観光バス・マイクロバスをまとめて比較!「第3回バステクin首都圏」
バスファンみなさん!今年も幕張メッセで「バステクin首都圏」が開催されました。例によって、編集部Iが取材をしてまいりました。
今年は観光バス・リフト付き福祉バスが多数出展。大いに注目を集めていました。この他、最新のバス業界事情もバッチリレポートしますね。
1. バリアフリーが進化!電動リフト付きタイプ大型観光バス
2. その他の観光バスをダイジェストにご紹介!
3. 迫力のデモを動画で紹介!エンジンルーム消火&経済性抜群のバス洗車機
4. バス関連機器がたくさん!その他の展示ブースを駆け足で
5. おまけ!バスの顔面博覧会
バリアフリーが進化!電動リフト付きタイプ大型観光バス
「貸切バスの達人」にもよく問い合わせがあるのが、電動リフト付きバスを借りたいという要望。でも、現実はなかなか厳しく、特に大型の観光バスを所有しているバス会社さんは極端に少ないという実情があります・・・。
理由はバスの値段、そして、日本の道路事情。以前日野自動車さんに取材した際、電動リフトを上げ下ろしする場所(路肩の状況や、長い時間観光バスが駐停車できるかどうかなど)に制約があるため、なかなか普及が難しいというお話を伺いました。
日本の道路事情を加味しながら、工夫されている電動リフト付き大型観光バスをご紹介していきましょう!
◆電動リフト操作ラクラク!日野自動車・セレガ
まずは、日野自動車・大型観光バス「セレガ」から。
大型の観光バスには、貫通式のトランクルームが2~3本あるのがスタンダードです。そのうちの一つにリフトが収納されています。ボタン操作で車イスを乗せるプラットフォームが出現。車イスと介添人をそのまま乗せてバス車内までスムーズに乗れるようになっていました。
バス車内は、座席の取り付け部分にレールが付いており、座席をずらして車イスが乗り込めるスペースをつくれるようになっています。
シートの座面が折りたためるのでコンパクトに寄せられます。
限られた空間を効率よく利用できるよう、良く工夫されています。
運転席もすっきりとまとまっていますね。
座席はブルー系が多い(笑)観光バスですが、展示車両は茶色のシックな色合い。ちょっと新鮮に感じます。セレガらしいドーム天井とワイドな眺望。楽しいバス旅行をバリアフリーに楽しめますね!
ちなみに、セレガの9m車(中型バス)のAMT(機械式自動変速機)搭載車は、2017年7月に発売した改良モデルで、エンジンを従来よりダウンサイジングし、燃費の向上を図っているそうです。観光バスもAMT化が進んでいますね。
◆こんな電動リフトはじめて!三菱ふそう・エアロエース
続いてご紹介するのが三菱ふそうの大型観光バス「エアロエース」電動リフト付き仕様。
この電動リフトの仕様、いままでとちょっと違います!路線バスなどによくあるようにスロープを車内から出し、車イスを横向きに入れます。そして、電動リモコンを操作すると、なんと、そのまま真上に登っていくではありませんか!
動画は車内から撮影したので、ちょっとわかりにくいかもしれません。写真でみるとこんな感じ。
エアロエースの場合も、座席シートは床につけられたレールの上を滑らせ、車イスを固定するスペースをつくることができます。
車イスをリフトアップする部分を逆からみるとこんな感じ。
貫通式トランクルーム1本分の片側を、車イス用に、反対側は荷物を積載できるようになっています。コンパクトな空間をうまく利用していますね!
三菱ふそう「エアロエース」は、2017年5月に10年ぶりのモデルチェンジを果たしたばかり。AMT(機械式自動変速機)搭載、完全停止型の衝突被害軽減ブレーキ、経済性・環境性能に磨きがかかり、さらなる安全走行を実現しています。
◆2階建て大型観光バス「アストロメガ」は1階部分がバリアフリー仕様
スカニア・ジャパンが販売する「アストロメガ」。2階建ての大型観光バスとして、定期観光用にはとバスが、貸切用に東京ヤサカ観光バスが導入して話題になりました。
アストロメガはバス中央部に入口があります。路線バスのように、バス車内からスロープを出して、車イスを乗せるタイプ。
バス入口、右手に2階席へ上がる階段がついています。
バス1階部分には通常の座席と荷物置きスペースがあります。車イスの場合は、一般の座席に移乗することもできます。また、荷物置き場になっている部分を車イスをそのまま固定する仕様にも変更できます。
2階席はちょっと天井が低くなっていますが、通常の大型観光バスよりも、座席数は2階席49席、1階席は4席と、合計で53席(補助席なし)とたくさん乗れるようになっています(東京ヤサカ観光バスさんの仕様)。
東京ヤサカ観光バスさんは、貸切バスとしてアストロメガを導入しているので、2階建てバスを借りたい!という場合は、問い合わせてみてはいかがでしょうか。
◆中京車体工業が架装!日野自動車のマイクロバス車イス仕様
続いてご紹介するのは、日野自動車のマイクロバス「リエッセⅡ」を車イス仕様に架装した中京車体工業さんの展示。
福祉施設の送迎用に便利ですし、利用者さんを連れてちょっとしたお花見やお出かけにも重宝しますね。
マイクロバス後方からスロープを上がり、後部座席部分に車イスを固定できるようになっています。乗り降りに時間をかけず、さっと乗車できますね。リフトは電動式で出し入れできます。便利!
◆番外編!バリアフリーな路線バス・三菱ふそう「ローザ」
こちらは、エムビーエムサービスさんが路線バス用に架装した、三菱ふそうのマイクロバス「ローザ」。展示車両は岐阜県の高山市を走る「濃飛バス」のものです。
マイクロバスは、道路幅が狭いところや、大型路線バスがカバーできないエリアをカバーするコミュニティバスとして大活躍!特に年配の方が病院への通院や買い物に利用する場合に便利です。こちらのローザは4WDなので、雪道や山道もスイスイですね~。
乗り降りしやすいようにステップがついていて、座席のところには手すりも設置。
出入口には整理券と料金箱があります。小さいけど、路線バス!って感じですね。
その他の観光バスをダイジェストにご紹介!
貸切バスやバスツアーで大活躍している、観光バス。その他の展示車両をダイジェストにご紹介しましょう。
◆大型観光バス・いすゞ自動車「ガーラ」
いままでいろいろなバスイベントを取材してきましたが、いすゞ自動車さんの「ガーラ」を見たのは初めて(!)。しかも、今回は日野自動車さんの大型観光バス「セレガ」も同時展示。これはもしかして希少なチャンスなのでは?
2017年の東京モーターショーで、いすゞ自動車さんブースでいただいた子ども向けのリーフレット。「ガーラ」と「セレガ」の違いは何?というのがありました。
バスファンの皆さんにとっては、簡単だと思いますが、一般のお客さんにとっては・・・?せっかくなので、同じアングルで撮影した写真を並べてみました!
まずはバス正面のお顔。
そしてバスの後ろ部分。
これはわかりやすいですね!(笑)
今回展示されたいすゞ自動車「ガーラ」のインテリアがとてもユニーク。
座面は茶色、背中は赤とツートンになっています。おしゃれ!最近プレミアム仕様の観光バスが注目されていますが、こんな風に座席シートのカラーリングが変わるだけで、印象ががらりとかわります。
コックピットもスマート。日野セレガ同様、平成28年排出ガス規制をクリアした最新モデルで、8.9リットルの小排気量エンジン、7速MTを組み合わせた経済性のよい貸切観光バス仕様です。
貸切観光バスタイプには欠かせない冷蔵庫付き!350mlの缶ビールが2箱(約48本)入る容量です。
◆経済性がアップした現代自働車の新型「ユニバース」!
輸入バスも負けていません!こちらは現代自働車「ユニバース」。
今回展示のモデルは、小排気量化を図った「H」エンジン(430馬力)を採用。高効率燃焼と「DPF+尿素SCRシステム」を強化し、環境性能・経済性をさらに向上しています。
大型観光バスの貸切タイプ仕様で、座席はすべて3点式のシートベルトを装備。バス前方にはもちろん、冷蔵庫!日本のバスツアーニーズにしっかり応えています。
輸入バスで心配なアフターフォローも万全に整えている現代自働車。日本で売り上げを伸ばしているバスメーカーのひとつです。
◆豪華仕様が注目を集める中国製バス「オノエンスター」
ベースになっている車両は、中国のバスメーカー「ヤーシン(亜星)」の中型バス。オノエンジニアリングが、右ハンドル・乗降口左側の日本仕様車を輸入販売しています。
車体の長さは8m。座席シートは革張りで、高級感のある仕上がり。
コックピットも同じ仕様で、ドライバーさんもゆったり運転できそう!
座席数を抑えて、プレミアム感を出した中型バスは珍しい!貸切観光バスも多様化が進んでいますね。
◆初出展!トヨタ自動車のマイクロバス「コースター」
大阪で5月に開催された「2017バステクフォーラム」でも登場していました。トヨタ自動車のマイクロバス「コースター」は、2016年12月になんと24年ぶりのフルモデルチェンジ!従来のコースターに比べ、グンと車内空間が広がり、静かで快適な乗り心地を実現しています。
日野自動車「リエッセⅡ」へOEM供給していることでもおなじみですね。
こうしてみると、マイクロバスというよりも、小さな観光バスみたい。少ない人数でバス旅行を楽しみたいときに、とても便利ですね。
迫力のデモを動画で紹介!エンジンルーム消火&経済性抜群のバス洗車機
◆バス火災に備える!ニチボウ「自動消火装置実演」
最近でもバス火災のニュースがちらほら。お客様を乗せたバスツアー行中に火災が起きたという事例もありました。
昨年の「バステクin首都圏」では写真しか撮れなかったニチボウさんの「自動消火装置実演」。今年はその迫力がより伝わるよう動画でお伝えしますよ!
消火剤に水を仕様した「ウォーターミスと消火装置」で、サイズも非常にコンパクト。一瞬にして消火でき、酸素を遮断。再発火のリスクも抑えます。
消化後のエンジンルーム庫内温度は、すぐに下がるので安全に退避できます。
サイズがコンパクトで後付け可能。低コストで設置できるので、とても便利ですね!
◆窓の水滴跡も予防!ジェイアール東日本コンサルタンツ「洗車機」
超節水型でみるみるバスを洗い上げる洗車機、ジェーアール東日本コンサルタンツさんの「BIG WASHERⅢ」。
水を微細なミスト状にして、強力な風とともにバス車体に吹き付けることで、隅々まできれいに洗い上げる画期的な機能「アラッシュ」搭載。洗車機のブラシが届かないような細かい凹凸部分やミラー回りなどもすっきり洗ってくれます。
同社の従来機と比較し、66%の節水を実現。京成バスさんに取材した際、以前は300リットルの水道水を使用していたそうですが、「BIG WASHERⅢ」にしてからその1/3の100リットルで洗えるとおっしゃっていました。
今回も、京成バス新習志野高速営業所さんで「BIG WASHERⅢ」、迫力のデモを見てきました。
京成バス新習志野高速営業所では、主に高速バスを約40台保有。冬、雪道を走る高速バスの足回り洗浄に頭を悩ませていたそう。どうしてもバス下部、シャーシーや足回りに凍結防止剤が付着。洗い残しがあると、サビてしまうので、大変だったといいます。
「BIG WASHERⅢ」はオプションとして、固定式下部洗浄システムを導入することができます。高圧ジェットで真下から水を吹き付け、足回りをすっきり洗浄可能。凍結防止剤の洗い残しの心配がなくなったのが一番のメリットとおっしゃっていました。
また、節水効果としては対前年比で上水道代約90万円/年削減できたそう!メンテナンスに手間がかかる地下タンクや再生水装置を撤去できたため、ランニングコスト低減にも役立ってるとのことでした。
実はこの洗車機、画期的なのは節水だけではありません。洗車後の拭き上げが不要なんです!
通常、洗車した場合、窓ガラスに残るうろこ状(麟条痕)の汚れが付着するのを防止するため、必ず最後に人の手による拭き上げが必要ですよね?
ところが、この「BIG WASHERⅢ」。ブロー機能(洗車機移動型のみ)を搭載!窓に残った水滴を吹き飛ばし、拭き上げ作業を軽減してくれます。
さらにバスにあらかじめ「はっ水コート」を行っておくと、ほぼ麟条痕が残らないようにできるとか!
ちなみに動画は、はっ水コートをしていない側でしたが、窓ガラスにはほとんど水滴が残っておらず、ブロー効果だけでもかなりきれいに洗いあがっていましたよ!
WILLER EXPRESS関東株式会社でも2017年に「BIG WASHERⅢ」を導入。このブロー機能の効果実証実験に協力してもらったところ、岐阜大学の神原信志教授(大学院工学研究科 環境エネルギーシステム専攻)より「低コストで麟条痕を防止できた」との高い評価を受けたそうです。
「できてしまった麟条痕を取り除くには、強酸性の薬品を使わなければなりません。
また、麟条痕(水の中に含まれるシリコンがうろこ状に残留し、ガラス成分のシリカと化学結合することでできる)を作らないためには、洗浄水からシリコンを事前に除去する必要があり、コストがかかりすぎます」
アラッシュ機能の付いた「BIG WASHERⅢ」でブロー仕上げした場合は、麟条痕が認められるのはごくわずか。さらにはっ水コートを重ねた(ブロー効果+はっ水コート)場合は、ほとんど認められないとのこと。節水ばかりではなく、手間もコストもかからず、きれいに仕上がるといいことずくめ。
ちなみに、はっ水コートは洗車機で自動で施工できる(洗剤WAXはっ水コート)ので、こちらも手間なしです!
デモを見学したお客様から「連節バスはどうやって洗うんですか?」という質問が出ていましたが(以前、編集部も同じ質問を京成バスさんにしました)・・・。
こちらもご安心くだださい!レールを延長することで、車体の長い連節バスも洗車機で洗えるんです。さらに、別の洗車機から「BIG WASHERⅢ」に切り替える場合、レールを入れ替える必要はなし。すでに取り付けられているレール幅に合わせて調整できるので、導入コストを軽減できるそうです。
バスの台数を多く保有するバス会社さん、ぜひ、導入を検討してみては?
バス関連機器がたくさん!その他の展示ブースを駆け足で
今回の「バステクin首都圏」、もちろんバスだけではなく、バスに関連するさまざまな機器、用品が展示されていました。
例えば、バス座席メーカーとして有名な「天龍工業」さん。
そして「マジカル・テクニカ」さん。
路線バスの降車ボタンや方向幕などのメーカー「オージ」さん。
後付けできる衝突被害補助装置「モービルアイ」やドラレコ、デジタコなどを扱うテレコムさん。
イベントでは、「モービルアイ」の実力を体感できる実演も行われていました!デモ車両は昨年に引き続き、東新観光バスさんの大型観光バスで行われました。
この他にも多数出展。ご紹介しきれなくて申し訳ありません!
どうでしたか?いろんなバスを同時に見ることができるチャンスって、なかなかありません。しかも、実際に乗り心地を比較したり、安全装置などを体感できる機会もないですよね。
今年は見逃してしまった!という方は、ぜひ次回、足を運んでみてはいかがでしょうか?
おまけ!バスの顔面博覧会
最後になりましたが、セレガやガーラ以外にいろんな大型観光バスの正面写真を撮影してみましたので、ずら~り並べてご紹介しちゃいます。皆さんはどのバスの顔が好きですか?
●三菱ふそうトラック・バス「エアロエース」
●現代自働車「ユニバース」
●スカニアジャパン「アストロメガ」
●トヨタ自動車のマイクロバス「コースター」
●中京車体工業出展のマイクロバス・日野自動車「リエッセⅡ」
●エムビーエムサービス出展の路線バス・三菱ふそう「ローザ」
■取材・撮影協力
株式会社ぽると出版
「バスラマインターナショナル」
http://www.portepub.co.jp
「第3回バステクin首都圏」
<開催日時>2017年11月10日(金)10時~16時
<開催場所>千葉市美浜区中瀬2-1 幕張メッセ 野外展示場
主催:株式会社ぽると出版 バステク事務局
協賛:公益社団法人日本バス協会、一般社団法人東京バス協会、関東地区バス保安対策協議会
後援:国土交通省関東運輸局
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