
高知駅前観光のフルフラット型シートにも寝転んでみた。「第11回バステクin首都圏」が今年も大盛況
ぽると出版主催・体験型バスイベント「第11回バステクin首都圏」が、東京都江東区にある「海の森水上競技場」で10月31日(金)に開催されました。今年も日本バス協会・中央技術委員会全国大会との提携、かつ、東京ビッグサイトで開催「Japan Mobilty Show2025」への周遊も可能、ということで、朝一から大勢のお客様で賑わった様子。
来場者数は全国から約810人、スタッフを合わせますと総参加者は約1,050人に。32企業・1団体からの31のブースと車両21台(うち電気バス9台)が出展されました。
今回は「貸切バスの達人」にも参加いただいている高知駅前観光が、フルフラット型シート「ソメイユプロフォン」搭載車を2台展示(三菱ふそうエアロエース、日野セレガ)するということで興味津々。
早速当日の様子をご紹介していきましょう。
高知駅前観光の夜行高速バスで運行中、話題沸騰の「ソメイユプロフォン」搭載車

まずは話題の高知駅前観光。独自開発(特許取得済)した上下移動式 新型リクライニングシート「Sommeil profond(ソメイユプロフォン)」の話題から。
2023年に開催された「第9回バステクin首都圏」で初お目見えした日本初のフルフラット座席バス「ソメイユプロフォン(フランス語で熟睡の意味)」。
2025年10月から高知・鳴門・東京を片道約13時間で結ぶ高速夜行バス「FLATON(フラットン)」をモニター運行し、12月6日(土)から正式に運行開始が決定しました。12月中は毎週土曜日に高知発の1往復での運行。

2026年からは新バージョンの車両が追加され、運行回数を増やしていくとのこと。今回のイベントでは、初代のバス(日野セレガ)と改良を重ねた三菱ふそうエアロエースの2台が展示されました。
フルフラットシート開発のきっかけは中国の寝台バスに乗車したこと。その後、国土交通省からベッドはダメだけど座席のリクライニングの角度に規定はないという回答を受け、フルフラットにできる”座席”を作ろうというところから開発が始まったといいます。
“レア”なフルフラットシートとなる日野セレガを使った「FLATON」

国土交通省のガイドラインに適合したユニットとして2023年に発表されたのが日野セレガを使った「FLATON」。モニター運行中に利用された方はこちらに乗車されたのではないでしょうか。

車内は土足禁止なので靴を脱いで中に入ります。

座席はA・B・Cの3列、上下2段で最大24席まで確保されており、後方部にトイレが付いています。

隣と隣の間隔が狭いので、体の大きな男性は移動するのもちょっと苦労しそうな印象です。

試しに横になってみました。天井に頭をぶつけないように潜り込むのが大変…。
しかし、横になってしまうとなんて快適なんでしょう。この狭さが逆に安心感を与えてくれます。
シートベルトは必要ですが、ちゃんと寝返りがうてるのが画期的。前後左右にガードがあるので寝相が悪い人でも落ちる心配はなさそうです。

座席への出入りのコツも掲示されていましたが、足腰が弱い人は上段を避けた方が無難と思います。トイレの利用はSA等で停まった時のみ。
走行中は確かに座席から離れるのは危険だと思います。特に上段はトイレに行きにくいかも…。

当初は座席だけだったそうですが、その後、マットレスやまくら、ブランケットなどが装備されてさらに快適に過ごせるように。また、寝顔を見られたくない方、プライバシーを守るカーテンも付けられたので安心です。
こちらのフルフラットシートはお客様の声を反映して改良が加えられたため、今後は見ることができないレアシートとなりました。
2024年式三菱ふそうエアロエース「FLATON」

モニター運行での声などを受け、改良された「FLATON」。ベースは三菱ふそうエアロエースを使用しています。

シート内空間、出入口空間を拡張したのでより快適さがアップしています。上段へ昇るハシゴも改良されていました。

この他、充電設備や座席での荷物収納設備への声を受け、充電ポート、収納ネットも追加。座席をぐるりとカバーするカーテンに変更されていて、個室感もUPしています。
約13時間という移動時間も気にならないほど、進化した「FLATON」。売り出しと同時に完売してしまうので「いつか乗ってみたいバス」だなと思っています。
エバスペヒャーミクニクライメットコントロールシステムズ・ドライバー用クーラー搭載車

エバスペヒャーミクニクライメットコントロールシステムズは、バスの空調用製品を装備したものを展示。1台目は十勝バスの「三菱ふそうエアロスターMP35JM 改」に装備したものです。

帯広市では今年の夏、猛暑に見舞われ大変だったそう…。こちらのドライバー用クーラーは室内機と室外機を別々に任意の位置に取り付けられ、エンジン停止中でも一定時間使用できるすぐれものです。
もう1台は名鉄バスの「三菱ふそうエアロスター MP38FK」。

バスの運転席は陽射しが当たるのに、クーラーの冷気が届かないため、これまでドライバーさんたちはとてもしんどい思いをしてきました。

こちらのクーラー、三菱ふそうのバスなら設置可能で、今後標準装備になるかもとのこと。来年以降も猛暑日は予想されるので、これは嬉しいニュースですね。
日野自動車 ソリューション事業部はバス車内事故防止のための安全確認支援システム搭載車(日野HL )

乗合バスの事故のうち、約3割は車内事故によるもの。国土交通省では「事業用自動車総合安全プラン2025」において、令和7年に車内事故を85件以下とする目標を掲げています。

日野自動車 ソリューション事業部では「バス車内事故防止のための安全確認支援システム」を搭載したバスを展示。

バス車内に取り付けたカメラにより車内全体を撮影し、転倒リスクのあるお客様の動きをAIが判定して、ドライバーに音や画像で危険を通知するというものです。座っている乗客は枠なし、手すりやつり革につかまっている乗客はグリーン枠で、どこにもつかまっていない乗客は赤枠で表示して音声で通知するというもの。

車外・車内の安全確認に追われているドライバーの負担軽減につながり、バスの定時運行や安全運行にも寄与できるすぐれもの。すべての路線バス車両に搭載可能だそうです。

京王電鉄バスと実証実験を実施。約7割のドライバーが有益と感じ、特にドライバー歴5年以下の方からは約8割から支持されたとのことでした。
ジャパン・トゥエンティワンの最新機器を搭載した「中日臨海バス」の教習訓練車

ジャパン・トゥエンティワンの展示は、モービルアイ、AI側方衝突警報システムなどを搭載した「中日臨海バス」の教習訓練車です。教習訓練車は普段みることができないので貴重な機会。

AI側方衝突警報システム「レーダープリディクトプラス」は、後付けができるもので、2つのセンサーで巻き込みや側方衝突事故を防止するというもの。大型車特有の死角をカバーします。

そして新世代モービルアイはAIを搭載し、さらに高精度な検知が可能に。夜間でも走行中の自転車・歩行者の検知を実現しています。

この他、AI搭載安全確認支援システムで不安定な乗客や移動中の乗客を感知して、モニター表示・音声で知らせるシステムも。ドライバーが安心して運転に集中でき、バス会社の負担も軽減できる画期的な装置となっています。
中京車体工業は日野セレガ・A330neo独立シート搭載車、トヨタコースター特別仕様車を展示

中京車体工業からはインバウンド客を意識した小型マイクロバス・トヨタコースター特別仕様車と、上質なシートを装備した日野セレガを展示。トヨタ自動車株式会社・トヨタ紡織株式会社・株式会社OUGIとの共同製作した多言語・対話型AIバスガイドとコミュニケーションが取れるユニークな仕様です。

バスの前後左右天井を使ったモニターでXRによる観光ガイドが楽しめるというもの。以前、福井のXRバス「WOW RIDE® いこっさ!福井号」を取材しましたが、臨場感あふれる観光ツアーが楽しめて驚いたことを思い出しました。
海外の方にその都市の魅力を伝えるのには、こういった仕掛けも喜ばれそうですね。

中京車体工業のもう1台は「日野セレガ」に上質な座り心地のキャプテンシートA330-neoを29席配置した特別仕様車。2列×1列でゆったりとしたレイアウトでくつろげます。

少し高くても快適に移動できるバスは人気で、旅行会社のバスツアーなどでも人気。今後ますますニーズが高まりそうですね。
バス窓.comの前面ガラス保護フィルムを施工した観光バス

高速道路などを走行していてよくあるトラブルは、タイヤが道路上の小石を跳ね上げ、窓ガラスに当たり、破損してしまうこと。特に車間距離が詰まっている時や、走行中の車が前方で跳ね上げた石が後方車に衝突するケースが一般的です。
傷が浅ければ補修で済む場合もありますが、傷の位置やヒビの広がりによっては交換が必要になり、数万から10万円以上かかってしまうことも。何よりも走行が続けられなくなる可能性もあります。

「貸切バスの達人」にもご参加いただいているバス窓.comの中古バス買取部門である「バスの窓口」ではアメリカXPEL.INCの日本支社と施工店契約を締結。今回は前面ガラス保護フィルムを施工した2025年式いすゞガーラ 2PG-RU1ASDJを展示しました。
アルファバスジャパン/エクセル/三洋貿易は大型E-City L10などを展示

アルファバスジャパン/エクセル/三洋貿易は大型EVバスの新モデルL10 2.0を展示。中国生まれの奥州育ち、日本の路線バスに合わせた仕様、車両サイズなどが好評を博しています。

全長10.5m、モーター定格出力117kW、バッテリー総容量310kWh。バッテリーマネジメントシステム変更などに伴う充電効率向上により、一充電航続距離を330㎞に延長しています。

ヘッドランプ周りも新デザインへ。ストレスのない加速、静かな車内で乗り心地もなめらかです。
部品が少ないのでメンテナンスコストを大幅カットし、災害時の防災ステーションになり、ゼロ・エミッション。車両状態・運行状態をリアルタイムにモニタリングできるのも魅力となっています。
もう1台展示されているのがE-City L9(中型のEVバス)。

全長8.99m、全幅2.3m。小回りがきくので日本の道路事情にもバッチリです。
定格出力117kWのモーターと総電力量249kWhのバッテリーを搭載し、一充電航続距離は300㎞と長持ち。

都市型仕様(優先席横向き)が55人、全席前向きが59人、郊外型仕様が57人となります。
東海理化/川崎鶴見臨港バスは、バス乗客安全システム搭載車の展示と試乗

東海理化と川崎鶴見臨港バスは共同で「バス乗客安全システム」を搭載した「三菱ふそうエアロスター 2PG-MP38FK」を展示。

バス運行中に席を立つなど、安全にかかわる乗客の行動を、車室内カメラの映像を元に画像認識で検出し、アラート通知するシステムです。

「バステクin首都圏」では、実際にこのシステムを搭載した「いすゞエルガ 2DG-LV290N3」を使った公道走行デモも行いました。

また展示車では車内への置き去りをセンサーで検知し、通知するシステムの紹介も行っていました。
東海理化とトヨタ自動車と共同開発した「車内置き去り防止支援システム」は、ハイエース(幼児バス)及びコースター(幼児専用車)にも2023年から採用されています。
アルテック カルサン e-JEST運転体験試乗と展示

トルコ製小型EVバス・e-JEST。全長5.8m×全幅2mとコンパクトなボディながら、BMW製のモーター・バッテリーを搭載し、一充電航続距離は210㎞です。

バッテリーを後部座席床下に搭載したことにより、最後部に大きな窓を設置し、広くて明るい室内を実現しています。日本仕様はベンチュラ製の片開きドアが標準仕様。

今回はこちらのバスを試乗してきました!

天井高があり、窓が大きいのでともかく開放感があります。なめらかな加速、静かな走行など、EVバスならではの乗り心地が楽しめました。
Hyndai Mobility Japan(ヒョンデ・モビリティジャパン)はELEC CITY TOWNを展示

ヒョンデモビリティジャパンのエレクシティタウンは、2024年末から日本で発売を開始した9m・全幅2.5m、55名定員の電気バスです。市販第1陣は2025年4月に屋久島の路線バスに5台導入されました。

バッテリー容量は145kWh、1充電あたりの航続距離は220㎞。「バステクin首都圏」当日は試乗車もありました。
ONO ENGINEERING(オノエンジニアリング)/アジアスタージャパンはEVバスなどを展示

オノエンジニアリング/アジアスタージャパンからは、オノエンスターEV 7m車・9m車の展示、運転体験試乗用はEV 7m車でした。
オノエンスターEV 9m前扉車

東京冨士交通所有車、9mの前扉送迎仕様で、床下にバッテリーを配置しています。

ユーザーのニーズに合わせて仕様・装備を自由に装備できるそうです。展示車は補助席や充電ポートなどが設置されていました。

オノエンスターEV 7m車

オノエンスターからもう1台、全長7m・全幅2.26mのEV車で、東京冨士交通所有の貸切バスバージョン。1枚扉仕様で車内は2人かけシートが基本のタイプです。

運転席の横にも2名がけシートがあるので、添乗員やガイドさんはこちらで…。も可能ですね。

試乗車はコミュニティバスなどにオススメのEV 7m車。全幅は2.26mで2カ所に扉があり、混雑する路線でも乗降がスムーズです。

低床タイプで乗り降りもラクラクです。
ビューテックバスサービスから三菱ふそうローザ<内外装リニューアル>

2025年1月に株式会社エムビーエムサービスから、ビューテックバスサービス株式会社へ社名変更。今回は三菱ふそうローザ・ロングボデーの路線仕様を、自家用仕様に改造した車両を展示していました。
バスの前面に行き先表示器が残されているので、路線バスの面影がありますね。

車内のシート、内装、装備などはとてもきれいに仕上げていました。ビューテックバスサービスでは新車の二次架装だけではなく、中古車の改造にも実績があります。
2025年1月にはバス業界では初となる、電動スライド式のポリカ製ルーフ構造で、3月には幼児用保護ベルトで特許も取得。今ある資産のアップサイクル、安全性向上にも寄与しています。
この他、バス関連機器・用品・システムを提供する会社が多数出展!

今年もバス周辺の機器・用品・システムを扱うたくさんの企業が「バステクin首都圏」に出展されていました。すべてをご紹介しきれないため、以下一覧で失礼いたします。
- ウェルネット 公共交通機関の利用を促進するチケット販売プラットホーム「アルタイルトリプルスタークラウド」
- 神奈中情報システム 車両管理システム、点呼支援システムなどバス事業者向け各種システム
- クラリオンライフサイクルソリューションズ 音声合成放送装置、行先表示器、デジタコ、ドラレコほか
- 工房 発車オ~ライCloud、貸切バス事業者向け運行管理システムほか
- コシダテック リビルドコンプレッサ(BOCK社製MS06用)、後方視界監視システム(HDカメラ&モニター)ほか
- ジェイ・バス マルチパーパス荷物棚,運転席用クーラーほか
- シェルルブリカンツジャパン エンジンオイル、ギヤオイル、ATフルード、グリース
- ターボテクノサービス バス用リビルドターボチャージャー、同・返却コア調査報告サービス
- デンソーソリューション デジタコDTS-G1、ビジネスサポートシステム(自動点呼,遠隔点呼ほか)、工番表システムほか
- TOYO TIRES 路線バス向けを中心としたタイヤ新製品、人気商品
- トム通信工業スマートウェーブテレコミュニケーションズ社 スマートウェーブIP無線機器(車載機・携帯機)、スマートウェーブIP無線システムほか線バス用ほか各種タイヤ
- ナビタイムジャパン バス事業者・旅行会社向け行程表クラウド、バスカーナビ
- ニチコン 商用EV向け急速充電器「サイクリックマルチ充電器」、外部給電器「パワー・ムーブライト」
- 日本総合リサイクル 中古バス販売、中古バス部品販売、車両解体、リサイクル
- バイス 床材「東リNS800シリーズ」「フォルボ・マーモリウム(カーボンニュートラル床材)」ほか
- 矢崎エナジーシステム デジタコ・ドラレコ一体型YDX-8、運行管理システムESTRA-Web2、点呼システムほか
- リピート リビルド・トランスミッション
- レゾナント・システムズ 新型ハイビジョンドラレコ、ワンマン放送装置LTE自動更新機能、簡易放送装置ほか
- YEデジタル スマートバス停「MMsmart Bus Stop」各機種
すべてをご紹介しきれずにすみません。次回の開催も楽しみにしています!
■取材・撮影協力
株式会社ぽると出版「バスラマインターナショナル」
「第11回バステクin首都圏」
【開催日時】2025年10月31日(金)10時~16時 雨天開催・入場無料
【開催場所】海の森水上競技場
【協賛】公益社団法人日本バス協会 関東地区バス保安対策協議会
【後援】国土交通省関東運輸局
【主催】株式会社ぽると出版
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