奈良・春日大社

古代史ミステリーに迫る!いま再びの奈良2泊3日旅行

こんにちは!編集部Iです。

以前、「大化の改新の謎」に迫る、大人の修学旅行と称して無謀にも真夏の奈良2泊3日旅行を敢行してきました。

あれから2年。関裕二さん(歴史作家)の作品にすっかりハマり、家の本棚には本があふれかえっています。

関裕二氏の著書
関裕二氏の著書の一部

もちろん、これはごく一部であり、この他にもいっぱい・・・。気が付いたら、立派な古代史オタクの仲間入りを果たしていました。

そこで今回は、法隆寺の救世観音(ぐぜかんのん)春の特別公開に焦点を合わせ、再び奈良を訪問することにしました。旅の企画に役立てたのは以下の4冊。

  1. 「大和路の謎を解く(ポプラ新書)
  2. 「古代史謎解き紀行Ⅰー封印された大和編ー(新潮社)
  3. 「古代史謎めぐりの旅 ヤマトから平安へ(講談社+α文庫)
  4. 「古代史謎めぐりの旅 神話から建国へ(講談社+α文庫)

以下、大阪の友人から「外国人観光客並みのハードスケジュール」と称えられた?2泊3日の奈良古代史謎解き旅行のプランです。

■奈良・2泊3日バス旅行参考プラン
<1日目>
東京駅八重洲口出発(夜行バス)==奈良駅6時30分頃着・朝食==法隆寺・救世観音拝観==カフェで休憩==橿原神宮駅着・レンタサイクルで甘樫丘へ==明日香村で昼食==飛鳥資料館==天極堂でくず餅タイム==飛鳥坐神社・飛鳥寺・入鹿の首塚・石舞台==亀石==橿原神宮着==西ノ京へ移動、山代屋さん宿泊

<2日目>
宿発==薬師寺・唐招提寺==タクシーで石上神宮==桜井駅からレンタサイクルで大神神社へ==三輪そうめん・柿の葉寿司の昼食==箸墓古墳==桜井市立埋蔵文化財センター==町屋ゲストハウスならまちにチェックイン・銭湯に行く==大阪なんばで粉もん夕食ツアー==再び銭湯へ==町屋ゲストハウスならまち宿泊

<3日目>
宿でレンタサイクル借りる==鹿の舟 竈(かまど)で朝食==御霊神社==東大寺・興福寺==自転車を返却し、ダイニング「匠(しょう)」でランチ==「中西与三郎」でくず餅&かき氷タイム==奈良駅から京都へ移動==新幹線で東京へ・着終了

1回目は1日目の様子、2回目は2日目の様子3回目は3日目の様子と、3回に分けてレポートしていきます。

奈良までは夜行バスで移動!早朝の法隆寺訪問を狙う

東京駅八重洲口高速バスターミナル
東京駅八重洲口高速バスターミナル

せっかく年二回しかない救世観音特別拝観をするなら、じっくり観たい。ということで、夜行バスで奈良へ移動し、朝一で法隆寺を訪問することにしました。

JR関東・スーパーシート
JR関東「プレミアドリーム号」・スーパーシート

奈良までの夜行バスで、シートタイプがいろいろ選べるのはJR関東「ドリーム号」。今回は3列スーパーシートで片道6,470円と特別価格の席をGet。GW明けで空席が多かったようです。

シートの特徴は以下の通り。

  • シート幅52.5㎝と広々
  • 141度のリクライニングに加え、椅子全体が傾く「チルト機能」付き
  • フットレスト、足載せ台有
  • AC100Vコンセントでスマホ充電し放題
  • フリーWifi
  • 毛布、スリッパ、プライベートカーテン付き
  • トイレ付き

東京八重洲南口を22時10分に出発し、奈良駅(東口)6時50分着の予定。8時間40分の長旅です。途中、2か所トイレ休憩が入ります。

関西夜行便は、休憩ポイントの売店等が閉まってしまうため、事前に飲み物・食べ物を購入するようアナウンスがありました。

奈良駅には予定よりも早く到着!法隆寺へは電車で移動

早朝のJR奈良駅
早朝のJR奈良駅

JR関東の「プレミアムドリーム号」、なかなか快適でした。シート幅が広いので途中、寝返りめいたものも打てます。ただ、前々日に頑張ったカンフーの練習でお尻の筋肉が最強に痛い上、座りっぱなしで拍車をかけます。この後、午後のレンタサイクルで地獄を見ることになろうとは、お釈迦様でも思うまい。

和定食を食べる予定が、予定時間より早くついてしまい目当てのお店が開いてない。しかたなく高カロリーなモスバーガーへ。

気を取り直して法隆寺へ出発です。

JR奈良駅から、大和路快速でJR法隆寺駅まで約11分(220円)。駅からは徒歩で法隆寺に向かいました。

「嫌な予感がする」は的中!5月は遠足・修学旅行シーズンだった

JR法隆寺駅
JR法隆寺駅

以前、法隆寺を訪ねた際、タクシーの運転手さんから「夏に奈良に来るのは、外国人観光客とお客さんぐらいですよぉ~修学旅行生だって来ません」と言われていた私たち。

同じ轍を踏まぬよう、今回は初夏(さわやかな時期?)、GW明けというタイミングで訪れました。ところが、法隆寺の駅を降りたら何やら幼稚園の遠足らしい集団が・・・。

そうだ。5月のGW明けから6月といえば遠足・修学旅行の時期ではないか!そしてその嫌な予感は的中し、せっかく早朝狙ってきたのに、修学旅行生や小学生、幼稚園児たちに、がっつり周りを包囲され続ける旅となったのでした。

相変わらず静謐なたたずまいの法隆寺

法隆寺・南大門
法隆寺・南大門

法隆寺駅からは徒歩約20分。お寺の拝観時間は8時からなのでぶらぶらと向かいます。

前回はボランティアガイドさんに案内していただきましたが、今回はそれなりに勉強を重ねてきたつもり。重要なポイントだけを押さえ、見学する作戦です。

真ん中を通らせない中門
真ん中を通らせない中門

法隆寺が「怨霊封じ」のお寺説を唱えたのが、先日亡くなった哲学者・梅原猛さん。その著書『隠された十字架』の中で、聖徳太子の怨霊を鎮魂する目的で建てられたという大胆な仮説を展開し、史学界をあっと言わせました。

中門の真ん中にあえて柱を建てて通せんぼしているのは、「聖徳太子の霊を封じ込めるための怨霊封じ」と謎解きしています。

今回最も見てみたかったのが、法隆寺の夢殿で長らく秘仏として眠ってきた救世観音(ぐぜかんのん)。

封印を解けば聖徳太子の怒りに触れると長年非公開にされてきました。光背(仏像の後ろにつける、光明(こうみょう)をかたどった装飾のことで後光ともいう)が、頭と胸に直接釘で打ち付けられているのは、「怨霊封じの証拠」と論じたのが梅原氏です。

さて、ついにご対面です!

生きている「救世観音」!その迫力と生々しさ

夢殿・救世観音
夢殿・救世観音

ちらちらと修学旅行生が姿を現しつつありますが、救世観音なんて学校で教えないよね?学校の先生。そもそも中学生が救世観音を見て興奮するなんて、関裕二さんと私たちぐらい?です。

狙い通り、夢殿の周りには誰もいませんでした。救世観音とじっくりご対面です。

聖徳太子の等身像(飛鳥時代・国宝)と伝わり、夢殿建立の際に本尊として迎えられました。約500mの真っ白な布でぐるぐる巻きにされ、200年間もその姿を見ることはかなわなかったそうです。

我が家には土門拳(どもんけん)さんの「古寺巡礼」があり、事前に救世観音の写真を見ていましたが、本物はそれよりもさらに生々しく、なんともいえない迫力に満ちていました。

目を開けているのか、いないのか。お堂の中が暗くはっきりとはみえないのですが、じーっと眺めていると少しずつ目が開いていくような錯覚を覚えます

一般的なイメージの観音様のような穏やかさは感じられません。詩人・歌人である高村光太郎氏が「普通の仏とは違つて生物の感じがあり」と称していましたが、まさに「生きている!」というのが印象でした。

皆さんもぜひその目で確かめてみてはいかがでしょうか。救世観音の特別拝観は春(4月~5月)、秋(10月~11月)の年2回です。

修学旅行生の濁流を泳ぎ、大宝蔵院で“橘夫人厨子”を観る

大宝蔵院
大宝蔵院

今回の旅の第1目標をすでに果たしてしまった私たち。後は前回の奈良旅行でスルーしてたお宝を観に、大宝蔵院へ向かいます。

「百済観音ってちょっとヌメっとした感じもあるなー」とぼんやり眺めてたら、先ほどからちらちら見え隠れしていた修学旅行生たちに、包囲される羽目に。

この後彼らは教科書に載っている「玉虫の厨子」に群がるはずなので、急いで今回の第2目標である「橘夫人の厨子」(関裕二さんおすすめ)へ向かいます

橘夫人とは、県犬養三千代(あがたのいぬかいのみちよ)のことです。一般的な教科書(歴史書)には、夫(美努王・みぬおう)が大宰府に単身赴任している間に裏切って(!?)藤原不比等の妻になったとか書かれていることが多いようです。

でも実施のところは、不比等がわざと夫を地方へ飛ばし、略奪したんじゃないの?というのが関裕二さんの説。私もこれを支持します。

県犬養三千代と藤原不比等の間に生まれたのが、光明子(こうみょうし)。東大寺を建立した聖武天皇の妻です。ちなみに聖武天皇の母親は光明子の異母姉の藤原宮子。つまり義理の母子関係でもあります。

いーやー、ややこしいね。藤原不比等の強烈なゴリ押し(天皇の外戚になる)がわかりやすいです。

橘夫人厨子は、玉虫の厨子のように教科書で取り上げられていないので、周りには誰もいません。厨子には日本最古の念持仏(個人が私的に礼拝するための仏像)である、銅製の阿弥陀三尊像が安置されています。

運命に翻弄された橘夫人の悲しみと、祈りの心が伝わってくるようなたたずまいでした。

斑鳩の古民家カフェで命をつなぐ!?

CAFE・鍼灸 ZADANで休憩
「CAFE・鍼灸 ZADAN」古墳スタイル 塩キャラメル

初夏の風が爽やかな5月!って思って奈良に行きましたが甘かった。この日の奈良は湿気が多く、30度に迫る勢いです。

法隆寺駅までまた20分も歩くのはかなりキツい。ということで、カフェで一休みです。

「CAFE・鍼灸 ZADAN」さんは、築65年ぐらいの古民家をリノベーションしたカフェ。法隆寺・東院伽藍の向かい側にあります。

普段はスイーツ担当は夫ですが、今回は私が暑さに耐えきれずフレーバーフラッペを注文。氷とエスプレッソ、アイスクリームに塩キャラメルフレーバーのソースがかかった「古墳スタイル」です。

お昼前のひととき、まだお客さんも少なく、ゆっくりとくつろぐ私たち。この後無事、法隆寺駅へたどり着けました。

法隆寺から橿原神宮へ移動!明日香村をチャリンコで爆走

橿原神宮駅
橿原神宮駅

さて、次なる目的地は飛鳥で、第3の目的「甘樫丘に登る」です

甘樫丘は飛鳥の中心にある標高148mの丘で、麓には蘇我蝦夷・入鹿親子の居宅があった場所。頂上からは明日香村が一望でき、大和三山(耳成山・畝傍山・天野香具山)も眺めることができます。

明日香村は交通の便が悪く、田舎道が続くのでレンタサイクルで回るのが最も効率がいい場所。前回訪れたときは、飛鳥駅でレンタサイクルを借りて回りました。

ところがこの飛鳥駅、橿原神宮駅から一駅(近鉄吉野線)なのに本数が少なく不便。今回は関裕二さんの「たいした距離じゃない」というアドバイス通り、橿原神宮前でレンタサイクルを借り、飛鳥まで爆走することに。

確かにこの方法はとても便利でした!ありがとう、関さん!

ちなみに法隆寺から橿原神宮前までは、JR大和路線で新王子/王子駅まで移動。そこから近鉄田原本線で田原本/西田原本駅で近鉄橿原線に乗り換えます。

所要時間は約54分、510円でした。

豊浦寺跡・向原寺をチラ見する

豊浦寺跡「向原寺」
豊浦寺跡「向原寺」

甘樫丘に行く途中、向原寺(こうげんじ)に立ち寄ります。

奈良旅行に出かける直前、たまたまTVで再放送された「新日本紀行(NHK)」で、蘇我氏ゆかりのお寺であると紹介されていました。

もともとは蘇我稲目の自宅である向原(むくはら)の家に仏像を祀ったのが始まりとされています。境内には飛鳥最古の都、推古天皇の豊浦宮(とゆらのみや)の遺構が眠っており、その一部である石敷きが発掘されました。

豊浦宮遺構
豊浦宮遺構

推古天皇はもちろん、聖徳太子や蘇我馬子も歩いたかもしれない石敷遺構をぜひ一目見たいと思ったのですが、あいにく向原寺のご住職はお留守・・・。

外から写真を撮り、近くの推古天皇をお祀りした甘樫坐神社(あまかしますじんじゃ)にお参りして帰ることにします。創建は武内宿禰(たけうのうちすくね)。蘇我氏の祖先といわれている人物です。

今回の奈良旅行で最も感動した甘樫丘

甘樫丘に到着
甘樫丘に到着

着きました!国営飛鳥歴史公園・甘樫丘です。チャリンコを降りて、展望広場を目指して登ります。

万葉の植物園になっている

園路の一部には、万葉集・古事記・日本書紀にうたわれた40種類の万葉植物が生い茂る散策路になっています。チャリンコで激走した汗もひんやりクールダウン。

展望台には大勢の小学生(遠足)が弾けていました。

甘樫丘展望台からの眺め
甘樫丘展望台からの眺め

それでもこの眺め!写真ではまったく伝わらないけど、ここに立つと大和三山(耳成山・畝傍山・天野香具山)と明日香村が眼下に開けています。蘇我氏もきっとこの風景を見たんだろうなーと、勝手に感慨にふけります。

天野香具山は日本神話の中で、初代天皇とされる神武天皇が大和建国の際に、神の神託を受けて祭祀を行った場所(ざっくりとした説明ですみません)。古代より「神が天降る山」と呼ばれ、神聖視されてきた歴史があります。

その天野香具山について歌った持統天皇の有名な歌「春過ぎて夏来にけらし白砂の 衣ほすてふ天の香具山」があります。持統天皇は、蘇我系の天武天皇の皇后ですが、その一方で藤原派の天智天皇(=中大兄皇子)の娘でもあります。

通説では天武天皇とはオシドリ夫婦で、その遺志を継いで、藤原不比等とともに新しい国造りにまい進した、素晴らしい天皇ってことになっています。

でも関さん説によれば、本来は天皇に即位できる立場にないのに、ゴリ押しして天皇になった女人。天野香具山の歌も、持統天皇が権力を握った瞬間を高笑いしているって解釈になります。

古代史に興味がない人には「???」って感じですよね。ぜひ面白いので、関さんの著書を読まれることをおすすめします。

「お腹が空いて力がでない」アンパンマンはいずこに?

カフェことだま
明日香村にある「Cafe ことだま」

ということで、小中学生の遠足をかき分け、今回もやってきました「Cafe ことだま」さん。築200年以上という民家を改築したお店で「ことだまランチ(1,620円)」をいただきます

ランチはこの1品のみ。明日香村や近隣産のお野菜を中心に、ユニークな創作料理を食べさせてくれるお店です。

大和野菜たっぷりのことだまランチ

今回は里いもとヒジキのサラダ、キャベツのアーモンドポタージュ、青菜とわかめのナムル、鶏のから揚げ、きぬさやのキッシュ、豆腐のステーキ、黒米ごはん、ヨーグルトムース、飲み物というラインナップ。

お重に入ったかわいいデザート
お重に入ったかわいいデザート

ランチタイムとティータイムの狭間だったので、すんなり入れました。明日香村地区でご飯やお茶するなら、こちらのカフェはおすすめです。帰りにお土産として幻のレインボーラムネを購入

イコマ製菓のラムネで、生産数が限られているため、入手困難といわれています。こちらのカフェでは試食もできて、購入できるので見かけたらぜひ買って帰りましょう。

飛鳥資料館で山田寺の東廻廊を見る

飛鳥資料館
飛鳥資料館

第4の目的地は山田寺跡から発掘された東廻廊を「飛鳥資料館」で見るです。この東廻廊は当時の姿をうかがわせるほど、大変良いコンディションで発見されたことで話題に。

木造寺院建築の現存する最古の実例となっています。

山田寺は、乙巳(いっし)の変(大化の改新)の際に右大臣であった蘇我倉山田石川麻呂により643年に建立されたお寺。石川麻呂の祖父は馬子、蝦夷は叔父、入鹿はいとこにあたります。

乙巳の変では、入鹿暗殺のため、石川麻呂が中大兄皇子・中臣鎌足に協力したと通説ではいわれています。

その後、中大兄皇子から謀反の疑い(冤罪)をかけられ、造営中だった山田寺で自害。その死体の首を残酷にもわざわざ切り取り、塩漬けにして持ち帰り、中大兄皇子の妃となっていた石川麻呂のふたりの娘・智娘(おちのいらつめ)と姪娘(めいのいらつめ)に見せたといいます。

石川麻呂自害後、一時中断していた造営が再開され、678年(天武天皇の時代)に鋳造された、山田寺講堂本尊・薬師如来像(丈六仏像)が685年に開眼。現在は興福寺(藤原氏の氏寺)の宝物館にその仏頭だけが飾られています

興福寺はこの薬師如来像を鎌倉時代に「お迎えした」と、称していますが、実際は山田寺から僧兵が強奪したそうです。興福寺は何度も火災に合い、本殿などが繰り返し焼失。山田寺の薬師如来像も燃えてしまいました。

その後、東金堂の現本尊の台座下から、山田寺の薬師如来「仏頭」だけが発見され、現在では国宝となっています。

飛鳥資料館ではそのレプリカを展示。本来なら、飛鳥資料館に本物が飾られているべきなのかもしれません。

飛鳥資料館
亀石などのレプリカも飾られている飛鳥資料館

塩漬けの首と首だけの仏頭。なにやら因縁めいたものを感じずにはいられません。

さらに、山田寺の東廻廊は倒壊したままの状態で発見されています。石川麻呂の執念と無念が、胸に迫るエピソードです。

奈良といえばくず餅だよね?「天極堂」でカフェタイム

吉野本葛・天極堂
吉野本葛・天極堂

飛鳥資料館の目の前にある天極堂(てんぎょくどう)で休憩。吉野本葛を使った出来立てのくず餅をいただきます

一般に出回っている「吉野葛」は葛でんぷんを主原料に、さつまいもなどから取り出した甘しょでん粉を混ぜてつくられたもの。

一方、「吉野本葛」は、奈良県吉野地方とその近辺で精製された本葛のみ。漢方薬などにも使われてきた滋養に富んだものです。

天極堂の出来立て葛餅
天極堂の出来立て葛餅

本葛はいまや希少品。こちらのお店では注文が入ってから、鍋でネリネリして出来立てのくず餅(まだ温かい)を提供してくれるのでおいしいですよ~。

奈良に来たらくず餅は絶対食べて帰りましょう

まだまだ続く明日香村の旅!最後は飛鳥坐神社・飛鳥寺へ

飛鳥坐神社
飛鳥坐神社

朝早くから行動していると1日が長いことよ・・・。最後に飛鳥坐神社(あすかにいますじんじゃ)、飛鳥寺、蘇我入鹿首塚、石舞台とめぐりました。

飛鳥坐神社は、豊穣と子孫繁栄を祈願する奇祭「おんだ祭り」で有名な神社です。御祭神は八重事代主神(やえことしろぬしのかみ)、大物主神(おおものぬしのかみ)、飛鳥神奈備三日女神(あすかのかんなびみひめのかみ)、高皇産霊神(たかみむすびのかみ)の4神。

境内には男女のシンボルをかたどった石がゴロゴロしてるそうですが、そんなこともまったく目に入らず、帰ってきました(疲れてる)。

大仏は撮影OK!飛鳥寺(本元興寺)の矜持

飛鳥寺
飛鳥寺

蘇我馬子の発願で596年に建てられた日本初の本格寺院・飛鳥寺(本元興寺)。平城遷都(藤原不比等のゴリ押し?)の際、頑として移転を拒み、ここに残りました。奈良まちに元興寺が建立されて以降、本元興寺とも呼ばれます。

こちらに残る飛鳥大仏は、日本最古の仏像(重要文化財)。

飛鳥大仏(釈迦如来坐像)
飛鳥大仏(釈迦如来坐像)

左右からみたお顔の印象が違うということで、左右のお写真をアップ。

左右からではお顔の表情が異なる飛鳥大仏
左右からではお顔の表情が異なる飛鳥大仏

どんな印象を受けましたか?最古といわれつつも国宝になれないのは、後世の補修箇所が多いからと言われてきました。

でも近年の研究で、7世紀当時の部分がほとんど残っているという結果がでており、国宝間違えなしといわれています。火災などの数々の苦難を乗り越え、飛鳥寺で静かに歴史を見守ってきた大仏。

ぜひ、間近で拝見してみてはいかがでしょうか。

本当の暗殺場所はココ?蘇我入鹿の首塚

蘇我入鹿の首塚
蘇我入鹿の首塚

飛鳥寺の西側にひっそりとたたずむのが蘇我入鹿の首塚といわれる五輪塔。その向こうには甘樫丘が見えます。

乙巳の変で蘇我入鹿は、「伝飛鳥板蓋宮」で斉明天皇の目前で首をはねられたといわれています(有名な入鹿殺害の画は藤原鎌足を祀った談山神社にある)。その際に、はねられた入鹿の首が飛んできた場所、といわれているのがココです。

しかし、関さんが著書の中でいうように「伝飛鳥板蓋宮で暗殺された」というストーリーは、私も少々無理があるように思います。三韓(新羅・百済・高句麗)からの使者が天皇に謁見している宮中で、しかも王族である中大兄皇子が切りつけるってどうなんでしょう?

その後、“正義のため”とはいえ、殺人者が即位(天智天皇)するんですよ?確かに人気(人望)はなかったようですけどね。

蘇我入鹿は首塚のある場所で、甘樫丘にある邸宅へ帰る途中で暗殺されたのではないか、という説の方が腹落ちします。

首塚の向こうに広がる田んぼにはレンゲの花が一面に咲いていました。そしてその向こうには、先ほど上った甘樫丘。

いつ訪れても美しく清められ、花が常に手向けられている首塚を見ると、地元の人々の蘇我氏への敬意が感じられました

蘇我氏の墓といわれる石舞台は「方墳」

石舞台の大きさ
蘇我馬子の墓ともいわれる石舞台古墳

明日香村最後を飾るのは、やっぱりココ。蘇我馬子の墓ともいわれる石舞台古墳です。

石舞台は「方墳」ですが、蘇我氏は「前方後円墳なんてダサいぜ、方墳の方がトレンディだっ!」って採用したんじゃないかと、歴史家・磯田道史さんがNHK BSプレミアム「英雄たちの選択」の中でおっしゃっていました。

2014年に発掘された小山田古墳(明日香村)は飛鳥時代の国内最大級方墳と判明し、舒明天皇陵か蘇我蝦夷の墓かと議論が沸き起こっています。

石舞台古墳
スケール感がわかるでしょうか

巨大な石を積み上げた石室のスケール感がわかるように、おじさんを配した写真でお届けしています。

まだ訪れたことがないという方は、ぜひ一度その目で確かめてみてくださいね。

レンタサイクルを返却し、本日の宿がある西の京へ

亀石(本物)
亀石(本物)

レンタサイクルで最後の爆走。橿原神宮を目指します。お尻がすでにあり得ないほど痛いです。泣けりゅ~。サドルに座ることができません。

途中、亀石(レプリカは飛鳥資料館で観た)の本物を見て、仮面夫婦疑惑の天武・持統天皇陵に立ち寄って帰ろうということに。

ところが、旦那がわき目も降らずに爆走するもんだから、天皇陵を見落として飛鳥駅に到着。もう戻るのは嫌だしということでそのまま橿原神宮駅を目指します。

飛鳥駅前にある道の駅
飛鳥駅前にある道の駅

レンタサイクル店のおじさんは「17時までに返却ね」と言ってたようでしたが、すっかり忘れていてちょっとすぎちゃいました。残業させちゃったよ、ごめんなさい。

そこから本日の宿泊先、西の京にある「山代屋」を目指します。近鉄橿原線で西の京までは約38分、400円です。駅から山代屋さんまでは徒歩約15分ぐらい。

「山代屋」さんは、お料理にこだわった民宿。私たちが泊まった時は、オーナーの息子さん夫婦が切り盛り中でした。ワインソムリエの資格をお持ちで、夕食はフルコース。おいしいワインとのマリアージュを提案してくださいます。

山代屋・心づくしの朝食
山代屋・心づくしの朝食

ところが今回の私たち、貧乏旅行だったので残念ながら朝食のみの宿泊プランに。疲れて酢飯が食べたかったので、夜は近所でお皿がぐるぐる回る「〇〇寿司」へ。

その後、宿でおすすめのワインを飲ませていただきながら、ご主人夫妻とおしゃべりを楽しみました。アットホームでとてもいいお宿。皆さんもぜひ奈良にお越しの際は山代屋さんを訪ねてみては?

全7室と小さなお宿なので、団体・グループの場合は早めにご相談ください。

奈良2泊3日旅行・1日目の観光&おすすめポイントまとめ

法隆寺の柱

奈良は歴史をある程度知っていないとあまり楽しめないかもしれません。京都のような華やかさや大阪のようなグルメも正直少ないかも。神社仏閣を訪ねる前に簡単でもいいので予習しておくと、より深く楽しめるのではないでしょうか。

奈良旅行1日目の観光&おすすめポイント

  • 法隆寺は広いのでポイントを絞って見学(百済観音と●●を観る、など)
  • 明日香はレンタサイクルがおすすめ!交通の便がよい橿原神宮前で借りよう
  • 蘇我氏ゆかりの豊浦寺跡、甘樫丘、飛鳥寺、入鹿の首塚はセットで訪問がおすすめ
  • 山田寺跡、飛鳥資料館で蘇我倉山田石川麻呂の無念の思いを感じよう
  • 有名な神社仏閣は朝イチで訪れる
  • 奈良で食べるべきグルメは「できたてくず餅!」

さて、日本人の旅とは思えないぎっちぎちの観光スケジュール。2日目もさらに負けずに厳しい旅となりました。続く!

<Information>
法隆寺
奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1の1
拝観時間:8時~17時(冬季は16時30分まで)
拝観料:1,500円、小学生750円
※30名以上で割引あり

CAFE・鍼灸 ZADAN
奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺2丁目3−16
営業時間:9時~17時、木曜休み
TEL:0745-74-5797

■豊浦寺跡・向原寺
奈良県高市郡明日香村豊浦630

■甘樫丘(国営飛鳥歴史公園)
奈良県高市郡明日香村大字豊浦

Cafe ことだま
高市郡明日香村岡1223
TEL:0744-54-4010
営業時間:10時~17時(土日祝は18時まで)、火曜・第3水曜休み
※ランチは14時がLO、グループ旅行なら要予約。

飛鳥資料館
奈良県高市郡明日香村奥山601
観覧時間:9時~16時30分、月曜、年末年始休み
観覧料:270円、大学生130円、高校生以下は無料

吉野本葛・天極堂
飛鳥彩瑠璃の丘 天極堂テラス
奈良県桜井市山田692
営業時間:10時~18時、月曜定休
TEL:0744-46-5566

■飛鳥坐神社
奈良県高市郡明日香村飛鳥708

■飛鳥寺・入鹿の首塚
奈良県高市郡明日香村飛鳥682

■石舞台古墳
奈良県高市郡明日香村島庄133
入場時間:8時30分~17時(16時45分で受付終了)
入場料:300円、小中高校生100円
※30名以上の団体で割引あり

国際観光民宿 山代屋
奈良県奈良市西の京町1-15
TEL:0742-33-2983

※料金やサービス等は2019年当時のものです。最新の情報は公式ホームページを参照してください。

▼編集部Iの古代史オタク旅シリーズ
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この記事を書いた人
ちくわ

旅行メディア編集長兼ライター、総合旅行業務取扱管理者、旅行会社勤務経験あり、目黒区ボランティアガイド見習い中。プライベートでも古代史オタクとして年に数回フィールドワークに出かける旅好き。時々バス愛がさく裂!?

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