2021年「第7回バステクin首都圏」キーワードは環境へのやさしさとウィズコロナ!
2021年も無事、ぽると出版主催「第7回バステクin首都圏」が開催され、大盛況のうちに終了しました。
開催されたのは11月12日(金)、会場は昨年同様、埼玉スタジアム2002「東駐車場」。来場者は昨年を上回る人数だったとのこと。関東エリアのみならず、北は宮城県、南は鹿児島県から来場したバス事業者の方もいらっしゃったそうですよ!
私が実際に会場を訪れたのはお昼過ぎでしたが、大勢の方が熱心に会場を回り、各出展ブースも大変賑わっていました。
今年度もYou Tubeによるライブ中継が実施されていたので、予定が合わずに来場できなかった方々はこちらを楽しんだのではないでしょうか。
それではさっそく、イベント当日の様子をダイジェストにレポートしたいと思います。
運転&試乗体験を含め電気バスが多数展示!
今回の展示で特に感じたのは電気バスの展示が多かったこと。CO2排出量削減を目指し、世界で電気自動車(EV)へシフトする傾向が加速しています。
ドイツやイギリスでは2030年までにガソリン・ディーゼル車の販売を禁止、カリフォルニア州・中国では2035年、フランスでは2040年までと目標を掲げ、脱炭素社会を目指した取り組みが始まっています。
バスも例外ではなく、特に中国では電気バスの普及が最も進んでいます。全世界の電気バスの9割は中国で走っているとか!
今回のイベントでも中国製の電気バスが会場を席巻していました。
アルファバスECITY L10(アルファバスジャパン)
試乗車として出展されたアルファバスECITY L10も中国製(江蘇常陸客車)。日本の路線バスでは主流の長さである全長10.5mです。
日本のワンマンバス構造要件を満たしているので、そのまま手を加えずに導入できるのが魅力。2021年には山梨交通にも導入されました。
国土交通省でも電動バス導入ガイドラインを策定し、費用の一部を補助する「地域交通グリーン化事業」を進めています。今後、導入する事業者も増えていくのではないでしょうか。
オノエンスターEV(オノエンジニアリング/アジアスタージャパン)
同じく中国・揚州亜星(ヤーシン)製・アジアスターの電気バスを展示したのがオノエンジニアリング。観光バスタイプ「オノエンスター」を販売開始し、2020年からは電気バスの取り扱いも開始しています。
2021年のバステクin首都圏では7m車・9m車・10.5m車を展示。
コミュニティバスとして利用できるコンパクトなボディの7m車は、北海道滝上(たきのうえ)町で試験運行されたバスです。
急速充電なら1時間程度で、最長約200~250㎞ぐらい走行できるとのこと。
9m車は一般的な路線バスよりも少し短いサイズで、観光バスでいえば中型バスの大きさ。
コミュニティバスよりもやや多い人数を輸送したい場合にちょうどよい大きさです。
10.5車は今回展示のみ。要望に応じたカスタマイズもOKとのことでした。
そして今回、展示車両ではないのですが、バステクin首都圏まで来場される方を乗せてやってきたのがイーグルバスが所有するボンネットバスタイプの電気バス!
2020年は前身となるイーグルトラベル創業から70周年、イーグルバス創業から40周年を迎えたことを記念し、日本で初めての電気ボンネットバスを「小江戸巡回バス(川越市内観光を楽しめる路線バス)」に導入。アジアスター社の電気バスをベースにオノエンジニアリングが改造したオリジナルデザインです。
カラーはブルーとレッド。昨年はレッドが展示されていたので覚えている方もいらっしゃるのでは?川越らしい蔵の街並みに配慮したクラシックな外観で、機能・技術は最新というこだわりが詰まった1台です。
小型電気バス F8シリーズ4(EVモーターズ・ジャパン)
試乗車としてもう1台、「EVモーターズ・ジャパン(EVMJ)」の小型電気バス「F8シリーズ4」が出展されていました。EVモーターズ・ジャパンと中国メーカーとの共同開発。
EVモーターズ ・ジャパンは北九州のベンチャー企業で、いわゆる自社で工場をもたないファブレスメーカー。バッテリーは国産の新型リチウムイオン電池が採用されています。
全長約7mとマイクロバスサイズ。ボデーは耐久性・軽量化を両立させるべくステンレス骨格+カーボン素材で作られ、フレームは角型パイプを採用しているそうです。
世界初公開!現代自動車ジャパンの大型観光バス「ヒュンダイユニバースEDSS付」
現代自動車は今回、世界で初公開となるEDSS付のヒュンダイユニバースを展示。 自動運転に関する法規制・改正により、各バスメーカーともASV(先進安全自動車)技術を取り入れた改良が進んでいます。
現代自動車でも衝突被害軽減ブレーキシステム、車線逸脱警報システム、車両安定装置、エンジンルーム火災警報装置、全正席3点式ELRシートベルトなど安全性を高めたモデルを提供してきました。
今回は世界に先駆け、ドライバーが体調不良に陥った場合に有益なEDSS(ドライバー異常時対応システム)付きモデルをバステクin首都圏で初公開!より高い安全性能でバス旅行や移動をサポートするモデルです。
車内は新型コロナウイルス感染症対策グッズとして、座席シート背面に取り付け可能な飛沫防止パネルが設置されていました。
「貸切バスの達人」で貸切バスを利用した後のアンケートで、“感染防止対策がしっかりとられていて安心して利用できた”という回答が多数寄せられており、各バス会社とも工夫されているのがわかります。
バスメーカー側はハード面から安全運行やコロナ対策をサポート。バステクin首都圏などのようなイベントで、具体的な施策を目で見て確かめられるのはとても参考になりますね。
そして現代自動車は試乗車として大型観光バス・ヒュンダイユニバースAT車をもう1台出展。
こちらのバスはゆったりとくつろげる2×1シート仕様。
すっきりとした運転席周り。ZF社製オートマチックトランスミッション「ZF 6AP2000B Coach」を採用し、変速ショック低減学習機能を装備しているため、どなたでもスムーズな走りが可能だそうです。
パネル周りもすっきりしていて操作しやすそう。足元も広々していますね。運転席のシートは人間工学に基づいて設計されているので、長時間の運転でも疲れにくいのが魅力です。
日野自動車の大型観光バス「セレガハイデッカ・リフト付き」
日野自動車は今年、リフト付きのセレガハイデッカを展示。車椅子を電動リフトで上げるデモも行っていました。
トランクルームの一つに電動リフトを収納するような構造になっており、使用時に引き出して車椅子を乗せて車内へ運びます。雨天時対策としてシェードも付けられるようになっていました。
車内は座席を折りたたみ車椅子を固定するスペースを確保。以前に比べたら各段にスピーディに乗降りできるようになっていました。
バス車内には簡単に取り付け、取り外し可能なコロナ対策パネルが展示されていました。グリップに差し込み、マジックテープ止めで固定。
上写真向かって左側はアクリル板なので、繰り返し使用できる上、前方の視界を遮りません。
向かって右側は透明セロファンと厚紙で造られたらもの。バスの形にくりぬかれたかわいいデザインです。こちらもグリップに差し込むだけと簡単で、使い捨てタイプ。
客席と客席の間にも設置できる客席間飛沫防止パネル。高速バスなどお隣が知らない人という場合は安心ですね。
三菱ふそうトラック・バスの大型自家用バス「エアロスターワンステップ・前扉仕様」
三菱ふそうでは、2021年6月から発売スタートした大型送迎バス「エアロスター前扉仕様車」を展示。通常の路線バスは前と中央に扉がある仕様がほとんどですが、こちらは前扉1か所のみです。
企業が職員の送迎に使ったり、学校のスクールバス、商業施設の送迎バスの場合、頻繁に乗降りするわけではないので、乗降口は1か所で十分です。前扉1か所にすることで、座席数を49席まで増やすことが可能に(通常のエアロスターワンステップ車では最大34席)。
コロナ禍で職員を安全に送迎したいということで、定期送迎を検討する企業が増えています。こういった仕様のバスなら、着席した状態で1度に大勢移動できて便利ですね。
立席24名分を含めれば、70名以上が乗車可能。フロントフェンダーより後はフラットな床面なので車内の移動もスムーズです。
もちろんEDSS(ドライバー異常時対応システム)も装備。乗客側は運転席のすぐ後で目立つように設置されていました。
コックピット周りもすっきりして見やすい設計。運転席と客席の間には飛沫防止板を設置可能です。
ジェイ・バスのコンセプト提案車「ファン!バス」
ジェイ・バスは大型路線バスをベースに特装したコンセプト提案車を展示。ジェイ・バスの企業理念である対応力、提案力、現場力、技術力を感じさせるユニークなデザイン、設計になっています。
2019年に開催されたバステクin首都圏では、小松工場が担当した「OINE SHUTTLE(おいねシャトル)」が話題になりました。金沢らしい七宝文様でラッピングした外観、座席数はわずか8席(通常は27名乗りの中型観光バスがベース)のゴージャスなシート、エグゼクティブな旅を楽しめる仕様です。
今回の「ファン!バス」は宇都宮工場が担当。大型路線バス・いすゞエルガをベースに中扉よりも後方エリア床面を330㎜、天井を400㎜かさ上げして、眺望を楽しめるような仕様にしています。
側天窓からも光が差し込むので解放感たっぷり!
定期観光路線バスなどに活用したら楽しそうです。
はとバスの新型2階建てオープントップバス「エクリプス ジェミニ3」
はとバスのエクリプス・ジェミニ3は、2021年4月にデビューしたばかりのオープントップ2階建てバスです。はとバスでは定期観光バスとして2階建てのオープントップバスとして「オーソラミオ’O Sola mil」を運行中。
今回はイギリスのバンフォード バス カンパニー(旧Wrightbus)社と共同開発した日本向けモデルとなっています。シャーシー型式はスカニアK410。全長11.46m×全幅2.47m×全高3.79mとややコンパクトなサイズです。
というのもベースがロンドンの街を走る路線バス向けに製造されている車両のため。比較的小回りが利くので都内でもスイスイ走れるというのがポイントになっています。
従来のオープントップバスではガイド席を2階前方に設けられていますが、こちらのバスでは最後列に配置。バス正面からの眺望がよいというのもセールスポイントです。
雨天時に締められる幌がコンパクトにたためるので眺めの良い席を増やすことができたそうですよ。
坂本自動車工業/オーニット/ジャパン・トゥエンティワンの展示
バス専用低濃度オゾン発生機「安心バスAIR」と後付けできる衝突防止補助装置モービルアイを装備した中日臨海バスの展示です。
オーニットのオゾン発生機は浮遊ウイルス99.99%除去、脱臭効果もあります。最適なオゾン濃度をキープするので安心して使用可能。低温プラズマ発生体はオーニットの特許技術となっています。
また、モービルアイは後付けできる衝突防止装置として人気の高い商品。すべてのバスを新しいモデルに買い替えるのは難しい中で、後付けできるASV(先進安全自動車)技術としてひっぱりだこ!
車両前方をモニターして警報を発する「モービルアイ570」、側面死角もモニターする「モービルアイ・シールドプラス」があります。
丸菱工業の新フリー・デザイン シートカバーの展示
丸菱工業は三菱重工業名古屋自動車製作所の協力工場として、自動車シートの製造を手掛けてきた会社。そのノウハウや技術を活かして、好きなカラーや写真、イラストなどを自由にプリントできるシートカバーを提供しています。
シートカバーにはQRコードなども印刷できるので、広告ツールとしてカバーを活用することも可能だそう。車内のイメージチェンジが簡単に出来る他、シートの保護にもおすすめです。
シートカバー以外にもカーテンやサンバイザーカバー、ダッシュボード、フロアマットへの印刷もできるそうですよ!
オノエンジアリング「アメリカンスクールバス」
オノエンジニアリングが電気バスとともに展示した車両が、この真っ黄色なアメリカンスクールバス。日本国内では米軍施設周辺などで使われている場合もあるようです。
展示車両はオノエンジニアリングの貸切バス部門で稼働している短尺右ハンドル車。ボンネット車を主要製品の一つにしているナビスター・インターナショナルのシャーシーだそうです。
小野社長にお話を伺ったところ『トラックより乗り心地が悪い(笑)』とのことだったので、長時間乗るのは腰に響きそうです。
オノエンジニアリングはちょっとユニークな貸切バス車両をいろいろお持ちなので、興味がある方はぜひ問い合わせてみてはいかがでしょうか。
バス事業者向けの様々な機器や用品を展示!
今回もたくさんの企業がバスのスムーズな運行管理や安全運行に役立つ機器など、多彩な展示が行われていました。
南関東日野自動車では新型コロナウイルス感染症対策用品やカラフルなホイールなども!
盛りだくさんですべてをご紹介し切れずにすみません。
いつもバステクin首都圏が開催されるときは晴天に恵まれている気がします。新型コロナの感染状況も落ち着いており、大勢の来場者が楽しい1日を過ごされたのではないでしょうか。
次回の開催も楽しみにしています!
■取材・撮影協力
株式会社ぽると出版「バスラマインターナショナル」
「第7回バステクin首都圏」
【開催日時】2021年11月12日(金) 10時~16時
【開催場所】埼玉県さいたま市緑区美園2-1 埼玉スタジアム2002 東駐車場
【協賛】公益社団法人日本バス協会、一般社団法人東京バス協会
【後援】国土交通省関東運輸局
【主催】株式会社ぽると出版
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